更新日: 2019.10.11 生命保険

「生命保険、何が違うか分からない…」実はたった3種類しかないって本当?

執筆者 : 新美昌也

「生命保険、何が違うか分からない…」実はたった3種類しかないって本当?
保険会社から、さまざまなネーミングの生命保険が販売されていますので、生命保険は複雑で難しそうに見えますが、基本となっている生命保険は、「定期保険」「終身保険」「養老保険」の3つの種類しかありません。最近、加入する人が多い「収入保障保険」も「定期保険」の応用にすぎません。
 
したがって、まず、「定期保険」「終身保険」「養老保険」について、しっかり理解することが生命保険を理解する第一歩になります。
 
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

相続対策には「終身保険」

有効に契約を続けている限り、死亡・高度障害状態の場合に保険金が受け取れます。最近では、死亡、高度障害に加えて、要介護状態の場合でも死亡保険金と同額の介護保険金を受け取れる商品もあります。保険期間(保障期間)一生涯です。一生涯の保障なので相続対策に有効です。
 
一方、定期保険と比べると、保険金額が同じであっても保険料が割高になる傾向にあります。終身保険には貯蓄性があるので、その分、保険料に上乗せされているからです。
 
保険料の払込み方法には2種類あります。一定期間で払込みをする「有期払込み」と、一生涯にわたって払込みを続ける「終身払込み」です。いずれの場合も、養老保険と違い、満期で受け取る保険金はありませんが、長期間継続した場合、解約時の解約返戻金も多額になります。
 
「有期払込み」で払込みを終えると、死亡保障をそのまま続けるという方法以外に、老後資金として利用する目的で年金として受け取ったり、介護保障に変更したりする方法も選べる商品もあります。相続対策として活用される「一時払い」という方法もあります。これは、契約時に保険期間中の保険料を一括で払込みます。
 
また、保険会社によっては保険料を安めに設定した「低解約返戻金型終身保険」という商品もあります。これは、保険料を支払っている期間に解約返戻金が発生した場合の返戻金額を、通常の70%程度と低くすることで、保険料を抑えています。
 
一部の保険会社には、一般的に加入時に必要とされる告知・診査を行わない無選択型の終身保険や、告知が必須とされる健康状態に関する項目が限られている限定告知型の終身保険というものもあります。保険料は割高ですが、持病のある方も契約可能です。
 
さらに、利率積立型終身保険(アカウント型保険)というものがあり、
(1)保険料を払込んでいる間は積立金を積立部分に蓄積する
(2)積立部分を利用して死亡や医療などの保障を購入する。購入内容は自由に決められる。
(3)払込みを終えた後はこれまで積み立てたお金を利用し、終身保険などに移行する(一定の金額まで)。
という流れになります。
 

掛け捨ての「定期保険」

保険期間を決めて契約します。例えば、60歳、70歳、100歳までや5年、10年、30年などです。保険金の受取条件は、契約期間中に死亡・高度障害状態になったときです。
 
一定期間しか保障されませんので、終身保険に比べ、保険料は割安です。子どもが独立するまで大きな保障を得たいといった場合に加入すると良いでしょう。10年満期などの場合、更新は可能ですが、更新ごとに保険料が増えていきます。なお、終身保険同様、満期保険金はありません。
 
最も一般的なのは、期間中に保険金額が変わらない定額タイプです。それ以外に、はじめは保険料が一定で、期間が経過するごとに保険金額が減っていく逓減定期保険や、保険金額が増えていく逓増定期保険というものもあります。
 
また、保険期間中に亡くなったとき、または病気・ケガにより約款所定の高度障害状態に該当したときに、毎月決まった金額を給料のように保険期間満了まで受け取ることができる収入保障保険もあります。逓減定期保険や収入保障保険は定額タイプに比べ保険料が割安ですので人気があります。
 
ではなぜ、「掛け捨て」といわれるか。それは、保険期間が満了へと近づくことで解約返戻金の額が減少を続け、最終的には0円になるからです。
 
途中で解約した場合でも、解約返戻金がない場合や、かなり少ない場合が一般的です。ただし、保険期間が長期の長期平準定期保険や逓増定期保険は、保険期間の経過にともない解約返戻金が徐々に積み立てられていきます。解約時期によってはある程度まとまった解約返戻金を受け取れます。
 
なお、長期平準定期保険などでは、終身保険同様、保険料払込期間中(10年間など)の解約返戻金額を低く(通常の70%程度)することで、保険料を割安にした「低解約返戻金型」を取り扱う保険会社もあります。
 

貯蓄性が高い「養老保険」

契約時に保険期間を決めて契約します(5年、10年など)。万が一、契約期間中に死亡・高度障害状態になったときに保険金が支払われます。また、保険が満期を迎えたときに生存していれば、満期保険金として死亡保険金と同額の保険金を受け取れます。
 
この点から生死混合保険といわれます。終身保険や定期保険と異なり、満期保険金があるのが特徴です。このため、同じ保険期間・死亡保険金額の定期保険に比べて保険料がかなり高くなります。終身保険と比べても割高です。なお、現在は予定利率が低いので、満期保険金額が払込保険料総額を下回る場合があります。
 
こども保険・学資保険は養老保険の応用といえます。
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー


 

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