更新日: 2021.07.16 贈与

暦年贈与のつもりが定期贈与と見なされる!? どんな対策が必要?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 高橋庸夫

暦年贈与のつもりが定期贈与と見なされる!? どんな対策が必要?
贈与税の基礎控除を利用して、生前贈与による相続税対策を計画している方も多いでしょう。すでに、将来に向けて贈与を開始している方もいるかもしれません。
 
実は贈与を繰り返して相続税を節税する方法には「定期贈与」という思わぬ落とし穴が隠れています。
 
そこでこの記事では、生前贈与の「暦年贈与」と「定期贈与」の違いや、定期贈与と見なされた場合のデメリット、定期贈与と見なされるリスクを回避する方法をまとめました。生前贈与を考えている方はぜひ参考にして、賢く相続税対策をしてください。
 
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

暦年贈与・定期贈与とは

贈与税には110万円の基礎控除が設定されているため、この金額以下であれば贈与税は課税されません。このような仕組みを利用して、贈与税を発生させずに贈与する方法を暦年贈与といいます。
 
一方で、定期贈与とは、毎年決まった時期に決まった金額を贈与することです。連年贈与ということもあります。
 
定期贈与の場合、毎年110万円を超えない金額であっても贈与税が課税されます。なぜなら「定期的に贈与を行うということは、小分けにして渡しただけで最初から全額を贈与する予定であった」と見なされるためです。

 

どんな場合に定期贈与と見なされるの?

110万円の基礎控除を超えない範囲で暦年贈与を繰り返すことは、相続税の節税対策でよく使われる方法です。しかし、贈与のやり方によっては、暦年贈与のつもりが定期贈与と見なされて、贈与税が課税されることがあります。
 
複数年繰り返された贈与が、暦年贈与ではなく定期贈与であると見なされるのは、次のようなケースです。
 

(1)贈与の金額と期間について、贈与する側とされる側にあらかじめ合意がある。
 
(2)(1)について契約書など客観的な証拠がある。

 
例えば、期間などを定めずに毎年50万円ずつ10年間にわたって贈与を受けていても、贈与税は非課税です。しかし、毎年50万円ずつ10年間贈与する旨が贈与契約書に記されていれば、定期贈与となり、贈与税を納めなければなりません。

 

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定期贈与と見なされるデメリット

暦年贈与のつもりが定期贈与であると見なされることの最大のデメリットは、贈与税が課税されることです。
 
毎年50万円を10年にわたり贈与した場合、暦年贈与の場合は贈与税がかかりません。しかし、定期贈与と見なされれば、50万円×10年間=500万円の贈与に対して贈与税が発生します。
 
節税のつもりで贈与を繰り返しても、定期贈与と見なされれば意味がなくなってしまうのです。

 

定期贈与と見なされないための対策方法

節税のための暦年贈与が定期贈与と見なされないためには、次のような対策をとるとよいでしょう。
 

●贈与する額を毎年変える
●贈与する時期を毎年変える
●贈与しない年を挟む

 
以上のように不規則に贈与して、単発の贈与を繰り返したことが明らかな状況を作ることで、定期贈与と見なされるリスクを回避できます。贈与するお金の受け渡しには銀行振込を利用すると、客観的な履歴が残るためおすすめです。
 
また、贈与のたびに契約書を作成すると、定期的な贈与に同意していない事実の証明になるでしょう。

 

定期贈与と見なされないための対策をしてしっかり節税しましょう

生前贈与を利用した相続税対策は、非常にメジャーな手法です。しかし、双方の合意のうえで定期的に決まった額を贈与している状態だと「定期贈与」と見なされて、贈与税が課税されることがあるため注意しなければなりません。
 
定期贈与と見なされるリスクを回避するには、暦年贈与であることが誰の目にも明らかな状況を整えることが有効です。
 
遺される大切な人のためにコツコツと積み重ねてきた相続税対策が無駄にならないよう、生前贈与は適切な対策をとりながら行いましょう。

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
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