2017.10.05暮らし

介護、イニシャルコストよりランニングコスト

Text : 柴沼 直美

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いざ母親や父親の介護が始まったとき、当初はできれば自宅で自分が面倒を見ようと思うでしょう。徐々に自分達の日々の仕事や生活に追われ、気持ちに余裕がなくなってきます。

冷たい言い方をすれば、親の状況は(健康面での)上昇曲線は描きません。どこかのタイミングで施設入所になりますが…

 

最初の思い入れは海よりも深いが

 
このように書いてしまうと身も蓋もありませんが、大きな買い物をするときの心構えは大なり小なり同じようなもので、最初に思い立ったときが一番の気合いがはいっているものです。住宅や自動車の購入も然り、子どもの入学金然りで、契約締結や最初の手続き時には、これからの夢や希望もミックスされて、あれもこれもと、思いはふくらみます。

しかし、介護に関していえば親がいったん施設に入ってしまえば、それは死亡するまで基本的には続きます。しかも終わりはいつなのかわかりません。

 

介護度が重くなっていくにつれて必要なものは増える

 
何度も書きますが、高齢者の介護は年を追うごとに、月日を追うごとに経済的にも時間的にも負担感は重くなっていきます。例えばこれまでは普通にできていた寝返りができなくなった、誤飲の危険性が出てきた、それを寝具や機械で解決することができますが買い替えるときにはかなりの高額になり、メンテナンスコストもかさむようになります。

床ずれになりにくい新型ベッドを提示されればそちらに目が移りますが、当然タイプが新しくなれば大きくなり手狭にもなっていきます。他方、介護度が重くなるにつれて、かつての自分の父親や母親が弱々しくなっていくのを目にするにつれ、感情が勝ってしまい自分の家計の状況や今後の見通しを客観的にたてられなくなってしまいがちです。

 

家計収支で線引きの基準を引いたら、ときにはドライに

 
もちろん、経済的に余裕があればこのような問題は発生しないのですが、ベッド、マット、吸引器とそれぞれが順次より精度のいいものに更新していくと、気が付けば驚くほどの金額が施設料に上乗せされているということになります。さりとて一度更新したら、またもとに戻すことは実質的には不可能です。

基本施設料は毎月どのくらいで、それにどのくらいのオプションがついていて、どのくらいまで付加できるのかを把握し限界ラインに到達したら提示された新型の装置については断るドライさ、客観的な判断力も必要です。

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柴沼 直美

Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)、
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表

大学を卒業後、日本生命保険に入社。保険営業に従事したのち渡米。米国アリゾナ州、Thunderbird School of Global ManagementにてMBAを修得。帰国後外資系証券会社、投資顧問会社にてアナリスト、日本株ファンドマネジャーを経験。出産・母親の介護を機に退職。三人の子育ての中で、仕事と主婦業の両立を図るべく独立。キャリアカウンセラー、CFPの資格を活かしつつ、それぞれのライフステージでのお金との付き合い方を、セミナーや個別相談により紹介。子どもの教育費・留学費から介護に至るまで経験を交えた実行可能な幅広いストライクゾーンで対応。
http://www.caripri.com