しかし、ローンの計算は複雑なので「どうすればいいの?」と困っている方もいるでしょう。
そこで今回は、住宅ローンの借り換えを検討する際の返済額の計算方法や、計算例を紹介します。また、実際に計算をして借り換え前後の比較をする利点も解説していきます。
日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジュを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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住宅ローン借り換えの効果を計算する方法
住宅ローンの借り換えを検討する際には、現在の住宅ローンと借換先候補を比べて、メリットが大きい住宅ローンを見極める必要があります。借り換えによってもたらされる効果を計るには、借り換え前後の総返済額や月々の返済額を計算し、数字を比べる方法が最も確実で、わかりやすいでしょう。
住宅ローン借り換えの効果を計算する方法は、主に次の2つです。
●自分で計算する
●金融機関などが提供するシミュレーターを使う
以下で、それぞれの方法をくわしく解説します。
自分で計算する
住宅ローンの毎月の返済額・総返済額を計算するには、次の計算式を用います。
毎月の返済額=【借入額×月利×{(1+月利)の“返済回数”乗}】÷【{(1+月利)の“返済回数”乗}-1】
月利とは、年利を12ヶ月で割ったものです。例えば年利1.2%の場合の月利は0.1%です。
借入額2500万円、返済期間30年(返済回数360回)、年利1.2%(全期間固定)の住宅ローンを上の式に当てはめてみましょう。
【2500万円×0.1%×{(1+0.1%)の360乗}】÷【{(1+0.1%)の360乗}-1】=8万2727円
元利均等返済は毎月の返済額が一定のため、月の返済額に返済回数をかけた数字が、総返済額となります。
8万2727円×360=2978万1720円
上記の計算を普通の電卓で処理しようとしても、累乗の数字が大きく、計算途中の桁数も多くなるため難しいでしょう。元利均等返済の場合は、シミュレーターやローン電卓などを使用するのが適当です。
月の返済額=元金返済額+利息返済額
※元金返済額=借入金額÷返済回数/利息返済額=直前のローン残高×月利
借入額2500万円、返済期間30年(返済回数360回)、年利1.2%(全期間固定)の住宅ローンを当てはめると、返済1回目の返済額は次のようになります。
【2500万円÷360】+【2500万円×0.1%】=9万4443円
2回目以降は直前の住宅ローン残高から元金返済額を引いた金額を、最新のローン残高として計算します。試しに、上の条件で2回目の返済額を計算してみましょう。
【(2500万円-9万4443円)÷360】+【(2500万円-9万4443円)×0.1%】=9万4087円
これを返済回数分繰り返して計算結果を合計すると、総返済額が導けます。
上のような方法で月の返済額や総返済額を計算し、借り換え前後の数字を比較すれば、理屈上は借り換えの効果を導き出せます。しかし計算は複雑で、手間や時間が非常にかかってしまいます。また、単に返済額・総返済額を比べるだけでなく、借り換えにかかる諸費用も考慮しなければなりません。
シミュレーターを使う
金融機関などが提供するシミュレーターを利用すれば、必要な情報を入力するだけで、瞬時に返済額や総返済額を計算してくれます。住宅ローンのシミュレーターで入力を求められることが多いのは、次のような情報です。
・借入残高
・残りの期間
・現在の返済額
・現在の金利
・現在の返済方法
・借入希望額
・借入期間
・借り換え後の金利(予想)
・借り換え後の返済方法
など
借り換え専用のシミュレーターを使えば、借り換え前後の差額まで表示されるため、自分で差し引きして比較する必要がありません。また、借り換えにともなう諸費用も含めた試算が可能なシミュレーターもあります。
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住宅ローン借り換え検討時に計算が必要な理由
住宅ローンの借り換えを検討するときに計算によるシミュレーションがなぜ必要なのかというと、条件を比べただけでは実際にどれだけのメリットがあるのかが、分かりづらいためです。
住宅ローンの借り換えの効果が出やすい条件として、一般的には次の3点が挙げられます。
●借り換え前後の金利差が1%以上である
●30日以内なら追加融資も再度の利用も対象
●返済期間が10年以上残っている
しかし、この条件に当てはまっていなくても、計算をしてみると意外と効果が期待できる場合もあります。計算して数字を出してみることで正しい判断ができ、実際には効果があるのに借り換えを諦める、といったもったいない事態を防げるのです。
また、条件がそろっていても、諸費用を含めた場合のメリットが予想より小さいケースもあります。こちらも、諸費用を考慮してシミュレーションをしてみることで、判断ミスを防げるでしょう。
【借入条件別】住宅ローンの借り換え効果計算例
ここからは、借り換え前後でどのように返済額が変化するか、いくつかのケースを取り上げて試算結果をみていきましょう。
《条件》
・ローン残高:3000万円
・残返済期間:25年
・返済方式:元利均等返済
◎全期間固定金利3%⇒全期間固定金利1.5%に借り換え
毎月の返済額:14万2263円⇒11万9980円(△2万2283 円)
総返済額:4267万8858円⇒3599万4148円(△668万4710 円)
《条件》
・ローン残高:900万円
・残返済期間:8年
・返済方式:元利均等返済
◎全期間固定金利3%⇒全期間固定金利1.5%に借り換え
毎月の返済額:10万5566円⇒9万9545円(△6021 円)
総返済額:1013万4303円⇒955万6367円(△57万7936円)
・ローン残高:1500万円
・残返済期間:12年
・返済方式:元利均等返済
◎全期間固定金利2%⇒全期間固定金利1.5%に借り換え
毎月の返済額:11万7252円⇒11万3887円(△3365 円)
総返済額:1688万4295円⇒1639万9763円(△48万4532円)
ローン残高も残返済期間も多いケース1では、適用金利が1.5%下がると、非常に大きな減額効果が見込めることがわかります。
また、残高1000万円・残期間10年を切っているケース2でも、十分な金利差があれば、減額効果が全くないわけではありません。ただし、場合によっては減額幅よりも諸費用の金額が大きいこともあるため、注意が必要です。
反対にケース3は、残高1000万円・残期間10年を満たしているものの、金利差が小さいためそれほど大きな減額効果が得られない結果となっています。
このように、実際に数字を出してみると借り換えによる効果が具体的に目に見えるようになります。借り換えをするべきかどうかの判断だけでなく、借換先金融機関の選定においても役立つでしょう。
借り換え前に計算をして効果を確認しましょう
借り換えをするときには、条件だけをみて借り換えの是非や借換先の優劣を判断してしまいがちです。しかし、実際に借り換え前後の返済額や必要な諸費用を試算してみると、想像していたのとは違う結果になる場合があります。
借り換えをしたことで損をしたり、借り換えを諦めて後悔したりしないためには、シミュレーターなどを利用して、具体的な数字を比べてみることが大切です。数字が目に見えることでメリットの大小がよく分かるようになり、最良の選択につながるはずです。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
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