2018.10.08 資産運用

不動産投資「表面利回り〇%」だけで判断してはいけない! 「5つのステップと5つのリスク」で、ワンルームマンション投資を例に考えてみましょう(後編)

前編では「表面利回り〇%」が実態的にはどんどん下がっていってしまう5つのステップを説明しましたが、そこには「リスク」(将来的な不確実性や変動要因)は考慮されていませんでした。
 
そのリスクとは、一体どんなものなのでしょうか。
 

5つのリスクもお忘れなく

前編では期待しているもの(利回り)がどんどん悪くなっていくという話をしましたが、それらとは別に、各ステップにおいて、さまざまなリスクがあることを理解しておくことも必要です。
 
それらを次の図で確認しましょう。
 

 
[リスク(1)]
・入居者が退去して空室になると、その間は賃料収入が途絶えてしまいます。
・次の入居を確保するために、入居者募集費用をより多く負担しなければならないケースも最近は増えているようです。
・周辺の賃貸市況が弱含み(需給バランスで供給が多くなっているなど)になったり、建物や設備が老朽化したりすると、次の募集での賃料水準を下げなければならないことも少なくありません。
 
[リスク(2)]
・保有している間の管理費、修繕積立金などの各費用は、いずれも増額する可能性があります。
・特に修繕積立金は、築15年くらいから大規模修繕も始まり、それまでの積立金が不足気味ですと、急増することがあります。ひどい場合には、毎月の徴収額が一挙に2~3倍に引き上げられてしまったケースもあるようです。
・室内の設備・機器の老朽化や故障で、修繕や買い換えの費用負担をしなければならない局面もあります。
 
[リスク(3)]
・「変動金利」や「当初期間だけ固定金利」で借り入れしている場合、将来的に金利が上昇することがあります。
・特に、物件価格や諸費用の総額に対して借入金の比率が高くなっているケースでは要注意でしょう。
 
[リスク(4)]
・当初は会計上の収支が赤字となって、宣伝されているような「節税効果」(不動産所得の赤字を給与所得などと損益通算することで所得税が還付されたり、翌年の住民税額が減額されたりするなど)を期待できる場合もあります。
 
・しかし、借入金の返済が進んで金利が減ったり、建物減価償却のうち償却期間の短い設備部分の減価償却が終了した後には、費用として計上できる金額が大きく減ります。そのときには「節税」が「増税」に変身してしまうことになるのです。
 
[リスク(5)]
・周辺のマンション価格相場が(場合によっては大幅に)下落する場合があります。
・そのほかにも、何かの事情で物件を売却して、早く資金化する必要に迫られたとき、値段を下げてもなかなか売れないケースなども、珍しくはありません。
 

まとめ

前編でも後編でもネガティブなことばかり列挙してしまいましたが、どんな投資行為にもリスクやデメリットはつきものです。
 
将来「こんなはずではなかったのに・・・」と後悔しないよう、メリットばかりをうたう宣伝フレーズに舞い上がらないようにしましょう。
 
さまざまな変動ステップやリスクの内容をキチンと事前に認識して検証しておくことは、不動産投資においてとても大切なのです。

 
Text:上野 慎一(うえのしんいち)
AFP認定者,宅地建物取引士

上野 慎一

Text:上野 慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

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