更新日: 2021.02.16 その他税金

新型コロナウイルス関連の給付金は課税されるの?

執筆者 : 高橋庸夫

新型コロナウイルス関連の給付金は課税されるの?
2020年から新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの事業者が営業自粛や休業、売り上げの大幅な減少などに追い込まれました。このような厳しい状況を踏まえて、さまざまな給付金、助成金などが支給されています。
 
ここでは、特に事業者向けの主な給付金に関する税金の取り扱いについて確認してみたいと思います。個人事業主にとっては、目前に迫った2020年分の所得税確定申告にも影響してきますので、しっかりと確認しておきましょう。
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

持続化給付金の場合

持続化給付金を受給している場合には課税対象となります。
 
持続化給付金とは、2020年1月から12月の間に、売り上げが前年同月と比べて50%以上減少した、または連続する3ヶ月間の売り上げの合計が前年の同じ時期と比べて50%以上減少した事業者が申請できるものです。
 
つまり、売り上げが50%以上減少した月が1つでもあれば、その減少した月の売り上げを12倍して年間売上とみなし、それと前年売上との差額を給付金として補填(ほてん)できるというものです(個人は100万円、法人は200万円が給付金の上限額)。
 
これは新型コロナウイルス感染症の影響で減少した「売上高の補填(ほてん)」のための給付金といえます。個人事業主が事業所得として申告している場合には、持続化給付金は「事業所得」として、給与所得や雑所得として申告している場合には、それぞれ「給与所得」、「雑所得」での取り扱いとなります。
 

家賃支援給付金の場合

家賃支援給付金を受給している場合には課税対象となります。
 
家賃支援給付金とは、2020年5月から12月において、売り上げが前年同月と比べて50%以上減少した、または連続する3ヶ月間の売上合計が前年の同じ時期と比べて30%以上減少した事業者が申請できるものです。
 
給付される家賃は全額ではなく一部とされています。個人事業者の場合、月額賃料が37.5万円以下であれば支払賃料の3分の2が給付額となり、上限は月額50万円、6ヶ月で最大300万円です。一方、法人の場合は月額100万円が上限で、6ヶ月で最大600万円となります。
 
個人事業主が事業所得として申告している場合には、「事業所得」として取り扱われます。
 

雇用調整助成金の場合

雇用調整助成金を受給している場合には課税対象となります。
 
雇用調整助成金とは、新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に従業員を休業させた場合に、休業手当を支払うなど雇用維持を図った事業主に対し、休業手当や給与の一部を助成するものです。2020年1月25日現在の助成金の上限は、日額1万5000円です。
 
個人事業主が事業所得として申告している場合には、「事業所得」として取り扱われます。
 

各自治体による休業要請協力金の場合

休業要請協力金を受給している場合には課税対象となります。
 
休業要請協力金とは、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、各自治体からの協力要請によって休業や営業時間の短縮、店舗・施設の使用停止などをした場合に、それぞれの自治体が定める基準を満たし、全面的に協力した事業者に支給される協力金です。協力金の名称や支給金額、支給のための要件などは自治体ごとに異なります。
 
個人事業主が事業所得として申告している場合には、「事業所得」として取り扱われます。
 

まとめ

今回は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者が受給した給付金や助成金の税金に関する取り扱いを見てきました。ご紹介した給付金などのほかにも、さまざまなものがありますが、概ね事業者が受給した給付金などについては「課税対象」となります。
 
それに対して、個人が受け取った給付金などは「非課税」のものが多くあります。例えば、1人当たり一律10万円が支給された特別定額給付金については「非課税」の取り扱いとなっています。
 
また、それぞれの給付金制度には申請期限があるため注意が必要です。さらに、制度の延長や税金の取り扱いなど変更となる場合もありますので、各自治体や国税庁のホームページなどで最新の情報をご確認ください。
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
 

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