
ふと数年後に控える自分の老後を考えると、住宅ローンの返済と子どもの教育費で預貯金残高はほとんどなく、ひと月たった10万円で生活しなければならない現状に愕然ときた場合、タイムリミットまで時間がない中どうすればいいのでしょうか。

執筆者:柴沼直美
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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就労機会を探る
最も手っ取り早いのは就労機会を探すことです。お気づきのように以前は福祉関連(介護など)では資格取得が前提でした。しかし今や空前の人手不足。人材を確保するために、雇用主側も徐々にハードルを下げざるを得なくなっています。
確かに資格取得者と未資格者であれば、時給の差は当然発生しますが、門前払いではなくなりました。「自分には合わないから」と、安易に結論を出さず、わずかな機会も活用して就労機会を探りましょう。人との出会いから、新たな就労機会のチャンスが訪れる可能性もあります。
行政サービスで該当するものを活用する
安易に「生活保護」と思われがちですが、これは最後の手段です。すなわち、就労不可能、財産もなく、親族に扶養をお願いすることもできない、など考えられうる手段を尽くしても生活費を賄えない場合になります。
ですが、どうしても年金しかない、それだけでは生活できない場合は、早めに相談しましょう。深刻な状況になれば、手続きも大変になり、決定が下りるまで時間がかかります。問題は小さいけれど、放っておくと取り返しがつかなくなりそうだという状況になる前に相談すれば、いろいろな選択肢も残っているはずですし、手続きも短時間・簡易なもので済む場合が多いです。
ためらったり面倒がったりして先延ばしにするのが最も避けるべきことです。
責任は果たす
行政に支援を仰げばそれで終了、というものではありません。これらは税金で賄われているわけで、それを払う人の数は少子高齢化によって減少の一途であることを思い起こしてください。
例えば、必要書類の提示・提出にはきちんと応じる、そのほかの情報開示にも従う、生活保護を受けるにあたって処分しなければならない財産を処分するなど(例えば生活保護を受けているのにスマホやPC、タブレット端末などを何台も持っているなどは認められません)、当然の責任を果たさなければならないことは意識しておかなければなりません。
一番大事なことは自己認識と開示です。その場を取り繕ったり、ごまかしたり、おっくうがったりしないで、自分の置かれた状況を認め、専門家に指示を仰ぐことです。
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
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