更新日: 2021.11.09 確定申告

年金受給者が確定申告をしなければならない「収入金額」と「条件」とは?

執筆者 : 新井智美

年金受給者が確定申告をしなければならない「収入金額」と「条件」とは?
年金受給者であって、公的年金等の合計収入額が400万円以下であり、かつ、公的年金等に関わる雑所得以外の収入が20万円以下の場合であれば、確定申告は不要となっています。
 
では、確定申告が必要となる年金受給者とはどのようなケースなのでしょうか。その場合の収入金額および条件について解説します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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確定申告が必要となる年金受給者とは?

確定申告が必要となる年金受給者とは、以下の要件にあてはまる人をいいます。
 

1.公的年金等の合計収入金額が400万円を超える人
2.公的年金等以外の所得金額(給与や個人年金など)が20万円以上の人
3.医療費控除などで還付される税金が発生する人

 

公的年金等以外の所得金額とは?

公的年金等に関わる雑所得以外の収入とは、以下の収入のことをいいます。それぞれの収入の種類さらに、所得金額の計算方法について解説します。
 

■給与所得

給与や賞与、パート収入などがある方は、その収入は給与収入です。所得金額の計算方法は以下のとおりです。
 
給与等の合計収入額-65万円(ただし、給与収入の合計額が161万9000円未満の場合)
 

■雑所得

個人年金などの収入がこれにあたります。雑所得の計算方法は以下のとおりです。
 
年金の支払金額-掛金合計
 

■配当所得

株式の配当などがこれにあたります。そして特定口座ですでに源泉徴収されている場合は源泉徴収後の収入額が配当所得となります。
 

■一時所得

生命保険の満期払戻金などがこれにあたります。一時所得の計算方法は以下のとおりです。
 
(支払われる保険金額-払い込んだ保険料総額)-50万円(特別控除)×1/2
 

■その他

例えば、営業収入や農業収入、不動産収入、株式を譲渡した際の譲渡収入などがある場合は、それぞれの所得金額を計算し、申告する必要があります。そしてこれらの所得の合計金額が20万円を超える場合は、確定申告を行う必要があります。
 

税金の還付が発生するケースとは?

年金受給者において、以下のケースに該当する場合は税金の還付が発生するため、確定申告が必要です。
 

■住宅ローン控除の適用がある場合

住宅ローン控除の適用がある場合は、税額控除の対象となるため、確定申告を行う必要があります。税額控除される額は、年末の住宅ローン残高の1%となっています。
 

■医療費控除

年間10万円以上の医療費がかかった場合は、その10万円を超えた金額に対して控除を受けることが可能です。医療費控除の金額は、その年に支払った医療費から保険金などで補てんされた金額から10万円を差し引いた額となります。そして、その際は確定申告を行う必要があります。
 

■雑損控除

災害や盗難などによって、自分の所有する資産に損害を被った場合は雑損控除を受けることができます。雑損控除の金額は、以下のうちどちらか多いほうの金額です。
 

●((損害金額+災害等に関連したやむを得ない支出の金額-保険金などにより補てんされる金額)-総所得金額)×10%
●(損害金額+災害等に関連したやむを得ない支出の金額-保険金などにより補てんされる金額)のうち、災害関連支出の金額から5万円を引いた額

 
この場合の災害関連支出の金額とは、災害によって被害を受けた住宅や家財などを撤去するための費用のことをいいます。これらの雑損控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。
 

所得税の確定申告と住民税の確定申告は異なる?

所得税の確定申告が必要ない年金受給者であっても、以下にあてはまる人は住民税の確定申告を行う必要があります。
 

●公的年金などに関わる雑所得のみがある方であって、「公的年金等の源泉徴収票」に記載されている控除以外の控除を受ける必要がある方

 

まとめ

年金受給者に対しては、一定の条件を満たす場合は確定申告不要制度が設けられています。しかし、その要件を満たさない場合は、確定申告を行う必要があります。また、上場株式等に関わる譲渡損失の繰越控除などを受ける際にも確定申告が必要です。
 
確定申告は原則として翌年の2月16日から3月15日までに行うこととなっていますが、還付を受けるための確定申告であれば翌年の1月から受付を開始しています。医療費控除や住宅ローン控除など還付を受けるための確定申告のみであれば、早めに準備しておき、税務署が混み合う前に確定申告書を提出しておきましょう。
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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