更新日: 2020.09.25 子育て

退学を考える前に、知っておきたい学生への援助とは?

執筆者 : 伊藤秀雄

退学を考える前に、知っておきたい学生への援助とは?
新型コロナウイルスが、学生の就学環境に与える影響が長期化しています。大学もようやくキャンパスを開き始め、閉鎖中の孤独感など、学生の心の改善が期待されますが、学費問題は深刻な状態を脱していません。奨学金や公的な支援制度について、ポイントを押さえていきます
伊藤秀雄

執筆者:伊藤秀雄(いとう ひでお)

FP事務所ライフブリュー代表
CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員

大手電機メーカーで人事労務の仕事に長く従事。社員のキャリアの節目やライフイベントに数多く立ち会うなかで、お金の問題に向き合わなくては解決につながらないと痛感。FP資格取得後はそれらの経験を仕事に活かすとともに、日本FP協会の無料相談室相談員、セミナー講師、執筆活動等を続けている。

奨学金と教育ローンについて

家計急変に伴う奨学金の緊急措置と、国の教育ローンの要件緩和について確認します。

1.奨学金

(1)日本学生支援機構(JASSO)の奨学金
今年4月から「高等教育修学支援新制度」が始まり、学力と世帯年収条件により、学費減免と給付型奨学金が適用されるようになりました。加えて、新型コロナの影響拡大に伴い家計急変時の取り扱いとして、この給付型と貸与型両方で緊急時奨学金を受付けています。
 
新型コロナの影響で世帯(父母等)の収入が大きく減った人などを対象としており、年収条件は「急変後」の所得見込で判定されます。
 
また、緊急的に一定期間(令和3年3月まで)「緊急特別無利子貸与型奨学金」事業を実施しています。貸与型の第二種奨学金(有利子)制度を適用しつつ利子分を国が補填し、実質無利子にて貸与されるものです。仕送り額や学費に占めるアルバイト収入の割合などの基準があります。
 
(2)その他の奨学金
大学の独自奨学金、地方公共団体、民間の奨学金財団などでも緊急の取り扱いを設けているところがあります。複数奨学金との併給可否を確認のうえ、利用を検討してください。JASSOホームページの奨学金制度検索システムには、全国1300以上の奨学金実施団体が収められています。

2.国の教育ローン

日本政策金融公庫の教育ローンも、新型コロナに対応した特例措置を設けています。
 


 
子の人数に応じた世帯年収(所得)の上限額を次のとおり緩和しています。
これまで一定以上の年収があっても、今後大幅な収入減が見込まれる場合には要検討です。
 

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公的貸付金・給付金等の特例について

国や公的機関の貸付金・給付金の特例も相次いで創設されましたが、9月中旬現在どのようになっているのか整理します。
 

(1)生活福祉資金貸付制度(教育支援資金)

低所得世帯(平成30年度基準で4人世帯の場合、月収38万5000円を超えない)を対象として、大学の場合は月6万5000円を上限に無利子で貸付けます。
 

(2)母子父子寡婦福祉資金貸付金制度(修学資金)

母子・父子・寡婦家庭を対象として、就学させるための授業料、書籍代、交通費等に必要な資金の貸付けが受けられます。私立大学の自宅通学の例では、月10万8500円を無利子で償還期間20年の条件です。
 

(3)生活福祉資金貸付制度の特例貸付

新型コロナの影響で休業や失業に陥った際の、当面の生計維持や生活立て直しのための貸付です。アルバイト収入の減少も対象となります。申し込みは市区町村社会福祉協議会ですが、緊急小口資金は労働金庫および取扱郵便局も窓口になります。
 
【緊急小口資金】
貸付上限額:10万円(一定条件に該当する場合は20万円)
据置期間  :1年間
償還期間  :2年間、無利子
 
【総合支援資金】
貸付上限額:月15万円(単身世帯)、月20万円(2人以上世帯)
貸付期間  :原則3ヶ月以内(3ヶ月分まで貸付)
償還期間  :10年間、無利子
 
なお、次の表は東京都の事例ですが、公的貸付制度を利用する場合は優先順位が設けられているのでご注意ください。順位の高い制度が利用できない場合に、次の順位の制度が利用できます。

(4)学生支援緊急給付金

アルバイト代減収への緊急支援として、 「学びの継続」のための学生支援緊急給付金を創設。収入が大幅に減少した学生に10万円(非課税世帯の場合20万円)を支給するものです。ただし、7月末で2次推薦を締め切り、追加推薦は保留者が対象となっており、今後の新規募集については不明です。

まとめ

コロナ禍が深刻になった今春以降に創設された制度でも、すでに受付を終了したものがあるなど、学生がお金の悩みに当てにできる制度は多くありません。
 
学費の延納、分納あるいは一時的に休学するなど必要に応じさまざまな手段を組み合わせ、手立てを講じることが現実解かもしれません。
一方、コロナと背中合わせながら、経済が少しずつ回り始めています。アンテナを高く情報を収集し、学びを止めないための自助と、支援の活用を工夫いただきたいと思います。
 
執筆者:伊藤秀雄
CFP(R)認定者、ファイナンシャルプランナー技能士1級、第1種証券外務員、終活アドバイザー協会会員、相続アドバイザー。
 
(出典)
日本学生支援機構「新型コロナウイルス感染症に係る影響を受けて家計が急変した方への支援」
日本政策金融公庫「新型コロナウイルス感染症にかかる特例措置のご案内」 
文部科学省「新型コロナウイルスにより経済的な影響を受けている学生等への緊急対応措置」 
厚生労働省「生活福祉資金の特例貸付」 
男女共同参画局「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」 
文部科学省「学生支援緊急給付金給付事業(「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』) に係る追加配分額等について(依頼)」 

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