住宅ローンは繰り上げ返済するべき?検討するための5つのチェックポイント | ファイナンシャルフィールド

更新日: 2023.05.12 返済

住宅ローンは繰り上げ返済するべき?検討するための5つのチェックポイント

執筆者 : 塚越菜々子

住宅ローンは繰り上げ返済するべき?検討するための5つのチェックポイント
家計の相談のなかでも、大きな割合を占める住宅ローンの相談。
 
これから借りるにあたって固定金利か変動金利か、予算は、期間は、という相談も多いですが、実はそれより多いのは、すでに借りている人からの繰り上げ返済についての相談です。
 
いろいろな要素が混ざり合い、ケース・バイ・ケースのことも多いため、繰り上げるほうがいいかどうかの判断は慎重に行います。繰り上げ返済をするときに、考えたほうがいいポイントについて見ていきましょう。

塚越菜々子

執筆者:塚越菜々子

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催
お金を貯める努力をするのではなく『お金が貯まる仕組み』づくりのサポート。保険や金融商品の販売を一切せず、働くママの家計に特化した相談業務を行っている。「お金だけを理由に、ママが自分の夢をあきらめることのない社会」の実現に向け、難しい知識ではなく、身近なお金のことをわかりやすく解説。税理士事務所出身の経験を活かし、ママ起業家の税務や経理についても支援している。
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繰り上げることで減る利息

まず繰り上げ返済で得ることができるメリットは、トータルで支払う利息が減るということです。毎月返済している額は元本と利息のどちらにもあたるものですが、繰り上げ返済はすべて元本にあたります。
 
そのため利息の軽減効果は高くなります。
 
繰り上げ返済によって、支払期間を短くする期間短縮型と毎月の支払額を減らす返済額軽減型がありますが、トータルの支払利息が減るのは期間短縮型です。
 
長い目で見て得なのは期間短縮型といわれることがほとんどですが、実際の家計の状態においては返済額軽減型が有利なこともありますので、家計と相談して決めたいところです。
 
また、元本が大きいうちの繰り上げ(=借りてからの期間が短い)時期の繰り上げのほうが利息の軽減効果は高くなります。
 

住宅ローン控除の有無

いわゆる住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の有無や、減税になる金額も重要な検討項目です。
 
多くの場合、銀行から借り入れている残額の1~1.5%が、10年間所得税から差し引かれるこの制度は、繰り上げ返済をして借入金残高が減ってしまえば当然差し引かれる額も減ってしまいます。
 
残金が大きいうちのほうが、繰り上げ返済によって減る利息は大きいけれど、住宅ローン控除の金額も大きい。
 
どちらの効果が大きいかは、シミュレーションを行ってみるのがよいでしょう。住宅ローン控除が終わる10年後が、繰り上げ返済を開始する節目としている人も多いですね。
 

繰り上げ返済の手数料

繰り上げ返済は、いつでもいくらでも無料でできる銀行(やプラン)もありますが、1回当たり2万1600円で100万円からなどと決まっている場合もあります。
 
100万円繰り上げ返済するのに2万1600円かかるとしたら、2.16%の手数料になりますから見過ごすことはできませんね。
 
同じ住宅ローンでも、窓口で返済する場合とインターネットバンキングで返済する場合は、手数料が違うなどもありますので、契約書を見直したり問い合わせるなどして、確認をしておきましょう。
 

定年までの残り年数

35歳の時点で35年ローンを組むと、完済は70歳。定年延長などで65歳までは働けるとしても、65歳を過ぎてからは貯金や年金から住宅ローンを支払うのはリスクがあります。
 
また老後の貴重な財源である退職金は、できる限り手を付けないで取っておきたいものです。不労所得が確実に手に入る場合などはその限りではありませんが、できる限り想定退職年齢までには完済できるようにしておけるのが安心でしょう。
 

教育費などの準備具合

住宅ローンを繰り上げ返済して減らしたり、期間を短くするのはそれほど大変なことではありません。しかし、返すのが苦しくなったときに期間を延ばしたり、追加で借り入れを行うのは、余計な手間やお金がかかります。
 
そのため、教育費やそのほかの資金が並行して準備できているかどうかも、大事な判断ポイントです。特に教育費などはほぼ決まった時期にかかりますので「足りなかったからあとで」とはいきません。
 
繰り上げ返済を検討する前に、教育費や近くで使うことがはっきりしているお金が用意できているかどうか、しっかり確認したいところです。
 
このように、トータルの返済金額が安くなるかどうかだけで判断するのは難しいところです。団体信用生命保険をかけているから、万が一支払い者が亡くなれば、払わなくて済むものを先に払ってしまうのはもったいない、という人もいます。
 
借り入れを早めになくして、肩の荷を下ろしたいという人もいます。どちらが正解ということではありません。
 
可視化・数値化できるものは出してみて、それを踏まえて家族の価値観に従って、一番安心できる方法を選び取るといいと思います。
 
Text:塚越 菜々子(つかごし ななこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
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