2017.12.17 相続

不動産の相続税を8割減らせる?どんどん生まれる節税術 今後はどうなる

相続税は、2015年から基礎控除が減額されたことにより、関心が高まりました。課税対象者が増えたことから、様々な節税対策がとられるようになりました。中には行き過ぎた例もあり、前回の税制改正では「タワーマンション節税」にメスが入りました。今回も節税防止策は論点になっています。

前回は「タワーマンション節税」に防止策

そもそもの始まりは2015年の税制改正です。相続人が1人の場合でも、それまでは6000万円の基礎控除がありました。現在は、これが3600万円に減額されています。不動産価格の高い首都圏では課税対象者が一気に増え、相続税の節税対策が話題になりました。金融資産を多く持つ資産家は、相続財産の評価を下げる手だてを講じました。
 
その例が「タワーマンション節税」です。一般的に不動産の相続税評価額は、実際に売買される価格より低く評価されます。評価は土地と建物を別々に行います。土地は、マンション全体の敷地面積を、個々の専有部分の面積で按分して持分とするのが一般的です。
 
つまり、高層のマンションほど、持分は少なくなりますので、評価は小さくなります。マンションの低層階と高層階では、高層階に人気があり、同じ間取りであっても実際の売買価格が異なります。ですが、相続税評価額は階数に関係なく専有面積に応じて計算されていましたので、ますますタワーマンションの高層階の物件が節税対策に使われました。
 
更に、この物件を賃貸にすることで評価を下げる、という方法もとられていました。
前回の税制改正では、タワーマンションの階数に応じて固定資産税額が変わるようになりました。低層階の物件はこれまでより少ない、高層階の物件は高い固定資産税額になり、不公平感は是正されました。 
 

今回は「家なき子」?

相続税には「小規模宅地の特例」があります。例えば評価額5000万円の自宅に父と子ども(1人)で住んでいて、所有者である父が亡くなった場合を考えます。相続人が一人なら基礎控除額は3600万円なので、相続財産が自宅だけであっても、相続税がかかります。もし納税資金がなければ、自宅を売却して捻出することになってしまいます。
 
特例は、これを避けるために「土地の評価額を330㎡までは8割減らす」というものです。制度を適用すると自宅の評価を5000万円→1000万円まで減額することが出来ます。納税資金の心配をしていた人も、この特例を適用することで非課税になるケースも多いと思います。この特例は同居していた家族を守るものですが、別居していても、過去3年間に持ち家が無ければ適用されます。この状態は「家なき子」という俗称で呼ばれています。
 
ここで、行き過ぎと思われる方法は以下のようなものです。子どもに持ち家があった場合、「家なき子」になるために、子どもは自分の家を、その子ども(つまり孫)に贈与します。自分は家を持っていない状態で子ども(孫)の家に住んでいるので、親(孫からみれば祖父)が亡くなった時に特例が使えるというスキームです。
 
政府は、相続時に住む家が、もともとは自分で所有していた家の場合や、3親等内の親族
が所有する家に住んでいる場合は、特例の適用対象外とする方向で進めているようです。
 
次々繰り出される節税対策ですが、この先どのような対策が編み出されるのか、興味深いところです。
 
Text:宮﨑 真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

宮﨑 真紀子

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者
大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい…。そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

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