「住民税」が突然高くなってびっくり! 収入は前年とほとんど同じなのに、なぜでしょうか…?
配信日: 2025.05.27 更新日: 2025.07.02

本記事では、住民税の税額が決まる仕組みや、住民税が高くなる理由などを解説します。

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「住民税」の税額が決まる仕組み
個人が支払う住民税には、所得に関係なく定額を負担する「均等割」と、所得に応じて負担する「所得割」の2種類があります。総務省によると、均等割の税額は道府県民税が1000円、市町村民税が3000円、森林環境税(国税)が1000円で合計5000円です。
また、所得割の税率は、道府県民税が4%、市町村民税が6%の合計10%となります(政令指定都市は、道府県民税が2%、市民税が8%)。実際にはこれらの基準を踏まえて、都道府県や市町村が各々の判断で税率を定め、納めるべき税額を決定しています。
住民税は、前年の1月1日から12月31日までの所得で算定され、特別徴収の場合、6月から翌年5月までの毎月の給料から天引きされます。
ちなみに、住民税の納付方法には、「特別徴収」のほかに「普通徴収」という方法もあります。普通徴収とは、会社が給与から住民税を天引きし、市町村に納める特別徴収とは異なり、納税通知書に従って住民税を納付するやり方で、主に自営業の方などが納める方法になります。
「住民税」が突然増えた理由
今回の事例のように、「収入はほとんど変わらないのに、突然住民税が高くなった」場合の主な原因としては、「所得控除が減った」「住宅ローン減税の適用期間が終わった」の2パターンが考えられます。以下では、それぞれの理由について解説します。
・理由1:所得控除が減った
所得控除が減った場合、住民税が高くなることがあります。
例えば、「配偶者の所得が一定額を超えた」というケースでは、配偶者控除を受けられなくなるため、住民税が上がってしまうのです。
・理由2:住宅ローン減税の適用期間が終わった
「住宅ローン減税を受けていたが、適用期間が終了した」という時は、住民税が上がることもあります。
例えば、住宅ローン減税を所得税と住民税の両方に適用していた場合(所得税から控除しきれず住民税からも控除していた場合)は、住宅ローン減税の期間が過ぎた際に、所得税とともに住民税も大幅に上がってしまう可能性があります。
「住民税」を節税する方法は?
住民税を節約したい場合の一手段として考えられるのは、税額控除を受けたり課税所得を減らしたりすることです。例として、ふるさと納税やiDeCoの利用などが挙げられます。
ふるさと納税とは、自治体に寄付をすることで、自己負担額2000円を除いた全額が所得税および住民税から控除される制度です。また、返礼品として地域の名産品といったお礼の品を受け取れるというメリットもあります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは私的年金制度のひとつで、公的年金とは別に、自身で掛け金の拠出・積み立て・運用を行い、将来的に給付を受けられる制度です。
資産運用であるため運用益が上下する可能性はありますが、掛け金全額が所得控除の対象となり、さらに拠出時や運用時は非課税で、給付時にも公的年金等控除や退職所得控除を受けられる税制上のメリットがあるため、こちらを利用するのもよいでしょう。
まとめ
収入が前年とほとんど変わらないという場合でも、控除の有無や住宅ローン減税の適用期間終了といった変化によって突然住民税が増えることも考えられるので、場合によっては生活費のやりくりが難しくなることもあるかもしれません。
翌年の住民税が増える可能性がある場合の対策としては、ふるさと納税やiDeCoといった各種税制優遇制度を活用し、控除額を確保するのが有効です。
出典
総務省 地方税制度 やさしい地方税 個人住民税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー