2017.08.01スペシャルインタビュー

ファイナンシャル・プランナーに聞く「暮らしとお金のアドバイス」③

人生にお金を活かすことで、人生を豊かにするサポートをしています

Interview Guest : 福島えみ子

Text : 村田 保子 / Photo : 岩田 えり

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Interview Guest

福島えみ子

福島えみ子

京都府出身。大学卒業後、都市銀行に入行。運用アドバイス等業務を担当後、複数の銀行にて債権証券化業務などを経験。その後、相続、金融、不動産分野の案件を扱う法律事務所に転職。CFP(R)及び1級FP技能士、住宅ローンアドバイザー、海事代理士の資格を在職中に取得。2010年より女性のマネープランを主に扱う独立系ファイナンシャル・プランナー会社にて勤務。2014年10月より独立して「リュクスセオリーFPサロン」を設立。2016年設立の法人「マネーディアセオリー株式会社」では主にリタイアメントプラン等を扱う。

マネーディアセオリー株式会社

http://mdtheory.co.jp/

リュクスセオリーFPサロン

http://www.luxetheory.net

「ファイナンシャル・フィールド」では、確定拠出年金やリタイアメントプランに関する記事を執筆し、人気を博しているファイナンシャル・プランナー(以下FP)の福島えみ子さん。銀行や法律事務所などで勤務した経験を活かし、金融商品を販売せず中立な立場でアドバイスするFPとして活躍しています。人生の変化にも耐えられる、フレキシブルなマネープランを提案することも得意だという福島さんに、お金とのつき合い方などを中心にお聞きしました。

中立な立場でお金のことを相談できる場所の必要性を感じてFPに

——現在までのご経歴を教えてください。

大学卒業後、都市銀行をはじめ複数の銀行にて勤務し、その後、法律事務所に転職しました。法律事務所に勤務していた時にダブルワークとして、FP業務を始めました。資格は法律事務所に入所の年に取得しました。ほどなく、女性のマネープランを主に扱う独立系FP会社でも同時に勤務するようになり、3年ほどダブルワークした後、2014年にFPとして独立。「リュクスセオリーFPサロン」を設立しました。その後、2016年には法人「マネーディアセオリー株式会社」を設立し、並行してこちらでは主にリタイアメントプラン、確定拠出年金導入・継続研修、企業向けライフプラン研修等を扱っています。

 

——FPになろうと思ったきっかけを教えてください。

そもそも銀行へ就職した動機は、“どのような経済活動も中心は金融。すべてはお金につながる。その中心に身をおいていたい”というものでした。その後、法律事務所へ転職すると、あらゆる問題もお金に端を発していることを実感。究極はお金のことに行きつく、と気づいたのです。また、金融機関目線ではなく、中立な立場でのお金のアドバイスができることの重要性も感じるようになりました。同時に、特に女性の場合、「お金=経済力を持っていること」が人生の選択肢を持つことにつながるのではないかと考えるようになったのもこの頃です。

また、私自身、銀行員であるにもかかわらず、お金の使い方が上手ではありませんでした。 銀行員の先輩・同僚を見ても経済や金融の知識があることと、お金との付き合い方の上手下手は違う。さらに、一般的に、育った家庭のお金に対する考え方も、お金の付き合い方に影響を与えることが多いのではと思いました。

そのような経験と考えのもと、個人の方がお金のことを中立な立場から相談にのってもらえる場所の必要性や重要性を感じていて、自分もその一助になれればと思ってはいました。けれども、銀行に勤務していた時にお金に関わることを扱う怖さも十分に経験していたので、気軽にFPとして仕事を始める気持ちにはなれませんでした。でも、あるときそれが吹っ切れてFPとして仕事を始めるようになりました。

 

変化が多い人生には、フレキシブルなマネープランで寄り添う

——福島さんにとってFPとはどんな仕事ですか?

その人の人生に深くかかわり、人生を変えるきっかけにもなり得る仕事。お金に振り回されるのではなく、叶えたい人生を自分で選んでいく選択肢を持つためのお金、それを備える手段を提供し、人生を思い通りに生き、豊かにすることをサポートさせていただくことが役目だと考えています。昔から友人などに悩み事を相談されることが多く、人の力になるのが好きな自分にとってはうってつけの仕事です。人のお役に立っている実感があり、ライフワークだと思っています。

 

——FPとしての得意分野を教えてください。

資産運用、相続、住宅購入、不動産活用、リタイアメントプラン(老後のお金)などです。これまでのキャリアが、そのまま得意分野になっています。銀行に勤めていた時は、支店のローカウンターで、お客さまにさまざまな資産運用のご提案をしており、後に債権証券化などにも関わりました。法律事務所では、相続の実務、例えば公正証書遺言の証人、成年後見事務なども務めてきました。また、相続に伴う不動産の活用、住宅を始めとする不動産関連の案件の経験も積んできました。FP会社で働くようになってからは、年配の方の相談にご対応する機会が多く、さまざまな条件のリタイアメントプランの作成を行いました。

また、以前、女性のマネープランを主に扱うFP会社に勤務して女性のご相談を数多く経験したことから、女性のマネープランも得意としています。女性は人生を通じてライフイベントやライフスタイルの変化が多いため、それに伴いお金との付き合い方も変化しがちです。結婚、出産、離婚などの場面で、自分以外の要因によっても、お金の面での変化を余儀なくされることもある。そういった多様な変化に寄り添える、フレキシブルなマネープランの作成も得意です。例えば、ずっとシングルの予定で、ご自身のためにマンションを購入された方が、50代でご結婚されることもあります。そんな時でも、物件を売却あるいは賃貸に出して収益を得るなど、それぞれのプランをあらかじめ持てていれば、困ることはありません。将来へ向けて複数の選択肢を準備し、常にプランBへ移れるようなご提案を心がけています。

さらに、金融商品の販売を行わず、金融機関から中立、個人の側の立場に立ってのマネープランを作成し、アドバイスすることには特にこだわって細心の注意を払っています。

FPの中でも、独立、中立の立場からのアドバイスをする存在の重要性を痛感したのは、過去の仕事経験からです。金融機関である銀行での経験、そして法律事務所でも金融関連や不動産業者等と一般消費者間の訴訟などを目の当たりにして、金融機関や業者と一般の方とでは圧倒的な情報量の差とそれによる不合理があることを実感してきました。それらの経験から、個人の側から見て役に立つお金の情報を発信・提供していくこと、また、ご相談では、丁寧に個々人の事情に合わせて情報提供、アドバイスをすることに注力しています。

 

女性管理職・経営者が抱える特有のリスク

——女性管理職や女性経営者のマネープランのサポートにも、積極的に取り組んでいらっしゃいますよね?

女性の社会進出が促進されていると言われますが、実際の社会では女性の管理職・経営者はまだまだ少数派です。そうした職にある女性は、忙しく仕事をしながら家事や子育ての大部分を担っている人も少なくありません。そうした忙しい女性をマネープランの面からサポートしたいと思っています。マネープランや資産管理に割ける時間がなかなかない女性が、お金の管理をFPにアウトソーシングすることで、自分のために時間とお金を使って豊かな人生を歩んでいただければと考えています。

また、管理職や経営者の立場にある方特有のマネープランもあります。経営者であれば経営次第で収入減少のリスクもありますし、正社員であっても役員の立場になると雇用保険に入れなかったり、残業代が適用されなくなったりもします。そうした部分に加え、女性ならではのマネープランの変化もありますから、そのような特有の部分もサポートしていければと考えています。

 

お金を使うときのテーマは「カリテプリ」と「費用対効果」

——普段の生活でできる節約、お金へのアドバイスなどを教えてください。

ただ節約をするだけでは継続するのが辛くなりますし、人生にお金を活かすことはできないと思います。

お金を使うときのテーマは「カリテプリ(Qualite prix)」と「費用対効果」だと考えています。「カリテプリ」とは、「料理やワインの品質が価格に見合うかそれ以上であること」を意味するフランス語です。ものの価値や品質が、その価格に本当に見合うかという視点で、お金をかけるものを選んでいくという考え方です。これを意識することで、得るのは同じ結果でも、支出の額は違ってくる場合もあるのです。「費用対効果」については文字通りですが、全く効果を生み出さないのに払い続けている支出は精査する必要があります。例えば、資格取得に費用をかけている女性は多いと思いますが、使わない資格は「費用対効果」が低くなります。「費用対効果」を考えれば人に教えられるようになるまで資格を取得し、教室を開くなどして活かしていけるといいですね。また、資格を維持するためには、年会費なども必要になりますから、払っていく価値があるかどうかも見極める必要があります。

マネープランは「フレキシブル」であると同時に「サスティナブル(持続可能)」であることが大切。たとえ効果的であったとしても、忙しい方が細やかで手間のかかる家計管理を継続することは難しいものです。一人ひとりの性格やライフスタイルに合わせ、その人が無理なく継続していける持続可能なプランであるかどうかを確認してみましょう。

日々のお金の使い方では、自分のお金との付き合い方やクセを把握すると、対策が見えてきます。飲み会のたびにタクシーを使ってしまうとか、毎日コンビニに寄って買い物をすることが習慣になっているとか、現状把握することから始めてみてください。一方で「お金を使うのは悪いこと」というイメージをもっている方も多いのですが、お金を貯めておくだけでは、お金の価値を活かすことになりません。自分がお金に対して持っている考え方やイメージを見直してみると、そこから見えてくることもあります。小さい頃の記憶や親から言われていたことが影響していることもあります。人によっては、根本からお金に対する概念を変えないと、お金が貯まらないというケースも考えられます。

 

時代とともに変化するお金の管理の仕方を、柔軟に先取りしていく

——資産運用、年金づくりなどに関して、最近、注目しているお金の使い方などはありますか?

資産運用に関しては、低金利の昨今ですから、非課税・減税制度を最大限活用し、「税金を減らして手取りを多くする」ことも1つの方法です。老後のお金については、人生100年時代のマネーキャッシュフローを前提に考えて行く必要があります。そして、収支を改善する手段として、長く働いて収入を得続けることも選択肢の1つであり強力な方法であることもお考えいただきたいです。在職老齢年金制度の支給停止との関連で、何歳まで働くのがよいのかなどを気にされている方は、キャリアプランとマネープランを併せて専門家に相談してみることをお薦めします。働き続ける意欲はあるのに、機会を失うのはもったいないですし、収入があっても皆さんが思っていらっしゃるよりも、年金の支給停止に該当しないケースは意外に多いです。最近では、再就職のために50代から資格取得に取り組み、人脈をつくるなどの準備を進め、リタイア後に再就職したり独立したりする方もたくさんいます。

資産については「アセットアロケーション(資産配分)」と併せて「アセットロケーション(資産の置き場所)」も検討したいところです。同じ運用対象であっても、NISAなど、どの金融機関のどの口座で運用するかで差がつくこともあります。また、国内だけではなく、海外に資産の置き場所をつくることもひとつの方法です。日本は労働人口が減少傾向にあり、経済成長も不透明で読みきれない状況であるため、資産の一部をドルなどの外貨で通貨分散したり、運用の対象を海外にも分散して、資産運用のリスクを分散することも意識しておきたいところです

また、最近ではAIやフィンテックなどが話題となっています。お金を上手に活かすためには、時代にあわせたお金の管理の仕方を先取りし、取り入れていく柔軟性も求められます。例えば、電子マネーが発達すれば、現金を使う目的別に封筒に分けて管理する家計管理方法などは、そぐわなくなりますから、電子マネーに適した家計管理方法を今から考えておいたほうがよいと思っています。時代が大きく変わろうとしている中、マネープランの提案も、常に世の中の何歩も先を見据えたもの、時代にフィットしているものであるべきと思います。

——今後の活動や展望についてお聞かせください。

FPとして仕事を始めた当初から、個人のお客様のご相談、セミナー、執筆の3つの柱を等分にすることを意識してきました。現状としては、ありがたいことにご依頼いただいた仕事をこなすだけで時間的に精一杯ではあるのですが、仕事の仕方を少し見直して、今後はもう少し大勢の方へアプローチしていく方法を増やしていきたいと思っています。たとえば、一般の方向けのセミナーや執筆をもう少し増やしていきたいです。また、現在でも行っていますが、企業へ向けて社員の方々へのマネー相談として、セミナーと研修をセットで展開するという活動をさらに増やしていけるといいなと、考えています。

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村田 保子

Text:村田 保子(むらた やすこ)

Financial Field エディター

 

 

岩田 えり

Photo:岩田 えり(いわた えり)

フリーランス・フォトグラファー

日本舞台写真家協会・会員。タレント・舞台俳優など人物写真を得意とする。