収入合算して住宅ローンを契約するメリット&デメリットを徹底解説 | ファイナンシャルフィールド

更新日: 2021.11.11 その他

収入合算して住宅ローンを契約するメリット&デメリットを徹底解説

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 新井智美

収入合算して住宅ローンを契約するメリット&デメリットを徹底解説
「住宅ローンを契約したいけれど、自分1人の年収では借りられそうもない」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。
 
しかし、希望する金額が借りられそうもないからといって、諦めることはありません。そのようなときに金融機関から提案されるのが「収入合算」です。申込者の配偶者や親などの収入を合算することができるため、希望の金額が借りられる場合があります。
 
ただし、収入合算にはメリットばかりでなく、デメリットもあることを忘れてはなりません。今回は、収入合算をして住宅ローンを契約する場合のメリットやデメリットを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジュを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。

新井智美

監修:新井智美

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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住宅ローンの収入合算とは?

 
住宅ローンの収入合算とは、住宅ローンの契約者の年収に、一定の収入がある配偶者、両親や子どもの年収を合算して借り入れすることをいいます。
 
ただし、収入合算するためには要件を満たしていなければなりません。細かな基準については金融機関によって住宅ローンの条件が異なるため、借り入れしようと考えている金融機関について事前に調べておくとよいでしょう。
 

収入合算に指定できる人

 
収入合算を考えたとき、収入合算者として指定できるのは、以下の要件を満たした人です。
 

●契約者本人の親、配偶者、子ども
●契約者本人と申し込んだ住宅に同居している方
●契約時の年齢が満70歳未満であること
●連帯債務者になることができる方(1名のみ)

 
ただし、セカンドハウスを購入する場合には、特例として同居していなくても認められることがあるので、事前に確認しましょう。
 

収入合算できる金額&返済期間

 
一般的には、収入合算できる金額は合算者の年収の全額まで、借入期間は35年または契約時から80歳までの期間のどちらかです。しかし、合算する金額が合算者の年収の50%を超える場合、返済期間は以下の計算式で求めた期間になります。
 

【計算式】

80 – (AとBのうち契約時の年齢が高い方の年齢(1歳未満切り上げ)) = 最大返済期間
A:契約者本人 B:収入合算者

 
例えば、主債務者(38歳)が年収450万、収入合算者(57歳)が年収800万で合算者の年収を全額合算する場合の返済期間を考えてみます。
 
合算額が年収の50%以上になるため、80歳から58歳(1歳未満切り上げ)を引いた22年が設定できる最大返済期間になります。
 

連帯保証型と連帯債務型との違い

 
収入合算の方法には、連帯保証型と連帯債務型とがあります。金融機関によっては、連帯保証型のみしか扱っていない場合もあるため、注意しましょう。
 
連帯保証型とは、債務者が借り入れした住宅ローンを連帯保証人が保証することです。例えば、債務者の夫が何らかの理由で支払いができなくなった場合に、連帯保証人の妻が代わりに返済する義務が課されることになります。
 
一方、連帯債務型とは、夫婦、親子関係のうちの1人が主債務者となって、住宅ローンを契約し、もう一方が連帯債務者となる方法です。この場合、ともに返済義務が生じます。一般的に、連帯債務型は一部の金融機関でしか扱っていない場合が多いです。
 

ペアローンとの違い

 
ペアローンとは、同じ物件について、配偶者あるいは親子関係にある者同士が別々に住宅ローンを組むことです。2本の契約を結ぶことになるため、別々の口座から引き落とされます。手数料や保証料などの諸経費も2本分、かかるので注意しましょう。
 
ペアローンの場合、お互いがそれぞれの連帯保証人になります。また、それぞれが団体信用生命保険に加入できるのも特徴です。
 

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収入合算のメリットについて

 
最近では共働き世帯が増えているので、住宅ローンを契約するときに、収入合算を選択肢に入れてもよいでしょう。それでは実際に、収入合算して住宅ローンの契約をする場合には、どのようなメリットがあるのかについて、考えていきます。
 

借入可能金額を増加できる

 
単独で住宅ローンを契約する場合に比べて、契約者の収入に収入合算者の収入を合算するので、借入可能額が増えます。
 
したがって、欲しいタイプの家やマンションがあるけれど、資金が不足しているような場合には、収入合算を検討するとよいでしょう。借入金額が増えれば、住まいの選択肢を増やすことができ、希望の物件を購入できる可能性が高くなります。
 

住宅ローン控除額を増加できる

 
年末の住宅ローン残高に応じて、所得税などが減税される制度が住宅ローン控除です。住宅ローンの借入金額が増加すると、住宅ローン控除額も増えるため、節税対策にもなります。
 
一般的に、年末の住宅ローン残高が4000万円以上の場合、最大控除額は40万円、4000万円未満の場合はローン残高の1%が最大控除額となります。例えば、残高が2800万円の場合28万円が、3200万円の場合32万円が控除額の上限です。
 

契約が1本になるため、諸経費が抑えられる

 
収入合算して住宅ローンを契約する場合は、1本の契約とみなします。したがって、契約に関する保証料、事務取扱手数料、印紙税などの諸経費が1本分で済みます。ペアローンであれば、2本分の経費がかかることを考えると、諸経費を抑えることができます。
 

収入合算のデメリットについて

 
住宅ローンの収入合算を利用すれば、確かに借入金額が増えますが、だからといって資金が足りない場合に、やみくもに収入合算をすればよいかというとそうでもありません。
 
住宅ローンの返済中に失業や病気などで契約時と状況が変わることもあります。知らなかったために思わぬ損失を被ることもあることから、デメリットについてもしっかりと理解しておきしましょう。
 

離婚した場合に問題が生じることがある

 
住宅ローンの返済期間中に離婚をした場合、返済義務がなくなるわけではありません。離婚後に購入物件をどちらの住まいとするのか、どちらが残りの住宅ローンを返済し続けるのか、新たにローンの借り換えをするのかなど、さまざまな問題が生じ、最悪の場合にはトラブルに発展することもあります。
 
特に、物件が共有名義になっている場合、所有権が引き金となってもめることがあります。このようなトラブルの可能性を懸念して、連帯保証人を配偶者ではなく親に頼む方法もあります。思い当たることがある方は、事前に弁護士や税理士に相談するとよいでしょう。
 

債務者しか団体信用生命保険に加入できない

 
連帯保証型の場合、主債務者は団体信用生命保険には加入できますが、連帯保証人は加入できません。したがって、万一、主債務者の失業等で返済能力がなくなった場合、連帯保証人が返済義務を負うことになります。ただし、主債務者が亡くなった場合には連帯保証人に返済義務は生じません。
 
連帯債務型の場合も、主債務者は団体信用生命保険に加入でき、連帯債務者は加入できません。しかし、一部の金融機関では連帯債務者も団体信用保険に加入できる場合がありますので、確認してみましょう。
 
連帯債務型では、主債務者も連帯債務者も同等の返済義務があります。仮に、主債務者が亡くなった場合、主債務者の支払いは免除されますが、連帯債務者の債務は残りますので、返済義務が生じます。
 
特に、収入合算している場合は借入金額が大きくなりますが、借入可能額が返済可能額というわけではありません。借入金額が大きいということは利息も多くなりますから、返済の負担が大きくなります。こうしたことも考慮したうえで、収入合算を検討しましょう。
 

どちらかの収入が途絶えた場合に返済負担額が大きい

 
契約時には契約者・収入合算者ともに正社員として勤務していたとしても、失業や転職などにより、どちらかの収入が減少してしまうこともあります。あるいは、育児の負担が大きいことから、どちらかが仕事を辞める場合もあり得ます。
 
一生共働きをするという前提で借り入れしていたとしても、あてにしていた収入が入ってこない期間が長くなればなるほど家計への負担が大きくなります。人生は何が起こるか分からないと考え、決して借り入れしすぎることのないよう、冷静に判断しましょう。
 

住宅ローンの収入合算は返済計画を考えて利用しよう

 
資金が不足しているときの解決策として、収入合算によって住宅ローンを契約することができればメリットはありますが、意外とデメリットもあります。
 
メリットやデメリットをきちんと知ったうえで利用しなければ、思いもかけない損失を受けることもあるため、十分に注意しましょう。いずれにしても住宅ローンは綿密な返済計画を立てたうえで、無理のない借り入れ形態で行うことをおすすめします。
 
出典
※国税庁「No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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