最終更新日: 2021.05.07 公開日: 2021.05.08
暮らし

毎月の給与のデジタル払いが解禁?どんなことが起こるの?

執筆者 : 田久保誠

現在、政府では施行規則を改正し、スマートフォン決済サービスなどを提供する「資金移動業者」の口座にも給与を振り込めるようにすること=給与のデジタル化を想定した議論が始まっています。もし、給与がデジタル化したらどうなるのか考えてみましょう。
 
田久保誠

執筆者:

執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)

田久保誠行政書士事務所代表

CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

田久保誠

執筆者:

執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)

田久保誠行政書士事務所代表

CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

給与のデジタル化とは?

給与のデジタル化とは、企業が銀行の口座を介さず、スマートフォンの決済アプリや電子マネーを通じて振り込みができる制度のことです。現在給与は通貨による支給を原則としていますが、QRコードを利用したキャッシュレス決済が広まる時代に合わせる意味で、給与もデジタル化しようという動きのことです。
 

そもそも給与ってどのように払われるの?

会社員の方の多くは、毎月決まった口座に給与が振り込まれると思います。実はその方法は、法律上の例外です。労働基準法24条で「賃金は、通貨で直接労働者にその全額を支払わなければならない」と規定されており、モノなどの現物支給も禁止されています。
 
また、賃金は「通貨」で「直接」「全額」を「毎月1回以上」の頻度で「一定期日」に、労働者に給与を払わなければならない。一般に「賃金支払いの5原則」として労働基準法に定められています。
 
ただし例外的に、雇用主と労働者間の同意などがあれば、労働者が指定する金融機関等への振り込みで給料を支払うことが労働基準法の施行規則で認められている。つまり金融機関への振り込みは法律上では例外となっています。
 

もし、給与がデジタル化されたら?

まず考えられるのが、「資金移動業者」が発行するプリペイド(前払い)式の給与振込用カードである「ペイロールカード」が使われることが想定されています。その際、雇用主は銀行等の金融機関を経由せずに直接ペイロールカードの口座に振り込むことになります。
 
こうしたペイロールカードを○○ペイのようなキャッシュレス決済事業者のサービスと接続して、給与を残高として扱えるようにすれば、買い物でスマホ決済がしやすくなります。
 

メリットは?

利用者のメリットとしては、現金の引き出し手間がなくなります。また、銀行口座を作るのが難しい外国人労働者にとってもメリットがあります。さらに、今後、資金移動業者が給与のデジタル払いに合わせたポイント還元等のキャンペーンを実施するのであれば、さらなるメリットが得られる機会が増える可能性があるでしょう。
 
事業者側のメリットとしては、毎月銀行に給与振込をしなくてすむので、業務効率の改善や振込手数料の削減ができます。また、日々の交通費や従業員の立て替え金等の少額払いや都度払いがしやすくなります。
 

懸念事項やデメリットは?

最大の懸念事項は、資金移動業者が経営破綻することです。万一破綻した場合、どのように利用者の給与等の資金を保全するかという問題です。銀行等の金融機関が破綻した場合は、預金保険制度が適用されますので預金口座の元本1000万円までが保護されますが、資金移動者が破綻したときに全額が保護されない可能性があります。
 
また、本人確認をどのように徹底していくのか、ハッキングなどによる不正流出や不正送金が起きないようにするための問題や、万一そのようなことが起きた場合の補償の問題もあります。
 
デメリットとしては、事業者側は、給与の全部をデジタルで望む従業員とそうでない従業員が存在する場合、現金払いとデジタル払いの二重の支払いコストが発生したり、管理が煩雑化したりする可能性があります。
 

ますます進んでいくキャッシュレス化のために

これから先は、今まで以上にキャッシュレス化が進んでいくものと考えられます。事業者からしてみるとまだまだデメリットのほうが大きいかもしれませんが、経費の精算のような、従業員にメリットのある部分から取り組んでいくことで、時代の流れに沿うことができるかもしれません。
 
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表