6月3日には、国土交通省より次世代住宅ポイントの交換商品が公表されました。(※1)今回は引き上げ後の住宅取得に対する支援策の内容と、引き上げ前と比べてどのようなメリットがあるかについて整理してみます。
執筆者:橋本秋人
FP、不動産コンサルタント
早稲田大学商学部卒業後、大手住宅メーカーに入社。30年以上顧客の相続対策や不動産活用を担当。
現在はFP、不動産コンサルタントとして相談、実行支援、講師、執筆等を行っている。平成30年度日本FP協会広報センタースタッフ、メダリストクラブFP技能士受験講座講師、NPO法人ら・し・さ理事、埼玉県定期借地借家権推進機構理事
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※ただし、審査の結果金利プランが保証付金利プランとなる場合、ミックスはご利用いただけません。
※審査の結果によっては保証付金利プランとなる場合があり、この場合には上記の金利とは異なる金利となります。金利プランが保証付金利プランとなる場合は、固定金利特約が3年、5年、10年に限定されます
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10月1日前の契約でも消費税は10%?
建売住宅や分譲マンションは売買契約日にかかわらず、引渡しが10月1日以降のものは全て10%の税率が適用されます。
しかし、注文住宅の場合は、契約から完成まで時間がかかることから、特別に経過措置が設けられています。今年の3月31日までに請負契約を結んでいれば、引渡しが10月1日以降でも現在の8%が適用されます。
しかし、経過措置の契約期限日を過ぎた現在は、9月30日までに引渡しが行われない限り、10%の税率が適用されることになります。政府は今回の消費税率引き上げによる住宅需要の腰折れを防ぐために、さまざまな支援策を用意しました。
住宅ローン控除の拡充
今回の支援策の柱といえる住宅ローン控除については、控除期間が10年間から13年に拡充されます。
この制度は、住宅ローンを借り入れて一定の要件を満たす住宅を取得した場合、住宅ローンの年末残高(または住宅の取得対価のうちいずれか少ない方、以下同様)の1%が所得税から控除されるというものです。
なお、所得税で引ききれない場合は翌年の住民税から13万6500円を限度に控除されます。現行の控除期間は10年間ですが、消費税10%適用の住宅については13年に延長されます。
延長された場合の控除額の計算は以下の通りになります。
1年~10年目 借入金の年末残高の1%(一般住宅は最大4000万円、認定住宅は最大5000万円)
11年~13年目 下記のいずれか小さい額
(1)借入金の年末残高×1%(一般住宅は最大40万円、認定住宅は最大50万円)
(2)建物購入額(一般住宅は最大4000万円、認定住宅は最大5000万円)×2%÷3
それでは、控除期間が10年から13年に3年間延長されると、消費税の増税分をどのくらい取り戻せるのでしょうか。注文住宅の例で計算してみます。
【共通の条件】
工事価格:2000万円
資金内訳:自己資金300万円
残りは住宅ローンを利用(1.3% 35年返済 全期間固定金利型)
その他:・諸費用は考慮しない。
・住宅ローン控除を満額受けられる所得がある。
・繰上げ返済はしないものとする。
・毎年の控除額は1000円未満切り捨て。
ケース(1) 消費税率8%の場合
工事価格: 2160万円(消費税160万円)
住宅ローン:1860万円
→ 住宅ローン控除額の合計 161.9万円
総返済額 2316万円
ケース(2) 消費税率10%の場合
工事価格: 2200万円(消費税200万円)
住宅ローン:1900万円
→ 住宅ローン控除額の合計 204.7万円
総返済額 2365.9万円
ケース(2)では、住宅ローンを消費税の差額分40万円増額したため総返済額は49.9万円増えますが、住宅ローン控除の合計も42.8万円増えるため、差し引きすると負担増はわずか7.1万円になります。つまり、消費税の増税分のうち、かなりの金額を取り戻せることになります。
次世代住宅ポイント制度
この制度により、一定の性能を有する新築の場合、1戸当たり最大35万ポイント、リフォームでは1戸当たり最大30万ポイントが付与されます。
ポイントは、「省エネ・環境配慮」「防災」「子育て」「家事負担軽減」「健康」「地域振興」の各テーマに関連する商品の交換に利用できます。
例えば、省エネ関連として、スマートスピーカーが6500~7万ポイント、液晶テレビが3万~47.5万ポイントなど、さまざまな商品が掲載されています。(2019年6月15日現在)交換対象商品については2019次世代住宅ポイント事務局のHPをご覧ください。
すまい給付金の拡充
従前からある制度ですが、消費税率引き上げに伴い、給付額も最大30万円から50万円に増額されます。この制度は、住宅ローン控除の恩恵が少ない所得層に対して、消費税率引き上げの負担軽減を図るためのものです。
また、税額控除ではなく、給付金として申請により支給されるのが特徴です。なお、給付額は収入により異なるため、詳しくはすまい給付金事務局のHPで確認してください。(※2)
住宅取得資金贈与の非課税特例の拡充
父母や祖父母から一定の要件を満たす住宅の取得に対して資金援助(贈与)を受ける場合は非課税枠が設けられており、その範囲であれば贈与税がかかりません。現行の非課税枠は、省エネ住宅等の場合1200万円、それ以外の住宅は700万円となっています。
消費税率10%の適用後は、この非課税枠が大幅に拡充され、それぞれ3000万円、2500万円となります。住宅取得資金贈与を考えている人の場合は、今回の拡充を最大限に利用することにより、負担の軽減とあわせて、将来の相続税対策にも効果が期待できます。
以上のように、今回の消費税率引き上げに伴う住宅支援策は、驚くほど手厚いものとなっています。
上手に活用できれば、消費税率が10%に上がったとしても、負担を軽減できるどころか、かえってお得感が大きい結果になります。制度をよく理解して、上手に利用することをおすすめします。
出典
※1 国土交通省・2019次世代住宅ポイント事務局HP
※2 国土交通省・すまい給付金事務局HP
執筆者:橋本秋人(はしもと あきと)
FP、不動産コンサルタント
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