2017.11.23暮らし

身近な電気の話⑳ 子どもの見守りに新しいサービス

Text : 藤森 禮一郎

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子供たちが登・下校の際に通学路で交通事故や誘拐事件、いたずら事件などに巻き込まれるケースが目立っています。
全国の自治体では、通学路を指定し、保護者や地域のボランティアが主要なポイントに立ち、児童を誘導する見守りサービスを行っています。
自転車やバイクに「見守り隊ステッカー」を這って協力している事業者の方もいますね。
しかし、時間や人手に限りがあります。

そこで登場してきたのが、自由化に伴って電力会社が始めた「見守りサービス」。
中部電力と東京電力が最近始めた二つのサービスを紹介します。

中部電力の「見守りサービス」(豊田市)

 
中部電力はKDDI、愛知県豊田市と協同で、市立中山小学校の学区内でIoT(モノのインターネット)向けの通信技術「LPWA」(ロー・パワー・ワイド・エリア)活用した、児童の見守りサービスの実証試験を11月から開始しました。
 
児童約60人に小型端末機を配布し、カバンなどに装着してもらう。端末器から発信された位置情報は基地局を通じて家族のスマートフォンやパソコンに送られます。小型情報端末は重さが約56g。3分ごとに情報発信され位置情報、移動履歴、通過時間が家族の手元に届きます。自宅や小学校を登録すると登、下校のタイミングで家族にメールが届くサービスもあるそうです。
 
見守りサービスはすでに手掛けている電力会社がありますが、LPWA方式は通信エリアが広域であるため基地数を抑制できる利点があります。通信速度を低速に制限することで広域エリアを確保していますが、低消費電力、端末の低価格化も実現しているということです。中部電力は豊田市での実証結果を参考に、新たなサービスにつなげていくことにしています。
 

東京電力の「見守りサービス」(府中市)

 
東京電力ホールディングス(HD)も東京都府中市とIoT技術を使った子供や高齢者の見守りシステムの実証試験を開始しました。東京都渋谷区(6月開始)に次いで2件目の実証試験です。サービス名称は「tepcotta(テプコッタ)」渋谷区の場合と同様に東電HDが主体となって、見守りサービスに実績を持つotta(福岡市、山本文和社長)がシステムを提供する。
 
テプコッタでは、サービスの対象となる子供や高齢者が携帯する重さ約10gのビーコンから発信される電波を基地局端末や無料のアプリがインストールされたスマートフォンで受信。そこを介して保護者のスマホに位置情報履歴を通知する仕組みです。
 
東電HDは公共施設、東電グループ施設などを中心に固定基地局端末を、小学校通学路近くに約45基設置します。将来は90基まで拡大する計画です。サービスの有効性や必要な基地局数を検証したうえで、10年後には関東エリア全域にサービスを順次拡大していくことにしています。
 
先行実施している渋谷の場合は固定基地局に加えて、「動く基地局」としてタクシーも活用しているのが特徴。日本交通グループの「JapanTaxi」とも提携してサービスの範囲を広げています。
 
9月から渋谷を中心に有料で本格運用しています。自由化で料金値下げ競争にばかり目が向きがちですが、電力会社が持つ通信インフラの活用はありがたいですね。全国に広がっていってほしいですね。
 
Text:藤森 禮一郎(ふじもり れいいちろう)
フリージャーナリスト

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藤森 禮一郎

Text:藤森 禮一郎(ふじもり れいいちろう)

フリージャーナリスト

中央大学法学部卒。電気新聞入社、電力・原子力・電力自由化など、主としてエネルギー行政を担当。編集局長、論説主幹、特別編集委員を経て2010年より現職。電力問題のコメンテーターとしてテレビ、雑誌などでも活躍中。主な著書に『電力系統をやさしく科学する』、『知ってナットク原子力』、『データ通信をやさしく科学する』、『身近な電気のクエスション』、『火力発電、温暖化を防ぐカギのカギ』、『電気の未来、スマートグリッド』(いずれも電気新聞刊)など多数。