2019.01.23 相続

相続はもめるのが当たり前?守るべき自分の生活

相続でもめて、兄弟姉妹がばらばらになったというのは、よくある話です。
 
あなたの家ではいかがでしょうかと尋ねれば、「うちはもめるほどの資産がないから心配ない」という答えがしばしば返ってきます。「相続でもめるのは資産がたくさんあるから、兄弟姉妹が強欲だからだろう。資産が少ないわが家では大丈夫…」と楽観しているようです。
 
しかし、司法統計によれば、家庭裁判所における相続関係の調停や審判の件数は年々増加しており、そのうち相続税のかからないケースが75%近くを占めています。相続税がかかるような資産家の場合、相続税対策と共に兄弟姉妹がもめないように事前に準備しているものです。相続は、何も準備をしなければもめるのが普通なのです。
 
面倒くさいことは誰もが敬遠します。しかし、親は子に任せ、子は親に任せていては、互いのすれ違いから相続でもめる結果になります。

 

守るべきは今の生活

相続時の親の年齢が80代であれば、子の年齢はおおよそ50代。親から独立して約30年、結婚して20年以上が経過していることも多いでしょう。
 
高校生や大学生の子どもがいれば、まだまだ教育費がかかります。住宅ローンも残っているかもしれません。定年が徐々に近づき、今後の昇給の見込みも退職金の額も、はっきり見えてきます。社会保障に目を転じると、年金支給年齢はさらに上がり、給付額は抑えられるでしょう。医療費の自己負担割合も増える可能性があります。
 
出て行くお金はまだまだあるのに、入ってくるお金は限定されてきます。定年後に働き続けても、今と同等の収入を得ることは難しいでしょう。
 
こんなときに遺産の相続があれば、どれほど助かることか。少しでも多くもらいたいものです。
 
親元で兄弟姉妹と一緒に過ごした以上の時間を、今の家族と過ごしてきました。そして、これからも一緒に過ごしていきます。たとえ自分が兄弟姉妹の仲を重要視しても、配偶者は家族の生活を優先的に考えます。言葉に表さなくとも、配偶者の意図は感じられます。
 
このような背景から、「自分はいくらでも良い」とは決して言えないでしょう。本音を押し殺し、均分相続だから兄弟均等分割を前提にします。もめたくはないが、譲ることは決してできません。
 

もめる原因は金額の多寡ではない

かつては親の資産のほとんどを長男が相続する、家督相続がありました。その目的は、家を継承することです。相続のたびに資産を分散しては、家が代々継続し、発展することは難しくなります。
 
現代では、長男も家を離れることが多くなっています。親の面倒もみず、家長として特別なことをしていなければ、長男だからといって相続分が多くなる理由は見当たりません。
 
一方で、長男はマイホーム取得時に親から相当の支援を受けているケースが多々あります。教育に関する支援も、他の兄弟姉妹と異なる場合があります。兄弟姉妹が親から完全に均等に支援されて、今に至ることはあまりありません。親からの支援の量は、愛情と比例していると受け止めがちです。
 
言葉に表れない思いが、遺産相続の際、ここぞとばかりに噴出するかもしれません。均等分割にこだわるのは、これまでの支援のされ方にも原因があります。兄弟姉妹間のこじれを解くことができるのは、親自身になるでしょう。
 
兄弟姉妹は幼いときに仲良く遊んだが、今はそれぞれの家庭を持っている。いわば他人なのです。「兄弟姉妹同士、分かり合えるだろう」とはいきません。親の思いをしっかり伝えることが、相続のもめごとを減らすカギになります。
 
執筆者:手塚英雄(てづか ひでお)
有限会社テヅカプラニング 代表
CFP(R)認定者 1級ファイナンシャルプランニング技能士 証券外務員
 
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手塚英雄

執筆者:手塚英雄(てづか ひでお)

有限会社テヅカプラニング 代表
CFP(R)認定者 1級ファイナンシャルプランニング技能士 証券外務員

CFP(R)認定者 1級ファイナンシャルプランニング技能士
お金に振り回されない生活設計を目指している
可処分所得の最大化に拘れば人生に満足がない
人生を明るく豊かに過ごすためにお金を用いたい
他のFPとは一味異なる論点を持つ
http://www.fp-tezuka.com/

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