住宅ローンの繰り上げ返済を上手に利用すると、返済期間の短縮や月々の返済額の減額ができ、総返済額も削減できます。
この記事では、住宅ローンの繰り上げ返済を上手に活用できるようになりたい方のために「住宅ローンの繰り上げ返済で得するワザ」をまとめました。
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監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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住宅ローンの繰り上げ返済にはどんな方法がある?
繰り上げ返済の方法には「一部繰り上げ返済」「全部繰り上げ返済」の2種類があります。
■一部繰り上げ返済
借入額の一部を繰り上げ返済する方法です。一部繰り上げ返済の方式は「期間短縮型」「返済額軽減型」の2タイプに分かれます。
・期間短縮型
月々の返済額はそのままに、借入期間を短縮する方式です。借入期間が短くなることで、短縮された期間に発生する予定だった利息を削減できます。
・返済額軽減型
借入期間はそのままで、月々の返済額を減額する方式です。毎月の負担が軽減され、期間短縮型と比べると効果は少ないものの利息の支払いも削減できます。
■全部繰り上げ返済
最終返済日より早いタイミングで、借入残高を全額まとめて返済する方法です。期日前完済と呼ぶこともあります。
繰り上げ返済をお得に利用するためには、繰り上げ返済の各方法について理解し、目的に合う方法を選択することが大切です。
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住宅ローンの繰り上げ返済で最も得する方法は?
繰り上げ返済を利用してできるだけ得をしたいと考えるなら、繰り上げ返済をするタイミングや、選択する方式に注目する必要があります。主なポイントは次の2点です。
1. 繰り上げ返済時期は早いほど得
2. 同時期に同額を返済するなら返済期間短縮型が得
以下で、それぞれのポイントについて、くわしく解説します。
繰り上げ返済時期は早いほど得
同じ方式で同額を繰り上げ返済する場合、タイミングが早ければ早いほど、利息の総支払額が軽減されます。
次の条件で、返済開始から5年後、10年後、20年後に一部繰り上げ返済した場合に、軽減される利息額を比べてみましょう。
借入額:3000万円
返済期間:30年
金利:年1.5%(全期間固定金利)
返済方式:元利均等返済
ボーナス返済:なし
繰り上げ返済額:300万円
繰り上げ返済方式:期間短縮型
●5年後に繰り上げ返済した場合…125万325円
●10年後に繰り上げ返済した場合…95万594円
●20年後に繰り上げ返済した場合…41万1772円
上記の条件の場合、5年後と20年後では約80万円、10年後と20年後でも40万円以上、利息軽減効果に差があることがわかります。
同時期に同額を返済するなら返済期間短縮型が得
同じタイミングで同額を繰り上げ返済するなら、返済額軽減型よりも期間短縮型の方が大きな利息軽減効果を得られます。返済開始から10年後に一部繰り上げ返済をするケースを例に、期間短縮型と返済額軽減型それぞれの利息軽減額を比べてみましょう。
借入額:3000万円
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返済方式:元利均等返済
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繰り上げ返済額:300万円
繰り上げ返済時期:返済開始から10年後
●期間短縮型…95万594円
●返済額軽減型…47万2234円
このケースでは、期間短縮型と返済額軽減型の利息軽減額の間に、約2倍の開きがあります。毎月余裕をもって返済できている場合であれば、期間短縮型を選択する方がメリットが大きいといえるでしょう。
繰り上げ返済で損をしないためのポイント
繰り上げ返済をする際に判断を誤ると、メリットがなくなるケースや、反対に損をするケースもあるため注意しなければなりません。
特に注意したいポイントは次の4点です。
1. 繰り上げ返済しやすい住宅ローンを選ぶ
2. 住宅ローン控除との兼ね合いを考える
3. 繰り上げ返済の方法で手数料が異なる場合がある
4. 繰り上げ返済に資金を回しすぎないようにする
以下でそれぞれのポイントについて、損をしないための考え方を解説します。
繰り上げ返済しやすい住宅ローンを選ぶ
借り入れの時点で将来的に繰り上げ返済することを視野に入れている場合は、住宅ローンを選ぶ際に繰り上げ返済のしやすさをチェックするのがおすすめです。次のようなポイントを確認して、比較してみましょう。
●繰り上げ返済手数料
繰り上げ返済の手続きにかかる手数料は、金融機関ごとに異なります。1回あたり無料から数万円まで金額に開きがあるため、トータルコストを考慮して借入先を検討しましょう。
●繰り上げ返済の最低金額
金融機関によっては、繰り上げ返済の最低金額を定めていることがあります。小さな金額からでも繰り上げ返済できるのかどうかを確認しておきましょう。
●繰り上げ返済の手続き方法
繰り上げ返済の手段は、インターネットで手続きができるものや、店頭のみで受け付けているものなど、金融機関によって異なります。手続きに手間がかかると、ついつい繰り上げ返済を後回しにしてしまうことなども考えられるため、できるだけ簡潔に手続きできる住宅ローンを選ぶほうがよいでしょう。
●自動繰り上げ返済の有無
金融機関のなかには、返済口座の残高に余剰がある場合に自動的に繰り上げ返済されるサービスを提供しているところがあります。毎回手続きしなくても小まめに繰り上げ返済できるため、利用すると便利です。
住宅ローン控除との兼ね合いを考える
住宅ローン控除の対象期間中に繰り上げ返済をする場合には、次のことに注意が必要です。
●控除額が減る場合がある
住宅ローン控除の控除額は年末残高を元に算出されるため、繰り上げ返済によって残高を減らすことで控除額は減少します。ただし、住宅ローン控除の対象となる年末残高は最大4000万円のため、4000万円を超える部分については、繰り上げ返済をしても影響ありません。
●控除対象外になる場合がある
返済期間が10年以上であることが、住宅ローン控除を受ける条件のひとつです。繰り上げ返済によって残りの返済期間が10年未満になると、住宅ローン控除を受けられなくなります。
以上のポイントを踏まえて、住宅ローン控除の対象期間中には、繰り上げ返済の効果と控除額を比較して有利なほうを選択することが必要です。基本的には、住宅ローンの金利が高ければ高いほど、繰り上げ返済を優先するほうがメリットが大きくなる傾向にあります。具体的な金額を試算したうえで、最終的な判断をしましょう。
繰り上げ返済の方法で手数料が異なる場合がある
金融機関にもよりますが、繰り上げ返済の手続き方法によって、異なる手数料額が設定されていることがあります。場合によっては数万円の差があることもあるため、繰り上げ返済をするときには手数料を確認してできるだけコストのかからない方法を選択するとよいでしょう。
繰り上げ返済に資金を回しすぎないよう注意する
繰り上げ返済を利用すると、効果的に住宅ローンの負担を軽減できます。
しかし、繰り上げ返済に熱心になるあまり、手元資金を繰り上げ返済に回しすぎないように気を付ける必要があります。なぜなら、繰り上げ返済によって手元資金を減らしすぎると、急な支出やライフイベントごとの大きな出費に対応できなくなるリスクがあるためです。
手元資金の不足を補うために、ほかの借り入れをしなければならないようなことになれば、本末転倒です。教育資金や老後資金、万が一のための備えなどを十分に確保しつつ、それでも資金に余裕がある場合に繰り上げ返済に回すことを意識しましょう。
得するワザを知って賢く繰り上げ返済を利用しましょう
繰り上げ返済は、うまく利用すれば住宅ローンの負担を効率的に軽減できる手段です。しかし、判断を誤ると、逆に金銭的な負担感が増したり、損をすることもあります。
できるだけお得に繰り上げ返済するためには、繰り上げ返済を視野に入れて借入先を選択し、適切な方法やタイミングを十分に検討することが大切です。住宅ローンを順調に返済できるよう、繰り上げ返済で得するワザを賢く活用しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
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