更新日: 2020.05.25 その他暮らし

逆民泊? 米国でホテルを住居にするシェアリング・エコノミーを日本人起業家が立ち上げる

執筆者 : 藤木俊明

逆民泊? 米国でホテルを住居にするシェアリング・エコノミーを日本人起業家が立ち上げる
以前、ある有名な作家が一流ホテルを住居としたそうです。一定レベル以上のホテルでは、掃除や洗濯はもちろん、いろんなサービスの取り次ぎをしてくれますし、お客さんと会う時はラウンジに降りていけばいいので便利ですね。その代わり、かなりの収入がないとそんな生活は無理でしょう。
 
ところが、アメリカのホテルを住居として使えるように斡旋するサービスを、日本人起業家がはじめたというのです。いったいどういうことなんでしょう?
 
藤木俊明

執筆者:藤木俊明(ふじき としあき)

副業評論家

明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。

アメリカ長期滞在の時は「ホテルを住居」に?

民泊というと、自分の家や部屋を観光客に貸し出すサービスですが、「anyplace(エニープレイス)」とは、逆にホテルの空き部屋を一定期間住居として貸し出すサービスのようです。ちなみにこのサービスは内藤聡さんという日本人起業家が米国で立ち上げたものです。
 
Webサイトを見ると、米国サンフランシスコ、ロサンゼルス、ニューヨークの3都市が掲載されており、たとえばサンフランシスコの「ホテルノースビーチ」を見てみると、一人用の部屋なら月1320ドル(約15万円)から滞在できるようです。ただし、保証金を500ドル払う必要があるので、契約時には1820ドル(約20万5000円)準備しなくてはなりません(保証金は返還されます)。
 
これで、入居(?)したその日からWi-Fi、ランドリー設備、テレビ、電子レンジ、机、ミニ冷蔵庫がついており、定期的にお掃除もしてくれるので、ふつうに生活可能ですね。
 
二人で契約とすると(ツインベッド×2)、毎月1540ドル(約17万4000円)となりますので、一人あたり月8万7000円ぐらいとお得感が出てきますね。
 

どんな人がこの「逆民泊」を使うの?

この「ホテルを気軽に住宅としてシェアする」というサービス、どんな人が対象でしょうか? たとえば、何かのプロジェクトで現地に半年滞在しなくてはならないとか、その都市を新規開拓したいセールス担当とかビジネスパーソン用途が目に浮かびます。
 
とくに、米国に長期滞在する必要ができた時、いろんな契約ごとが面倒な気がします。とはいえ長期間ホテルに滞在したら費用オーバーになってしまう。そんな時は利用を検討してみてもいいかもしれませんね。日本では短期賃貸マンションがありますが、もっといいバージョンなのでしょうか。
 
それでは、このエニープレイスを利用して部屋を提供するホテルはどんなところなのでしょうか?
 
エニープレイスのホームページでは「年間15%以上の空き部屋がある場合は、収益を増やす機会があります」とあります。稼働率があまり上がらないホテルは、このシステムで安定した長期滞在客を獲得してはどうかとプロモーションしているようです。ホテルには10%の手数料が引かれて振り込まれるようです。
 
また、利用客の履歴もチェックし、ホテル保護保険にも入っているので、問題があって退去する時もカバーするとしています。
 

日本では可能性があるビジネス?

このビジネスモデル、わが国ではどうなのでしょうか?
 
日本では、今観光客の急増でホテルがひっ迫しているといわれています。ですので、ホテルが長期滞在客に空き部屋を提供するということは、ちょっとピンと来ないですが、今後、仮に2020年を過ぎてホテル供給が増えすぎた場合、可能性のあるビジネスかもしれません。
 
民泊と違って、最初から認可されたホテルですから、はじめるのに法的な問題は生じません。大都市圏はもちろん、地方都市であまり観光資源がないホテルにとっては、空室をそのままにしておくより長期滞在客を取りたいでしょうから、検討の余地があるシェアリング・エコノミーかもしれません。まだ日本では生まれていないサービスのようですが……。
 
Text:藤木 俊明(ふじき としあき)
副業評論家