2017.10.27暮らし

「公営の老人ホーム」 入居希望者が多く順番待ち施設も

Text : 黒木 達也 / 監修 : 宮﨑 真紀子

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自分が高齢になり、身の回りのことが一人では出来なくなったときや、親が認知症になり家族で世話が難しくなったときに、頼りになるのが「老人ホーム」です。老人ホームには、大別して市区町村などで運営する公営の老人ホームと、企業などが運営する民間の老人ホームがあります。入居条件や費用など、タイプによって異なりますが、公営の老人ホームから説明しましょう。

特別養護老人ホーム。費用は安いが条件が厳しい

公営の老人ホームの代表格が「特別養護老人ホーム」(通称「特養」)です。市区町村または財政支援を受けた社会福祉法人が主体で運営し、介護を受ける目的で入居する老人ホームです。入居費用も比較的安く長期の入所も可能なため、入居希望者が多く大部分の施設で順番待ちとなっています。都市部ではすぐに入居ができないホームがほとんどです。
そのため、現在では正確な介護認定を受け、重症の「要介護3」以上でなければ入居できない施設が多くなっています。「要支援」「要介護1」といった軽度の人は、なかなか入居できません。

入居費用と月額利用料

入居費用は、入居一時金は不要で、月額の利用料が8万円から15万円ほどです。居室が個室か共同か、介護度がどの段階かによって、利用料は多少変わります。運営主体に市区町村がかかわっているため、財政支援もあります。多くのニーズがあるにも拘わらず、施設の建設・整備は順調には進んでいません。建設費の問題もありますが、都市部では用地の確保が難しく、建設を困難にしています。東京23区では、地方の市町村と協力して、その地方に老人ホームを移設する動きや、少子化で廃校になった小中学校を再利用するケースも見られます。
ただし、最近では民間の「有料老人ホーム」でも、比較的安い料金で入居可能な施設も出来てきました。入居一時金が不要な民間施設が増えています。「公営は安く、民間は高い」と思い込まずに、入居条件を比較することをお勧めします。

特養以外の公営の高齢者向け施設

特別養護老人ホーム以外にも、公営の高齢者向け入居施設はあります。比較的短期の療養やリハビリを目的とした施設が「介護老人保健施設」(通称「老健」)です。社会福祉法人だけでなく、医療法人が経営主体となっている施設もあります。長期間の入所ではなく、あくまでも病気の回復、ケガや骨折からの復帰を目的に入居するため、自宅への帰宅を前提としています。そのため単身者の利用が多いのも特徴です。
入居者の回転が比較的早いために、特別養護老人ホームと比較すると入居は容易ですが、施設の特徴から長期の入居はできません。費用面では、入居一時金は不要で、月間利用料は8万円から15万円でほぼ特養と同額です。

健常者も利用できる施設

公営の高齢者向け施設には、健常者も利用可能なタイプもあります。自立支援を目的とした「軽費老人ホーム」(自立支援型ケアハウスなど)や、自立可能な人や障害の程度の軽い人が入居する「養護老人ホーム」などです。いずれも、自立可能な人から介護を必要とする人まで、それぞれのレベルに合った施設を選ぶことができます。
特別養護老人ホームほどの入居待ちはありませんが、ほとんどの施設が所得制限など、厳しい入居基準が決められています。入居希望者は確認が必要です。その人の身体の具合や自立可能度によって、入居する施設も変わってきます。
こうした施設も原則として入居一時金は不要(介護付ケアハウスの一部は一時金が必要)ですが、保証金(退去時に返却分あり)が必要な施設があります。月額利用料は、5万円から20万円ほどです。利用料は、介護付ケアハウスが最も高く、他施設でも介護度に応じて高くなります。

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黒木 達也

Text:黒木 達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト。大手新聞社出版局勤務を経て現職

 

 

宮﨑 真紀子

監修:宮﨑 真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい…。そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。