住宅ローンの審査に年齢は関係ある?年齢制限と団信の審査も解説 | ファイナンシャルフィールド

更新日: 2022.03.14 審査

住宅ローンの審査に年齢は関係ある?年齢制限と団信の審査も解説

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 新井智美

住宅ローンの審査に年齢は関係ある?年齢制限と団信の審査も解説
住宅を買う年齢は、その人のライフプランによって大きく変わります。できる限り若いうちに買ってローンをゆっくり返したり、ある程度の年齢になって稼げるようになってから希望通りの家を買ったりと、いろいろなケースが考えられます。
 
しかし、住宅ローンには審査があります。あまりに若過ぎたり、年齢が高過ぎたりする場合は住宅ローンの審査に影響があるのでしょうか?
 
今回は、住宅ローンの審査に年齢は関係があるのか、住宅ローン申し込みの年齢制限ついて解説していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジュを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。

新井智美

監修:新井智美

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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住宅ローンの審査に年齢は関係ある?

住宅ローンの審査に年齢は関係ないとは言えません。

住宅ローンは申込時年齢と完済時年齢に制限があります。年齢だけを原因として審査に落ちるのは、年齢制限に引っ掛かったときです。

年齢の条件をクリアしていても、高齢で収入状況や健康状況に不安な要素があれば、借入期間を短くされたり、審査に通らない可能性も出てきます。逆に、通りやすい年齢というものも存在します。それらの点を考慮に入れたうえで、住宅購入時期を検討する必要があります。

以下で、住宅ローンの年齢制限について詳しくみていきましょう。

住宅ローンの年齢制限1:申込時年齢

住宅ローンは、借り入れできる年齢に制限を設けている銀行がほとんどです。

例えば三菱UFJ銀行では、申込時年齢が満20〜満70歳、住宅金融支援機構のフラット35は下限年齢が定められておらず、申込時年齢の上限は満70歳となっています。

年齢だけを原因として審査に通らないのは、この年齢制限に引っかかっている場合です。実際の住宅ローン審査は、年齢以外にも収入や他の借入額、現在の職場の勤務年数など、属性と呼ばれるいろいろな要素を考慮して行われます。

年齢だけが重視されるわけではありませんが、収入や健康状態を考慮に入れると、審査に通りやすい申込時年齢もあると考えられます。社会人1年目の22歳よりも、社会人8年目の30歳の方が収入が多く、健康状態も大きく変わらないことからもどちらかというと30歳の方が審査に通りやすいことは想像がつきます。

この点からも、住宅購入の検討をするときは自分の年齢を考慮に入れる必要があるでしょう。

住宅ローンの年齢制限2:完済時年齢

住宅ローンは、完済時の年齢も規定されています。

三菱UFJ銀行や住宅金融支援機構の融資するフラット35では、完済が80歳の誕生日までと設定されています。ソニー銀行は申込時の上限年齢が65歳までで、完済年齢は85歳です。

また、住宅ローンの最短借入期間は、ほとんどの銀行で10〜15年となっています。住宅ローンの申込時年齢も、上限がそれに合わせて設定されることが多いです。

実際に借りることは可能であっても、高年齢で借りることはおすすめできません。

住宅ローンの最長借入期間は35年ですが、例えば60歳で「80歳までに完済」と規定されている住宅ローンを借りた場合、20年間で返済しなければなりません。同じ金額を借りるのであれば、年齢が上がれば上がるほど月々の返済金額が多くなります。

とはいえ、年齢があまりにも若いと収入面で審査に落ちてしまう可能性があるため、若過ぎず高齢すぎず、というところを考慮する必要が出てきます。

ちなみに、令和元年度の住宅市場動向調査報告書によると、注文住宅の新築や分譲戸建て、分譲マンションの世帯主購入年齢は、30代がもっとも多くなっています。これは完済年齢から逆算して「定年までに完済したい」と考える人が多いからではないでしょうか。住宅購入年齢の、ひとつの目安にするとよいでしょう。

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申込時年齢ごとの住宅ローン返済期間の目安

一般的には、70代程度までの方であれば、住宅ローンを申し込めます。

しかし、申込時の年齢によって、無理なく返済を継続しやすい返済期間や、そもそも設定できる返済期間は異なります。

返済期間を設定する際に考慮したいポイントは、定年のタイミングや老後資金の見通しなどです。これを踏まえて、年代別に住宅ローン返済期間の目安や注意点を考えてみましょう。

20代で申し込む場合

20~29歳で住宅ローンを組むと、一般的な住宅ローンで最長35年の返済期間を設定しても、完済時年齢は55~64歳。65歳定年の方なら、定年を迎える前に返済が終わります。

最近は65歳を超えても働けるケースが増えているため、フラット50などを利用して35年以上の長期ローンを組むのも選択肢のひとつでしょう。

30代で申し込む場合

30~39歳で住宅ローンを組んだ場合、65歳までに完済できる返済期間は25~34年。定年までの返済を想定するケースでも、ある程度長期のローンを組めます。35年以上の返済期間でローンを組む場合は、退職後の返済を十分にシミュレーションすることが大切です。

40代で申し込む場合

40~49歳で住宅ローンを組む場合、定年までに完済できる返済期間は15~24年です。ただし、定年までに完済することを優先して返済期間を短く設定すると、月々の返済金額の負担が大きくなりがちです。

返済期間を35年いっぱいに設定すると、完済時の年齢は75歳です。返済期間を長く設定するほど、定年後の返済期間が長くなります。

また、44歳を超えるとフラット50に申し込めなくなるなど、設定できる返済期間の上限に制限がでてくる年代でもあります。

定年後の資金計画も含めて、バランスよく返済を続けられるように返済期間を設定することが大切です。

50代以降に申し込む場合

住宅ローンの完済時年齢の上限は、80~85歳程度に設定されているのが一般的です。そのため、50代以上で住宅ローンを組むと、35年いっぱいの返済期間を設定できないケースが多いでしょう。借入期間は「完済時年齢の上限-借入時年齢」の数字を上限として考える必要があります。

定年後にも長期間にわたり返済が残るケースが多いですが、収入は定年後に継続して在職しても減る場合が多く、年金収入のみになればさらに減少します。返済期間を決める際には、退職金や定年後の収入と、定年時の残債のバランスがとれるよう、十分な検討が必要です。

完済時の年齢を繰り上げる方法

「長期間の住宅ローンを組んだけれど、よく考えると老後に返済を残すのは少し不安」という方もいるでしょう。実は住宅ローンを借り入れたあとでも、返済期間を短縮して完済時年齢を繰り上げることは可能です。

完済時年齢を繰り上げる代表的な方法は、次の2つです。

・繰上返済を利用する
・借り換えをする

いずれの方法にも良い面、注意が必要な面があるため、内容をよく理解して、ご自身に合う方法を検討してください。

繰上返済を利用する

繰上返済とは、毎月の決まった返済(約定返済)に追加して、前倒しで元金を返済することです。繰上返済をすることで返済ペースが当初予定よりも早くなり、返済期間を短縮する効果があります。

また、将来支払う利息を削減する効果もあるため、返済総額の圧縮にもなります。

ただし、繰上返済をする際に手数料が発生するケースもあるため、手数料を支払ってもよいほどの効果があるかどうか、試算してみるのがおすすめです。

また、繰上返済のために貯蓄を崩すなどすると、子どもの教育費など大きな出費に対応できなくなったり、老後の蓄えが不足したりする可能性があります。ライフプランを考慮して、臨時の収入があった場合だけ、など、資金源を工夫することが必要です。

借り換えをする

より金利が低い住宅ローンに借り換えをすると、返済額を増やすことなく返済期間を短縮可能です。繰上返済と同じく、利息部分が減ることで総返済額も少なくなる可能性があります。

また、借り換えの際に金利タイプの見直し、情勢に合った金利を改めて選択できたり、団体信用保険を新しいタイプの手厚いものに変えられたりする利点もあります。

ただし、借り換えの際には新規に審査を通過しなければならない点、借り換えにともなう手数料などの諸費用が発生する点には注意しましょう。

団体信用生命保険の審査に年齢は影響するのか

団体信用生命保険の審査にも、年齢は大いに影響します。

住宅ローンを借りるには、基本的に団体信用生命保険への加入が必須となります。

団体信用生命保険の加入を条件にしていないのは、住宅金融支援機構のフラット35くらいです。団体信用生命保険にも審査があり、加入できないと住宅ローンを借りることができません。

団体信用生命保険と年齢の関係について、詳しく解説していきます。

団体信用生命保険の年齢制限

団体信用生命保険の年齢は、基本的に住宅ローンの年齢制限と同じです。

ただし、団体信用生命保険は名前の通り「生命保険」です。基礎疾患があったり、大きな病気をしたことがあったり、病気の可能性が高い年齢になったりすると審査に通らない可能性も出てきます。

引き受け条件緩和型と呼ばれる団体信用生命保険もあり、こちらは基礎疾患があっても場合によっては加入できる団体信用生命保険です。ただし、引き受け条件緩和型の団体信用生命保険は、年齢条件が厳しくなる傾向にあります。

団体信用生命保険を引き受ける保険会社からすれば年齢が高くなるほどリスクを負うので、年齢制限や金利が厳しくなるのは当然といえます。しかし、契約者側からすると年齢が高くなるほど不利になる、ということでもあります。

特約付加を考えると条件が厳しくなる

団体信用生命保険は、引き受け条件緩和型とは別に特約を付加できる場合があります。

特約を付加して保障の範囲を広げると、保険会社の負うリスクは高くなるため、契約者からするとどうしても条件が厳しくなってしまいます。

団体信用生命保険に通る年齢・健康状態のうちに住宅を購入することが大事

このように団体信用生命保険においても、審査については年齢の影響が考えられます。特に基礎疾患があると、引き受け条件緩和型の団信を選ぶ必要があります。年齢が若く、健康であるうちの方が団体信用生命保険は通りやすいことになります。

団体信用生命保険に通りそうにないから、という理由で住宅金融支援機構のフラット35を申し込むという方法もあります。

確かにフラット35は団体信用生命保険の加入が必須ではありませんが、長期間にわたって返済をしなければならない住宅ローンなので、リスク軽減策をとらないのは危険です。団体信用生命保険なしのフラット35で契約して万一のことがあったら、残された家族の生活は非常に厳しくなります。

団体信用生命保険にも年齢が関係する以上、基本的には「団体信用生命保険に通る年齢・健康状態のうちに住宅を購入する」ことを優先する方が、リスク管理としては正しいといえます。

高年齢でも不安なく住宅ローンを借りる2つの方法

借入時年齢が上がるにつれ、老後に長期間返済を続けなければならないことへの不安や、審査において年齢がマイナスに働くリスクは大きくなっていきます。

高年齢の方がより少ないリスクで住宅ローンを借り入れるためには、次のような選択肢を検討するのも手です。

・親子リレーローン
・高齢者向け住宅ローン

それぞれ詳しく説明します。

1.親子リレーローン

親子リレーローンとは、主に子などを後継者(連帯債務者)として、2世代にわたるリレー形式で住宅ローンを返済する方式です。完済時年齢は後継者の年齢で判断するため、50~60代の方でも35年ローンを組める可能性があります。

また、親子の収入を合算できるため、定年後など収入が少ない状態でも希望額を借りやすいというメリットもあります。

2.高齢者向け住宅ローン

金融機関によっては、高齢者向け住宅ローン商品を提供しています。もとより高齢者の借り入れを想定しているため、老後の収入でも借り入れ・返済しやすい条件に設定されているのが特徴です。

代表的な高齢者向け住宅ローンに、住宅金融支援機構の満60歳以上の方専用住宅ローン「リ・バース60」があります。

毎月利息だけを返済すればよく、契約者が亡くなったときに相続財産から元金を一括返済するか、担保物件(住宅・土地)を売却して返済する仕組みです。このような仕組みは「リバースモーゲージ」と呼ばれています。

住宅ローンの審査に通りやすい年齢で、購入の検討を

住宅ローンは、長期間にわたって借りるものです。住宅ローンには申込時年齢と完済時年齢に制限がありますが、年齢だけを原因として審査に落ちるのはこの制限に引っ掛かった場合です。

しかし収入状況や健康状況を考えると、通りやすい年齢というものは存在します。むしろ、それらの点を考慮に入れた上で、住宅購入時期を検討する必要があります。

団体信用生命保険でも同じことがいえます。特にこちらは生命保険ですので、基礎疾患などがあったり、高齢であったりすると審査に通りにくくなってしまうものです。団体信用生命保険の加入は、基本的に住宅ローンでは必須となります。そのため、団体信用生命保険の審査の点からみても、住宅購入年齢は考慮しなければいけません。

住宅の購入を考えている場合は、住宅ローン・団体信用生命保険の両方の観点から、通りやすい年齢で購入検討することをおすすめします。遅すぎるといろんな制約を受ける可能性がありますが、早いうちに検討しておけば制約をあまり受けず、余裕をもった計画が立てられます。

住宅購入は、一生のうちでもっとも大きい買い物でしょう。住宅ローンを利用する際は年齢で後悔しないように、しっかりと検討してみてください。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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