今回は、保証料支払い義務のある住宅ローンと保証料免除の住宅ローンを比較してどちらがお得なのかをご紹介します。
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監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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住宅ローンの保証料免除はリスクがあるか
保証料不要の住宅ローンは審査が厳しい傾向にあるため、ローンを組めないリスクがあります。それ以外に、保証料不要の住宅ローンだからといって、債務者に特別なリスクが発生するわけではありません。保証料は債務者をサポートするための制度ではなく、保証料不要でも保証料ありでも、返済が難しくなった場合の返済義務が免除されるわけではないからです。
基本的には保証料を不要とする場合のリスクは、金融機関側にあります。保証会社と契約していれば債務者が返済不可能になった場合に金融機関が背負う債務は保証機関によって全額返済されますが、保証料不要の場合、金融機関自体が貸し倒れリスクを負うからです。
保証料が不要の金融機関
一部の金融機関では、保証料を不要とした住宅ローンを提供しています。例えば、住信SBIネット銀行、ソニー銀行、新生銀行などは保証料が不要です。秋田銀行や筑波銀行など地方銀行は保証料が必要ですが、都市銀行と比較すると保証料の最低金額が低く設定されています。
保証料不要の金融機関は次の通りです。選択の際はそれぞれの手数料なども含めて総合的に比較して選ぶようにしましょう。
●住信SBIネット銀行
●新生銀行
●イオン銀行
●楽天銀行
●ソニー銀行
りそな銀行、三井住友信託銀行は融資手数料型ローンに限り保証料が不要となっています。また金融機関と住宅金融支援機構が提携している『フラット35』も保証料は不要です。
保証料不要の住宅ローンのデメリット
保証料不要のデメリットは、保証料が不要でかなりお得だと思ったら実は支払う諸費用が同額、もしくは高額になってしまう可能性があることです。
保証料が不要の場合、3000万円の借り入れの場合は60万円ほどお得になると思ってしまいがちですが、諸費用の合計額を比較してから決めましょう。
保証料は不要でも、その代わりに「事務手数料」が高額になる場合があるので注意が必要です。事務手数料には、定額型と定率型があります。定額型は住宅ローンの借入額が多くなっても常に一定の金額を支払いますが、定率型は住宅ローンの借入額に一定の割合で上乗せされます。
融資手数料(事務手数料)を借入額の2.2%としている金融機関の場合、3000万円の借入額ならば66万円と、保証料とほぼ同じ額を必要とします。ちなみに保証料を支払うタイプの住宅ローンには事務手数料は不要です。
事務手数料については金融機関によっても異なるため、それぞれきちんと比較することが大切です。
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保証料不要のプロパーローンとは
保証料が不要となる住宅ローンには、あまり知られていませんが「プロパーローン」があります。プロパーローンが知られていないのは、扱っている金融機関が少ないこととあまり積極的に宣伝をしていないためです。プロパーローンとは、保証会社を利用せず、銀行が審査し、ローン概要もそれぞれの銀行が設定する銀行独自のローンです。
プロパーローンを扱う銀行
プロパーローンを取り扱っているのは、平塚信用金庫など一部の地方銀行や信用金庫、信用組合などのみです。日本住宅ローンでは、フラット35とプロパーローンを組み合わせた「MCJフラット35パッケージ」を提供しています。
こちらは融資額の90%をフラット35、残りをプロパーローンで借り入れするタイプのローンです。住宅ローン以外に事業資金融資のためのプロパー融資を扱っている銀行もあります。
プロパーローンのメリットとデメリット
プロパーローンのメリットは、保証料がないことと保証会社を通さないため年収や勤続年数、返済比率が住宅ローンの基準に満たない場合でも比較的審査に通りやすい点です。
一方、保証人が必要なことがデメリットです。ローン契約者が返済できない場合に代わって負債を背負うことになるため、保証人を見つけることは難しいでしょう。また金利が一般の住宅ローンより少し高めに設定しているケースが多くあります。手数料なども含めてどのくらい金額が多くなるのかをきちんと計算して決めましょう。
保証料とは
保証料とは、住宅ローンを契約する際に保証会社に支払う費用です。住宅ローンを利用する場合には保証会社と契約し、借入額などを考慮して保証料を支払います。
以前は高額のローンを組む場合は連帯保証人を立て、ローンの返済が困難になった場合は、連帯保証人が債務者に代わって支払いをする方法が主流となっていました。
しかし、その際に連帯保証人をお願いできる親族などがいないとローンを借りられないという問題が発生し、それを解消する目的で連帯保証人の代わりに保証会社と契約する方式が取り入れられたのです。
保証会社と契約することで、住宅ローンを返せなくなった場合には、保証会社が残債全額を融資先の銀行に返済します。ただし、債務者の返済が帳消しになるわけではありません。ローン契約者にとっては、返済する相手方が住宅ローンを契約した金融機関から保証会社に移るだけで、債務は継続して抱えることとなります。
保証会社はローン契約者へ立て替えた金額を一括で返済することを請求します。基本的に保証料とは、債務者を助けるためのものではなく、保証人の代わりに利用し住宅ローンを借りるための条件の一つだという認識が必要です。
そもそも住宅ローンの保証料の金額は?
保証料は住宅ローン商品によって異なりますが、りそな銀行のこちらの表がとても参考になります。100万円あたりの必要な保証料が、借入期間によってどのように変化していくかがわかります。
借入期間 | 100万円当たりの保証料 |
---|---|
5年 | 4580円 |
10年 | 8544円 |
20年 | 1万4834円 |
25年 | 1万7254円 |
30年 | 1万7254円 |
35年 | 2万614円 |
35年間の借り入れの場合、100万円につき保証料が2万614円が必要です。3000万円を借り入れた場合は次のような計算になります。
2万614円×30(3000万円÷100万円)=61万8420円
りそな銀行で3000万円を借り入れ、35年で返済していく場合、61万8420円が保証料として必要です。もちろんこの数値は銀行や住宅ローンの種類によって異なります。金額を決める際に必要となる項目は次の3つです。
●住宅ローンの借入金額
●返済期間(年数)
●利用する銀行ローン(金融機関)
支払い方法は2つ
保証料の支払い方法には、「保証料一括前払い型」「保証料金利上乗せ型」の2種類の方法があります。
保証料一括前払い型は初期費用を支払う際に保証料も一緒に支払う方法です。一方保証料金利上乗せ型は、住宅ローンの金利に上乗せして支払います。
支払い方法による金額の違い
保証料一括前払い型は初期費用を支払う際に保証料を一括で払うため、保証料だけでもかなりの出費になります。
例えば3000万円を借り入れした場合に前述の約60万円の保証料以外にも登録税や印紙代、事務手数料などを支払う必要があります。一方、保証料金利上乗せ型の場合は、登録税や印紙代、事務手数料のみですから、保証料にかかる約60万円の初期費用を抑えることができます。
住宅ローンの保証料が不要のケースはお得とはいえない
住宅ローンの保証料が不要となるローンについて紹介しました。保証料が不要であっても事務手数料が高額な場合は、初期費用が必ずしも抑えることができるわけではありません。総合的にどのくらいの支払いが生じるのか、また自分にとって支払いやすい方法はどれかということを考える必要があります。
初期手数料を抑えることができるのは、保証料を金利上乗せ型で支払う方法です。しかしその分月々の支払額は少し増えてしまいます。保証料のない住宅ローンとしてプロパーローンがありますが、デメリットは、保証人が必要なことです。それぞれにメリット・デメリットがあるので、じっくりと比較してください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
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