更新日: 2021.07.02 暮らし

専業主婦(夫)が子連れで離婚するときに考えておくこと

執筆者 : 新美昌也

子どもが生まれてから専業主婦(夫。以下、主婦で統一)で、働くことから離れていた人が子連れで離婚するとき、どのようなことを想定しておかなければならないのでしょうか。
 
離婚前に考えておくべきことに加え、離婚する際に『出ていくお金』(弁護士費用、新生活費用等)と『入ってくるお金』(養育費・財産分与等。国や自治体からの助成金・手当等)についても併せて確認し、専業主婦の子連れ離婚とその後の生活について考えてみましょう。
 
新美昌也

執筆者:

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

新美昌也

執筆者:

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

離婚前に決めておくこと - お金以外のこと -

未成年の子どもがいる場合、協議離婚では父母のどちらが親権者になるのかを決めないと離婚できません。通常は子どもを引き取った親が親権者になります。
 
親権者以外のことは離婚後に決めても構いませんが、離婚後に話し合うのは難しい面もあります。養育費・財産分与などのお金の問題、子どもの姓、面会交流などは離婚前に決めておくとよいでしょう。
 
まず、お金に関すること以外について、ポイントを説明します。
 
・面会交流
子どもと離れて暮らす父母が、取り決めにしたがって子どもと会うことを面会交流といいます。
 
話し合いで、会う頻度・場所・面会の時間など具体的に決め離婚協議書などの文章にします。話し合いがまとまらなければ家庭裁判所に調停を申し立てます。
 
・子どもの姓
母親が親権者となって子どもを引き取る場合が多いと思います。仮に、母親が旧姓に戻り新しい戸籍を作っても、子どもは父親を筆頭者とする戸籍のままで姓も変わりません。
 
親権者である母親が子どもを自分と同じ戸籍、姓にしたい場合は、母親を筆頭者とする戸籍を作り、家庭裁判所に「子の氏の変更許可」を得て、子どもを自分の戸籍に入れます。
 

離婚前に決めておくこと - お金のこと -

次に、お金の問題について見てみましょう。離婚前に決めておきたいことに「婚姻費用」「慰謝料」「養育費」「財産分与」「年金分割」があります。
 
離婚前にこれらを取り決めなくとも離婚はできます。「早く離婚したい」からと後回しにする方もいますが、離婚後に話し合うのは難しい現実があります。後悔しないために離婚前に取り決めをしておきましょう。
 
・婚姻費用
結婚生活を送るのに必要な生活費が婚姻費用です。よく「コンピ」といわれます。婚姻中の夫婦は、婚姻費用を分担する義務を負います。
 
別居中であっても離婚に至るまで婚姻費用の分担義務を負います。金額の目安として裁判所が公表している「婚姻費用算定表」が参考になります。
 
・慰謝料
不貞や、身体的・精神的暴力、生活費の不払いなど、婚姻上の義務に違反する相手の行為よって受けた精神的苦痛に対する損害賠償金のことをいいます。請求できるのは離婚後3年以内です。
 
・養育費
養育費は子どもが経済的・社会的に自立するまで(高校や大学を卒業するまでなど)、子どもにかかる衣食住の費用、教育費、医療費など生活するのに必要な費用をいいます。
 
養育費の金額は父母の収入や財産、生活のレベルなどに応じて話し合いで決めます。金額の目安として裁判所が公表している「養育費算定表」が参考になります。養育費の支払いは長期におよぶため、途中で不払いになることも多くあります。
 
養育費についての取り決めの内容は公正証書(執行認諾文言付)にしておくと、不払いの場合に裁判を起こさなくとも相手方の給与や財産の差し押さえなど強制執行ができます。
 
公正証書作成には費用がかかりますが、養育費の取り決めに必要な公正証書の作成や家庭裁判所の調停申し立て等にかかる費用について給付金を支給している自治体もありますので調べてみましょう。
 
・財産分与
婚姻中に夫婦が協力して築いた共有財産を精算するのが財産分与です。結婚前の財産や相続で得た財産は分割の対象外です。分割の割合の基本は2分の1(専業主婦の場合も)です。
 
そこから、それぞれの寄与度・貢献度を考慮して割合を話し合いで決めます。離婚成立後2年を経過すると請求できなくなります。
 
・年金分割
年金分割の対象となるのは厚生年金です。2007年4月1日から実施された「合意分割」と2008年4月1日に実施された「3号分割」があります。いずれも離婚後2年をすぎると請求できなくなります。
 
「3号分割」は専業主婦が対象で、第3号被保険者であった期間の夫の厚生年金の標準報酬月額の半分を話し合いによらずに受け取ることができます。
 
ただし、実際に年金を受け取ることができるのは妻が年金の受給年齢に達したときです。
 
・弁護士費用
協議離婚や調停離婚では弁護士に依頼しなくても離婚を成立させることはできます。
 
ただ、養育費、財産分与、慰謝料などについて事前に専門家のアドバイスを受けておくと、離婚の話し合いをスムーズに進めることができます。まずは、市区町村や「法テラス」が行っている無料法律相談などを利用するとよいでしょう。
 
問題の解決が難しい場合は、離婚専門の弁護士に依頼するとよいでしょう。通常「着手金」「報酬金」「実費」がかかります。依頼する前に見積もりを出してもらいましょう。
 

離婚後の手続きチェックリストの作成

離婚後には、各種名義変更の手続き、国民健康保険や国民年金の加入手続き、役所や金融機関への住所や氏名の変更届け出、子ども関係の手続きなど、多くの手続きがあり、時間がかかります。
 
漏れのないようにあらかじめチェックリストを作っておくとよいでしょう。
 

ひとり親家庭への支援制度

手当には、国の「児童扶養手当」や自治体の「児童育成手当」があります。そのほかの経済支援には「医療費助成制度」「公営住宅の当選確率の優遇」「JR通勤定期券の割引」「水道料金の減免」「ひとり親控除」などがあります。
 
母子父子寡婦福祉資金などの低利または無利子の貸付金もあります。家庭生活支援員(ホームヘルパー)の派遣もあります。
 
就労支援としては、職業訓練校への優先枠、母子・父子家庭自立支援教育訓練給付金、母子・父子家庭高等職業訓練促進給付金やひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験合格支援事業などがあります。
 
支援制度の詳細について知りたいときは、市区町村が発行している「ひとり親家庭のしおり」が有益ですので、入手されることをお勧めします。このしおりには、ひとり親家庭が利用できる情報が幅広く掲載されています。
 
また、ひとり親家庭を対象としたメールマガジンを配信している自治体や支援団体(NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむなど)もあります。登録すると有益な情報を得られるかもしれません。
 

ひとり親家庭の厳しい経済状況

離婚後は経済的に厳しい生活がまっています。厚生労働省の調査(※1)によると母子家庭の平均年収は約243万円(平成27年)です。
 
雇用形態は、「正規の職員・従業員」が44.2%、「パート・アルバイト等」が43.8%となっています。母子世帯の母の預貯金額は、「50万円未満」が39.7%と最も多くなっています。
 
養育費の取り決め状況は、「取り決めをしている」が母子世帯で42.9%しかいません。離婚した父親からの養育費の受給状況は、「現在も受けている」が24.3%で、平均月額(養育費の額が決まっている世帯)は4万3707円となっています。
 

離婚後の生活設計について具体的に検討する

専業主婦の場合、離婚後の「収入の確保」が特に重要です。身の危険があるなど離婚を急ぐ必要がなければ、資格を取るなど就労への準備をはじめましょう。
 
養育費については、市区町村が養育費確保のため、手続きに必要な費用の一部を補助の支援をしていますので相談してみましょう。
 
そのほか、「住まいはどうするか」「子どもが小さい場合、保育はどうするか」「子どもの大学進学費用はどうするか」など離婚後の生活設計を具体的に考えてみましょう。
 
イメージできない方は、お住まいの近くに「ひとり親就労支援センター」や支援団体があれば、ライフプランセミナーなど開催していますので参加するとよいでしょう。
 
出典
(※1)厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。