2017.09.05相続

<相続税対策> 収益性の高い不動産への転換策

Text : 黒木 達也

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 相続税対策の一つとして、これまでより収益性の高い不動産への転換が考えられます。同じ評価額の不動産でも、収益性が高いほうを所有していると利点があります。それは収益性が高いだけでなく、収益は相続時の評価額とは無関係だからです。ただし転換に利点があるのは、比較的広い土地を所有しているケースで、例えば50㎡程度の小規模な土地では、効果はあまり期待できません。三つの具体的な例をあげて説明しましょう。
 

郊外のアパートより都心のマンション

 

 都心と郊外とでは、同じ評価額の不動産でも、都心の不動産を保有していたほうが、何かと有利です。郊外の土地付きのアパートと自宅を相続すると、親と同居の場合、小規模宅地の特例(事業用は200㎡まで50%に減額)が利用できます。しかし、容積率が低く低層階、なおかつ路線価も安いため、小規模宅地の特例の効果は限定的です。

 

 この郊外の土地付きアパートと自宅を土地ごとすべて売却し、都心の小規模マンションないし事務所ビルなどに買い換えるのです。郊外と比較して路線価も上がるため、小規模宅地の特例も効果的の利用できます。同時に、家賃収入も郊外のアパートと比較して大きくなります(図表参照)。収益力は高まっても相続税には影響しないので、相続人にとっては好都合です。

図表_不動産買い換え

 また相続をした子が売却しようとする場合も、都心のマンションは中古市場も整備されているので、容易に売却できます。兄弟が多い場合などでも、売却し現金化すれば、分けやすくなり、相続争いも起こりにくくなります。ただし郊外の土地が先祖代々からの土地だと、売却益も大きくなり、所得税という別の税金を考慮する必要が出てきます。

 

土地と建物とを交換し評価を下げる

 

 土地で所有するよりも建物で所有するほうが、相続上は有利なことがあります。それは土地評価の基準となる路線価が、売買価格の約80%であるのに対して、建物の固定資産税評価額は、建築費の50%が基本だからです。この30%の差を効果的に利用します。

 

 もし親の所有する土地が、小規模宅地の特例を受けられる330㎡を超えて広い場合は、相続税はかなり高額になります。同居していなければ、この特例も一切適用されません。すべてを自宅として使っていれば、家賃収入もなく収益を生み出せません。とくに先祖代々続いている土地であれば、親は別の土地へ引っ越すことも躊躇します。

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黒木 達也

Text:黒木 達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト。大手新聞社出版局勤務を経て現職