しかし住宅ローンの借り換えは、メリットばかりではなくデメリットもあります。場合によっては借り換えをしない方がいい、ということもあるのです。借り換えるかどうか判断するには、メリット・デメリットを詳しく知っておく必要があります。
今回は、住宅ローンの借り換えメリットとデメリット、借り換えするべきかどうかの基準について解説します。
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監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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目次
住宅ローンの借り換えメリット
住宅ローンの借り換えには、いくつものメリットがあります。どれも魅力的なもので、借り換えを現在検討している方もいらっしゃるでしょう。住宅ローンの借り換えのメリットは、以下のとおりです。
・総返済額を減らせる可能性がある
・借りている金利プランを変更できる
・団体信用生命保険の内容を充実できる可能性がある
・リフォームローンを住宅ローンに組み入れられる可能性がある
住宅ローンの借り換えでは、自分の目的を明確にすることが大切です。借り換えのメリットを知り、今の住宅ローンへの不満や将来の目標などをまとめましょう。
総返済額を減らせる可能性がある
まず大きなメリットとして、総返済額を減らせる可能性があります。住宅ローンは、長期間にわたって返済していくものです。借り換え前と借り換え後に金利差がある場合は、金利が下がった分だけ支払総額が減少することになります。
借り換えのときには、返済条件の変更ができることもあります。例えば返済期間を短縮することで、さらに金利負担分の減少効果が期待できます。
借りている金利プランを変更できる
借りている金利プランを変更できることも、メリットのひとつです。住宅ローンの借り換えは、借り換え前の住宅ローンを完済して新たに住宅ローンを組む、という手続きをします。新たに住宅ローンを組むときに、今までの金利プランから変更すればいいわけです。
例えば現在は変動金利で借りている方が固定金利に変更したり、その逆もできたりします。特に現在は超低金利で、変動金利で借りているという方も多いでしょう。今後の金利上昇が不安であれば、固定金利に借り換える、という対策がとれることになります。
団体信用生命保険の内容を充実できる可能性がある
さらに、団体信用生命保険の充実ができる可能性があります。団体信用生命保険は年々進化しており、どんどん新しい商品が出てきています。現在契約している団体信用生命保険とは、保障内容に大きな差が出ているかもしれません。
通常、団体信用生命保険の内容は、住宅ローンの返済途中で変更することはできません。借り換えのときであれば新しく団体信用生命保険を契約しますので、唯一といっていい変更の機会となります。
リフォームローンを住宅ローンに組み入れられる可能性がある
もうひとつの大きなメリットは、リフォームローンを住宅ローンに組み入れられる可能性がある、ということです。
通常、リフォームローンの利率は、住宅ローンの利率よりも高い傾向にあります。ところが住宅ローンの借り換えのときにリフォームを検討している場合、リフォーム資金を住宅ローンに組み入れてもらえる場合があります。
例をあげると、2500万円の住宅ローン借り換えをするときには、借換先で2500万円の住宅ローンを組み、そのお金で借り換え前の住宅ローンを全額繰上返済します。このときに銀行が納得し審査さえ通れば、2600万円を借りて100万円をリフォームに使う、ということができます。
住宅ローンは低金利で長期にわたって返済するという特徴があります。そのため、毎月の支払いを抑えてリフォーム資金を調達することができるのです。
住宅ローンの借り換えデメリット
住宅ローンの借り換えは、メリットばかりではありません。見落としてはいけないデメリットも存在します。ここからは、以下のとおり住宅ローンの借り換えデメリットを詳しく解説します。
・諸費用がかかる
・必要な書類が多い
・手続きが煩雑である
それぞれのデメリットを確認し、メリットとどちらが大きいのか比較してみましょう。
諸費用がかかる
まず大きなデメリットとして、諸費用がかかるということです。この諸費用には銀行に支払う手数料などと、登記のために必要な費用や登録免許税があります。銀行に支払う手数料には定率型と定額型があり、定額型の方が安い傾向にありますがそれにしても小さな額ではありません。
登記のために必要な費用や税金まで合わせると、借り換えの諸費用は総額で数十万円にのぼります。銀行によっても大きく手数料が違うため、諸費用を合わせた額で比較検討をしなければいけません。
【関連記事】
住宅ローン借り換えの諸費用は何にいくらかかる? 費用を抑える方法も紹介
必要な書類が多い
また、住宅ローンの借り換えにはいくつも書類が必要となります。借り換えは新たに住宅ローンを組むのと同じことですので、審査が必要となり、その審査に必要な書類を用意しなければいけません。
仕事をしながら印鑑証明や所得証明を取得するのも手間がかかりますし、物件の情報が記載されている資料も必要です。当然審査までに書類の提出が必要なので、忙しい中でも時間をみて用意しなければならないのです。
手続きが煩雑である
手続きが煩雑であることも、デメリットとしてあげられます。住宅ローン引き落としのために新たな口座を作ったり、用意した書類を持っていって手続きをしたり、あげればキリがありません。仕事をしながらこれらをすべて終わらせるには、大変な手間がかかります。
【関連記事】
住宅ローン借り換えはデメリットに注意!損をしないためのポイントとは?
住宅ローンの借り換えをするべきかの基準は?
今まで見てきたように、住宅ローンの借り換えにはメリットおよびデメリットがあります。そのため借り換えるかどうかを判断するには、メリットがデメリットを上回るかどうかを慎重に判断する必要があります。
それでは、何を判断基準として借り換えをするべきか決めれば良いのでしょうか。ここでは、住宅ローンの借り換えをするかどうか決めるための判断基準を詳しく解説します。
判断基準1:最重要3ポイント「残高・期間・金利差」
住宅ローンの借り換えをするかどうかの最重要ポイントは3つあります。「ローン残高が1000万円以上あるか」「返済期間が10年以上残っているか」「借り換え前と借換先の金利差が1%以上あるか」です。
なぜローン残高が1000万円以上あるといいのかというと、1000万円未満のローン残高の場合は金利の支払い分が少なくなっているからです。住宅ローンの返済方式には「元利均等返済」「元金均等返済」の2種類がありますが、どちらもローン残高が多いうちは返済額全体における利息の支払い分が多くなります。
ローン残高が1000万円以下の場合は、金利減少分よりも諸費用の方が上回ってしまうことがあります。
返済期間が10年以上残っているのかどうかについても、ローン残高と同じことがいえます。返済期間の残り年数が少ないほど金利減少効果が低くなるので、ローン残高が多く返済期間が長いうちに借り換える方が、総返済額削減効果は高くなります。
金利差1%以上というのも、それくらいの差がないと諸費用で支払う分の方が多くなってしまう可能性があるからです。
総返済額削減のメリットを得るには、この3つのポイントを満たしているかどうかが重要です。現在の自分の状況を、よく確認してみてください。
判断基準2:重要2ポイント「変動金利に不安あり・リフォーム検討中」
総返済額削減メリットとしては小さいですが、確認しておくべき重要ポイントが「変動金利で借りていて将来に不安がある」「リフォームを検討している」の2つです。
今は超低金利なので変動金利でも問題ないかもしれませんが、景気はずっと同じというわけではありません。景気が上向いてくれば、金利も見直される可能性が高くなります。金利が上昇すると変動金利に影響がおよび、毎月の返済額そして最終的な総返済額が増加することになります。
今後の返済額負担増加に対する不安がある場合は借り換えをして固定金利にしてしまった方が、将来金利が上昇した場合を考えると安心できるかもしれません。
リフォームを検討している場合は、リフォーム費用を住宅ローンに組み込める可能性があります。もちろん審査に通ることが必要ですが、本来高い金利を支払わなければならないリフォームローンよりもはるかに低金利で、長期にわたって返済できるので非常にお得です。
【関連記事】
住宅ローンを借り換えする際のポイントは?しっかりシミュレーションしてお得に
借り換えを検討してもよいその他のパターン
住宅ローンの借り換えを一度検討すべきパターンは、他にもあります。住宅ローンの借り換えを検討してもよいパターンを、以下のとおり解説します。
・変動金利に借り換えたいと考えている
・1%未満ではあるが金利差が気になる
・今の金融機関の対応に不満がある
今のローンに不満があり、「もっと他によい住宅ローンがあるかも」と考えながら毎日を過ごすのは大変です。自分の納得できるローンを組むため、借り換えを前向きに検討しましょう。
変動金利に借り換えたいと考えている
市場が安定している現在、固定金利よりも変動金利のほうが低い金融機関は非常に多いです。そのため、固定金利から変動金利に変えたいと考える方もいるでしょう。
今後も市場が安定する、と考えているなら、固定金利から変動金利に借り換えることで利息分の支払い削減ができるでしょう。
また、現在の変動金利から、よりお得な変動金利への借り換えをするケースもあります。金利タイプにこだわらず、いまの金利と他社の金利を比較することが大切です。
1%未満ではあるが金利差が気になる
金利差が1%未満でも、借り換えによるメリットのほうが大きくなる可能性はあります。例えば、まだ住宅ローンを契約したばかりで、今後の支払いが長く続く場合です。わずかな利息の差でも、長期間支払うことを考えれば借り換えのほうがお得かもしれません。
ただし、利息分の負担減少より借換手数料のほうが大きい可能性もあります。借り換えを検討するときは、手数料も考慮しながら綿密なシミュレーションをしましょう。
いまの金融機関の対応に不満がある
金融機関のサービスに不満がある場合も、借り換えを検討すべきです。「問い合わせをしても満足に答えてもらえない」「金融機関の経営状況が不安」という気持ちがあれば、借り換えをしてもよいでしょう。
しかし、借り換えには手間もお金もかかるので大きな不満がなければ今の金融機関を継続するのがおすすめです。
借り換えをすべきかわからないときは
いまの住宅ローンから借り換えをすべきかわからないときは、直接金融機関に行きシミュレーションをしてもらいましょう。公式サイトで簡易的なシミュレーションができる金融機関もあります。
しかし、「金融機関に直接相談しても自社サービスを勧められるだけかも」と不安な方もいるでしょう。中立的な意見を求めるなら、ファイナンシャルプランナーに相談するのがおすすめです。
家計の見直しも含めファイナンシャルプランナーに相談し、借り換えをすべきか慎重に検討しましょう。
借り換えメリットを生かせる金融機関を選ぶポイント
借り換えをお得に行うには、金融機関の選び方が大切です。そこでここからは、金銭面でお得な金融機関の見つけ方を以下のとおり解説します。
・どれくらい金利が低いのか
・サービスは充実しているか
・諸費用は安いのか
金融機関をチェックするポイントを知り、効率的に自分に合った住宅ローンを選びましょう。
どれくらい金利が低いのか
住宅ローンの借り換えでもっとも大切なのが、金利です。気になる金融機関があれば、まずは金利がどれくらい低いのかチェックしましょう。
低い金利の適用には、条件があるケースも多いです。また、新規申込みと借り換えでは金利が違う金融機関もあります。そのため、まずは借換先の正確な金利を把握しましょう。
サービスは充実しているか
団信、付帯サービスなど、住宅ローン以外のポイントも確認しましょう。住宅ローンは、一度借り換えて終わりではありません。契約後の問い合わせ体制が整っている金融機関だと安心です。
諸費用は安いのか
借り換えの金利がお得でも、諸費用が大きい金融機関は少なくありません。諸費用は徹底的なシミュレーションをもとに、金利と合わせて比較することが大切です。
メリットを生かしお得に借り換えを実現するコツ
金融機関の選び方以外にも、住宅ローン借り換えのメリットを生かしお得にマイホームを維持する方法はあります。借り換えで成功するコツは、以下のとおりです。
・審査に通りそうなタイミングで申し込む
・金利上昇への対策を行う
・希望する団信に入れるか確認する
借り換えの失敗を防ぐため、ぜひ参考にしてください。
審査に通りそうなタイミングで申し込む
審査に時間がかかると、その間に金利が変わってしまう可能性があります。また、審査に落ちると借り換え実現までに時間がかかるので、低い金利が適用される期間は短くなります。
審査時間短縮のため、転職してしばらくたったあと、収入の安定した時など、審査に通りそうなタイミングで申し込むのがおすすめです。
金利上昇への対策を行う
変動金利の場合、金利上昇への対策が必要です。固定金利と組み合わせが可能だったり、変動金利に上限を設けられたりする借り換えプランを検討し、金利の急激な上昇に備えましょう。
希望する団信に入れるか確認する
健康状態が変化し、借換先で希望の団信に入れないケースは少なくありません。保障を充実させるため、いまの状況でどんな団信プランに入れるのか、あらかじめ金融機関に確認しておきましょう。
借り換えするかどうかの判断は慎重に
住宅ローンの借り換えは、総返済額削減メリットを求めて行う場合が多いものです。しかし借り換えにはそれぞれメリットとデメリットがあり、しっかり見極めないと借り換えをしても最終的に損をすることになりかねません。
人によって状況は違うので、まず自分の経済状況と住宅ローンの状況をはっきりさせることから始めましょう。そのうえで、住宅ローンの借り換えをするとお得になるのか損になるのか慎重に判断してください。場合によっては、銀行やファイナンシャルプランナーに相談することも視野に入れておきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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