公開日:2019.08.13 資産運用

連日の猛暑で株価が下落!? 気候変動が資産運用に与える影響とは?

身の危険を感じるほどの猛暑が続いています。
 
体調管理が欠かせませんが、実は気候は資産の管理にも少なからぬ影響を与えます。どういう影響が考えられるのでしょうか?
 

執筆者:

執筆者:北垣愛(きたがき あい)

マネー・マーケット・アドバイザー

証券アナリスト、FP1級技能士、宅地建物取引士資格試験合格、食生活アドバイザー2級
国内外の金融機関で、マーケットに関わる仕事に長らく従事。
現在は資産運用のコンサルタントを行いながら、マーケットに関する情報等を発信している。
http://marketoinfo.fun/

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執筆者:

執筆者:北垣愛(きたがき あい)

マネー・マーケット・アドバイザー

証券アナリスト、FP1級技能士、宅地建物取引士資格試験合格、食生活アドバイザー2級
国内外の金融機関で、マーケットに関わる仕事に長らく従事。
現在は資産運用のコンサルタントを行いながら、マーケットに関する情報等を発信している。
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世界的に頻発する異常気象

最近の夏の暑さは、過去と比べてもやはり別格です。また気温上昇だけでなく、大雨などの被害も頻発するようになってきています。九州では、6月末からの数日間に平年の2倍以上の大雨が降り、大きな被害をもたらしました。
 
また日本だけでなく、異常気象は世界的に見られています。6月以降、ロシアのシベリアでは記録的な高温から山火事が多発し、執筆時現在でまだ鎮火のめどが立っていません。
 
西欧も熱波に襲われ、パリでは7月末に観測史上最高の42.6度を記録しました。
 
また米国では、春ごろから洪水の被害が多発し、死者も出ています。世界気象機関(WMO)は、今年の夏は北半球各地が異常高温に見舞われる可能性があるとの予測を発表しています。
 

異常気象は、もはやニューノーマル(新常態)との見方

異常気象は今年だけでなく、ここ数年、明らかに増えてきています。このため、過去に例を見ないような災害の発生はもはや異常事態ではなく、頻繁に起こることがニューノーマルであるとの見方も広がっています。
 
例えば、世界経済フォーラムがダボス会議に合わせて毎年作成している「グローバルリスク報告書」というものがあります。その中で、発生の可能性が高いリスクとして挙げられたトップ3は、気候変動に関するものでした。
 
「グローバルリスク報告書 2019年版」の中で、発生確率が最も高いとされたリスク

1位 異常気象
2位 気候変動適応の失敗
3位 自然災害
4位 データ不正利用・盗難
5位 サイバー攻撃
 
異常気象がそれほど可能性の高いリスクだとするなら、当然それに備える必要があります。避難訓練などといった命を守るための備えが重要であるのはもちろんのこととして、実は資産運用においても備えが必要になってきています。気候変動から、資産にどのような影響が出ると考えられるのでしょうか?
 

気候変動は企業価値を一変させるかも

昨年、カリフォルニア州で大規模な山火事が発生し、それに関する損害賠償や罰金で、大手電力会社のPG&E社は破産を申請しました。原因は同社の送電設備に不具合があったためですが、山火事が悪化した背景には、気温上昇や乾燥の影響も指摘されています。
 
PG&Eのようにすぐには破産に至らないとしても、気候変動はさまざまな形で多くの企業に悪影響をもたらす可能性があります。例えば、災害が増えれば、保険会社の支払いが増えて経営に打撃を与えます。
 
また、気候変動への懸念からも盛り上がりを見せているESG投資が、企業価値の変動を生む要因となりつつあります。
 
一例として、地球温暖化の主因とされる化石燃料を扱う企業から、ESG投資家が資金を引き揚げる動き(ダイベストメント)などが目立ってきています。ダイベストメントの対象になった企業の株価は下がりやすく、資金調達コストが上昇する可能性が懸念されます。
 
また、そうした企業の価値や化石燃料の価値自体も下がっていけば、ひいてはそれを担保に融資を行っていた金融機関にも甚大な影響が及びます。ダイベストメントの対象となる業種は今後増えていく可能性もあり、それにつれて、さまざまな波及的影響が出てくることが想定されます。
 
さらに言えば、地球温暖化の防止に向け、世界各国での新規制の導入なども増えそうです。それに対応するための経営コストの上昇なども、企業によっては大きな負担となりそうです。
 

企業が気候変動からの事業リスクを公表し始める動き

実は、気候変動が企業価値や、ひいては金融システム全体に与えるこうした影響について、金融安定理事会(FSB)なども警鐘を鳴らしています。国際金融の監督を担うFSBは、気候変動問題を大きな経済問題でもあると位置づけ、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)を2016年に設立しました。そして2017年6月、いわゆる「TCFD提言」が発表されました。
 
企業は、気候変動が自身の事業にどのような影響を与えるかについて、投資家に情報開示をすることが求められます。TCFD提言は、その情報開示の標準的なルールをまとめたものです。
 
この情報開示は今の時点では義務ではありませんが、賛同して自発的に情報開示を行う企業は急速に増えつつあります。8月8日時点で、世界全体では818の企業・機関が、また日本でも186の企業・機関が賛同の意を示しています(令和元年8月8日時点))
 

気候変動に対する資産運用面での備えも、まずは意識から

ただ、具体的な情報開示の方法については、まだ各企業が模索している段階であるのも事実です。投資家側にしても、開示された情報をどう評価していくかは力量が問われそうです。個人投資家が、自身で企業のTCFD提言に基づく開示情報を読み解くことが難しい場合には、ESG重視を運用方針に掲げる投資信託を活用することなども検討に値するでしょう。
 
今年の夏の暑さで、ESG投資はさらに勢いづくかもしれません。異常気象は経済問題でもあることを意識しておくことで、次に必要な備えへの気付きも早くなると考えます。
 
出典(※1)第14回 グローバルリスク報告書 2019年版
(※2)経済産業省 気候変動に関連した情報開示の動向
 
執筆者 : 北垣愛

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