更新日: 2023.03.27 その他税金

税金地獄?仮想通貨(暗号資産)で億り人になる前に知っておきたい税の話

税金地獄?仮想通貨(暗号資産)で億り人になる前に知っておきたい税の話
株式投資や仮想通貨(暗号資産)取引などで億単位の資産を築いた人々は、大ヒット映画のタイトルをもじって「億り人」と呼ばれます。「億り人」と聞くと、生涯お金に困らないというポジティブなイメージを抱く方も少なくないでしょう。
 
しかし、日本では、仮想通貨(暗号資産)の取引タイミングによって所得税が課税され、その金額が大きいほど税率が上がります。そのため、課税タイミングや税率をしっかりと把握していなければ、かえって損失を被ってしまいかねません。
 
本記事では、仮想通貨(暗号資産)取引に関わる税金について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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仮想通貨(暗号資産)の所得区分は何?

仮想通貨(暗号資産)取引の所得区分は、原則として雑所得となり所得税の確定申告が必要です。図表1のとおり所得金額が大きくなるほど税率や控除額も大きくなります。
 
図表1

課税される所得金額 税率 控除額
1000円~194万9000円 5% 0円
195万円~329万9000円 10% 9万7500円
330万円 ~694万9000円 20% 42万7500円
695万円~899万9000円 23% 63万6000円
900万円~1799万9000円 33% 153万6000円
1800万円~3999万9000円 40% 279万6000円
4000万円~ 45% 479万6000円

※筆者作成
 
なお、雑所得ではなく事業所得となるケースもあるため、事前の確認が必要です。
 

仮想通貨(暗号資産)が課税される3つのタイミング

仮想通貨(暗号資産)が課税される主なタイミングは以下の3つです。
 

・仮想通貨(暗号資産)を売却したとき
・仮想通貨(暗号資産)同士の交換を行ったとき
・仮想通貨(暗号資産)で商品を購入したとき

 
いずれのタイミングも仮想通貨(暗号資産)取得時の価格との差を元に所得が計算されます。仮想通貨(暗号資産)が値上がりしていると課税額が大きくなるため注意が必要です。
 

仮想通貨(暗号資産)の節税方法4選

ここからは、仮想通貨(暗号資産)取引にかかる税金を抑えるための方法を4つご紹介します。
 

必要経費を計上する

計上できる経費が増えるほど所得金額が減り課税額も少なくなるため、可能な限り必要経費を計上しましょう。売却時に支払った手数料やインターネット、スマートフォンの回線利用料など、仮想通貨(暗号資産)の売却のために必要な支出であると認められるものは、必要経費として計上できます。
 
なお、必要経費として計上する場合は、領収書など支払いを証明できるものを保存しておきましょう。
 

年間の利益確定を小分けにする

年間の利益確定を小分けにすることで節税できる可能性があります。国税庁によると、会社員などの給与所得者であり、以下条件のどちらにも該当する場合は確定申告が不要です。
 

・給与の収入金額の合計額から各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下である
・給与所得および退職所得以外の所得金額が20万円以下である

 
つまり、仮想通貨(暗号資産)取引の所得が毎年20万円以下となるよう利益確定していれば確定申告は不要となります。そのため、買いなおしをして利益確定を小分けにするとよいでしょう。
 
ただし、医療費控除やふるさと納税といった寄附金控除の適用など、確定申告が必要なケースがあるので事前の確認が必要だといえます。
 

仮想通貨(暗号資産)同士の損益通算を利用

損益通算を利用するのも節税のための一つの手段です。損益通算とは、生じた損失を別の所得から控除することです。仮想通貨(暗号資産)による損失は、仮想通貨(暗号資産)取引で得た利益から差し引けます。
 
仮想通貨の取引で発生した損失は、翌年に持ち越すことができません。そのため、当年の取引で損失が発生した場合、含み益が発生している通貨の利益を確定させることで、翌年以降に発生しうる課税額を減らすことができます。
 

青色申告で納税する

青色申告をするのも節税に効果的です。青色申告では、一定の条件を満たすことで確定申告の際に最大65万円の控除を受けられます。
 
青色申告で控除を受けられる条件はいくつかありますが、中でも重要なのは、仮想通貨(暗号資産)取引で得た収入が事業所得でなければならないことです。
 
前述の通り、仮想通貨(暗号資産)取引で得た利益は原則雑所得に区分されますが、事業所得となるケースもあります。
 
特に、仮想通貨(暗号資産)取引における収入金額が300万円を超え、取引にかかる帳簿書類を保存している場合は事業所得となるため、収入金額が大きくなる場合は青色申告の準備をするとよいでしょう。
 

仮想通貨(暗号資産)で億り人になる前に

仮想通貨(暗号資産)取引は、気軽に始められるのが魅力です。しかし、場合によっては課税対象となるケースがあるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。
 

出典

国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)」
国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部