最終更新日: 2019.01.11 公開日: 2018.09.30
暮らし

2017年の訪日観光客はなんと2800万人! ホテルが足りない…といわれるけど今年6~7月の客室稼働率は約6割だったってほんと?

執筆者 : 藤木俊明

訪日観光客がどんどん増えています。「日本の観光統計データ」(※1)によると、日本に訪れる外国のお客様は、1977年にはじめて100万人を超えたようです。2013年になってようやく1000万人を超え、2017年には2800万人がやって来てくれるようになりました。

そんなことを背景に、ここ数年「訪日観光客が増えてホテルが取れない」「訪日観光客が増えてホテル代が高くなった」という声を聞くようになりました。そして、「2020年に備えて、これでは足りないホテルを増やさねば」とあちこちでホテル建設ラッシュですね。

そんな中、8月31日発表された観光庁の資料(※2)では、『平成30年6月の客室稼働率は全体で59.5%であり、6月としては調査開始以来の最高値であった。また、7月は全体で62.1%であった。』とあります。調査開始以来の最高値ということですが、「え?客室稼働率は6割ぐらいなの?」「4割も空いているの?」と率直に感じてしまうのですが、みなさんはどうでしょうか?
 
藤木俊明

Text:

Text:藤木俊明(ふじき としあき)

副業評論家

明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。

藤木俊明

執筆者:

Text:藤木俊明(ふじき としあき)

副業評論家

明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。

やはりシティホテル、ビジネスホテルは活況だけど旅館が……。

上記の観光庁資料から、客室稼働率を見てみます。(2018年6月)
 

・全体 59.5(% 以下同)
・旅館 36.2
・リゾートホテル54.9
・ビジネスホテル 74.5
・シティホテル 80.2
・簡易宿所 26.3

 
やはりビジネスホテル、シティホテルは活況なのですね。それに比べて旅館、リゾートホテル、簡易宿所の稼働率が悪いため、全体では「6割の稼働率」にとどまっているようです。ずっと日本の宿泊を支えてきた旅館の客室稼働率は心配になる低さです。
 

ホテルがほとんどだが、民泊も存在感を示す

それでは訪日観光客の実際の宿泊状況はどうなのでしょうか? ちょっと前ですが2017年11月に観光庁が発表した資料「日本滞在中の宿泊施設利用率」(※3)によると次の通りです。訪日観光客がどんなところに宿泊したかを示しています。
 

■日本滞在中の宿泊施設利用率(平成29年7-9月期、複数回答) ・ホテル(洋室中心) 75.1(% 以下同)

・旅館(和室中心) 18.2
・別荘・コンドミニアム 1.3
・学校の寮・会社所有の宿泊施設 3.3
・親族・知人宅 7.1
・ユースホステル・ゲストハウス 6.7
・有償での住宅宿泊 12.4
・その他(有償での住宅宿泊を除く) 3.3
 
やはりホテルが圧倒的ですが、注目は「有償での住宅宿泊」で、これは「民泊」でしょう。この調査時点では民泊新法施行前ですが、かなり普及していることが見てとれますね。
 

宿泊費はおおむね頭打ち?

見方を変えて、今度は訪日観光客が宿泊費にどれぐらい使っているか、客数の多い「中国」「韓国」「タイ」「アメリカ合衆国」について、「日本の観光統計データ」(※1)から訪日観光客宿泊費の推移を見てみましょう(※1)。
 
■ 宿泊費の推移

・中国からの訪日観光客

2010年 36,543(円、以下同)
2015年 50,116
2016年 44,126
2017年 47,690
 

・韓国からの訪日観光客

2010年 27,565(円、以下同)
2015年 22,495
2016年 22,090
2017年 22,378
 

・米国からの訪日観光客

2010年 61,851(円、以下同)
2015年 74,017
2016年 70,707
2017年 76,719
 

・タイからの訪日観光客

2010年 40,642(円、以下同)
2015年 41,653
2016年 34,532
2017年 36,957
 
為替などいろんな条件も影響するでしょうから、この金額の推移だけではっきりとは判断できないでしょうが、どの国からのお客も、宿泊費はそんなに伸びていない感があります。ただ、米国の観光客はけっこうな宿泊費を払っているんだなあ、ということは見てとれます。
 

増えるクルーズ船による訪日観光客

今度は、観光庁のデータを見てみます(※4)。ここでは『我が国へクルーズ船により入国した外国人旅客数は、過去最多の約252.9万人(前年比27.0%増)』と示されています。この「クルーズ船による訪日観光客」というのは宿泊に含まれていないでしょう。つまり、ホテルや旅館は関係なしです。しかも、どんどんクルーズ船の寄港が増えているとあります。
 
ここまでオープンデータを見てきました。
 
1.シティホテル、ビジネスホテルは活況で75%~80%の稼働率だが、旅館などは低く全体では客室稼働率60%。
2.民泊が全体の12%を占めている。
3.訪日観光客の宿泊費は、おおむね頭打ち。
4.クルーズ船での訪日観光客が増えている。
 
これらを考えると、確かにシティホテル、ビジネスホテルなどホテルの需要は高いけれど、民泊やクルーズ船による訪日観光など、宿泊方法が多様化しているといえそうです。そうすると、現在のホテル建設ラッシュはどういう影響を与えていくのか? 注意深く見ていくことが必要ではないでしょうか。
 
※1「日本の観光統計データ」より
※2「観光庁宿泊旅行統計調査」より
※3「訪日外国人消費動向調査」より
※4「2017年の我が国のクルーズ等の動向(調査結果)について」より
 
Text:藤木 俊明(ふじき としあき)
副業評論家



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