更新日: 2022.12.27 年末調整

【新社会人】会社で「年末調整」をしました。「確定申告」とはどう違うのですか? そもそもどのような仕組みなのでしょうか?

執筆者 : 柳沢俊宏

【新社会人】会社で「年末調整」をしました。「確定申告」とはどう違うのですか? そもそもどのような仕組みなのでしょうか?
寒い季節になると会社の総務事務担当者などから、生命保険の控除証明書など、年末調整に必要な書類を提出するよう言われることがあります。
 
しかし、そもそも年末調整とは何なのでしょうか? また、よく聞く確定申告とはどう違うのでしょうか? 社会人になったばかりの方は、初めてのことばかりで戸惑ってしまうことがあるかもしれません。
 
今回は、社会に出たらしっかり押さえておきたい年末調整と確定申告の違いについて、わかりやすく解説します。
柳沢俊宏

執筆者:柳沢俊宏(やなぎざわ としひろ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、ワイゼットFPオフィス代表

年末調整とは?

年末調整とは、源泉徴収された税額の年間合計額と、年税額を一致させる精算の手続きです。
 
給与所得者の場合、原則として、毎月の給与から所得税などが源泉徴収されており、会社や事業主によって税務署へ納付されています。源泉徴収している所得税等はあくまでも概算ですので、年末に1年間の所得税等をきちんと計算し、精算することとなります。
 
これが年末調整です。つまり本来、確定申告によって精算する所得税等の計算を勤務先である会社や事業主が年末調整によって行ってくれているということです。
 

勤務先は何をしている?

年末調整の対象となっている場合、従業員は会社に扶養親族の数などを記載する「扶養控除等申告書」を提出しています。
 
皆さんも、年末調整の時期に翌年分の(雇用された時にはその年の分の)「扶養控除等申告書」を提出した経験があるかもしれません。 勤務先は、この「扶養控除等申告書」を基に毎月の給与から源泉徴収する所得税等の計算を行い、税務署への納付など源泉徴収事務を行っています。
 
そして年末になると、従業員から「基礎控除申告書」、「配偶者控除等申告書」、「所得金額調整控除申告書」(「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」として1枚にまとめられています)、「保険料控除申告書」、「住宅借入金等特別控除申告書」を提出してもらい、1年間の所得税等を計算します。
 
計算後は、源泉徴収票を発行し、従業員へ交付するとともに役所などへの提出を行います。
 

従業員には何が起こる?

毎月の源泉徴収では、保険料控除や住宅借入金等特別控除などは加味されていません。生命保険に加入していて、年末調整の際に生命保険料控除を受けられるケースもあります。
 
その場合、源泉徴収されている税額の年間合計額が本来の年税額より多くなっている状態になりますので、その差額分は還付されることになります。一般的に、還付は12月の給与や賞与支給時に行われることが多く、「年末調整=お金が返ってくるもの」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
なお、給与の収入金額が2000万円を超える方などは年末調整の対象とならず、次に説明するように確定申告が必要となります。
 

確定申告とは?

確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額とそれに対する所得税等の額を計算して確定させる手続きです。
 
具体的には、その年の翌年2月16日から3月15日までの間に、税務署へ確定申告書を提出して行います。計算の結果、納税になる場合は納付書などで納付を行い、還付になる場合は後日税務署から指定した預金口座へ振り込まれます。
 
複数箇所から給与のある方、給与所得・退職所得以外の所得が20万円を超える方など、確定申告が必要な場合は、年末調整を受けている場合でも確定申告が必要になります。
 
また、医療費控除、ふるさと納税などの寄付金控除、住宅借入金等特別控除(初年度)は、年末調整で受けることができないので、確定申告が必要になります。
 

確定申告が必要かどうかよく確認を!

今回は、年末調整と確定申告の違いについて解説してきました。年末調整だけで手続きが済む方もいれば、確定申告が必要な方もいます。
 
本記事で紹介したポイントを踏まえ、ご自身がどちらに該当するかをしっかり確認するようにしましょう。
 

出典

国税庁 給与所得者(従業員)の方へ(令和4年分)
国税庁 No.2020 確定申告
 
執筆者:柳沢俊宏
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、ワイゼットFPオフィス代表

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