更新日: 2021.07.02 子育て

夫婦で育休取得!「パパ・ママ育休プラス」って知っている?

執筆者 : 伊藤秀雄

夫婦で育休取得!「パパ・ママ育休プラス」って知っている?
日本では、男性の育児休業取得がなかなか増えません。
 
「パパ・ママ育休プラス」は、男性の育休取得を促し、夫と妻が協力して育児に取り組みやすくするために創設されました。その使い勝手について取り上げます。
伊藤秀雄

執筆者:伊藤秀雄(いとう ひでお)

FP事務所ライフブリュー代表
CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員

大手電機メーカーで人事労務の仕事に長く従事。社員のキャリアの節目やライフイベントに数多く立ち会うなかで、お金の問題に向き合わなくては解決につながらないと痛感。FP資格取得後はそれらの経験を仕事に活かすとともに、日本FP協会の無料相談室相談員、セミナー講師、執筆活動等を続けている。

育児休業給付金とはどのようなもの?

まず、育児休業給付金の給付額と、制度の利用実態について確認しましょう。原則として子が1歳になる前日までが支給期間です。
 
■給付額の計算方法

支給額=休業開始時賃金月額(A)×67%または50%(B)
 
A.休業開始時賃金月額=育児休業開始前6ヶ月の賃金÷180×30
 
B.育児休業開始から通算して180日に達するまでの間は67%、その後育児休業終了までの間は50%相当額を支給します。休業期間中に賃金が支払われる場合は、一定割合で減額もしくは支給停止になります。
 

■育児休業取得率
次の表は、男女別の育児休業取得率の推移です。男性の取得率は上昇していますが、まだ1桁台にとどまっています。
 


 
育児休業を取得できる時期は、子育てのほんの最初だけですが、男性もここでどう関わるかで、その後の長い育児期間への向き合い方に影響を受けるのではないでしょうか。
 

パパ・ママ育休プラスの使い方

「パパ・ママ育休プラス」は、両親がともに育児休業をする場合に、以下の要件を満たした場合には、育児休業の対象となる子の年齢が、1歳2ヶ月にまで延長される制度です(注)。


(1)配偶者が、子が1歳に達するまでに育児休業を取得していること
(2)本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
(3)本人の育児休業開始予定日は、配偶者がしている育児休業の初日以降であること

 
(注)1人あたりの育休取得可能最大日数(産後休業含め1年間)は変わりません。

具体的な取得パターンを見てみます。
 


※2.厚生労働省リーフレットから引用
 
育児休業給付金は最初の6ヶ月を超えると給付率が50%になりますが、夫婦でリレー式に取得するとさらに6ヶ月間、2人それぞれ1歳2ヶ月まで67%給付が適用されます。
 
パターン2で、ママの育休が6ヶ月経過した時点からパパも取得した場合を想定してください。7ヶ月目から1年後まではママ50%+パパ67%の支給率になります。6ヶ月でママが復職しパパにバトンタッチすれば、その分世帯年収は改善します。
 
世帯収入減を最小に抑えながら、自分たちの希望する休業期間の組み合わせを選択する幅ができたということです。共働き夫婦が収入水準をコントロールしながら2人で育児に臨めるよう、従来より使いやすくなったといえます。
 
ただ、1年を超えて取得する側の育児休業開始日が、配偶者よりも後の必要があるなどの決まりがあるため、早くから計画を立てておくことが大事です。
 

育休をより取りやすくする動きについて

「パパ・ママ育休プラス」は約10年前に施行された制度ですが、男性の育休取得率を上げるには制度の整備だけではなく、働き方の変容も大きな課題です。
 
また、公務員は民間企業と別の規程が適用され、休業期間や給付率が異なるなど、働く環境によって育休制度の使い勝手もさまざまです。
 
実は、育児・介護休業法の改正法が、2021年6月3日、衆議院本会議で成立しました。男性の取りやすさの向上と、事業主への促進強化が合わさっています。今後、詳細が詰められていきますが、概要は次のとおりです。※3.


(1)産後8週間以内に取りやすいよう、2回まで分割可能な枠組みを創設
(2)休業中に一定量の就業を可能とする
(3)男性の取得促進へ、制度取得の意向確認を事業主に義務付ける
(4)申請期限を1ヶ月前から2週間前に短縮、有期雇用者の利用要件緩和
(5)従業員1000人超の企業には育児休業の取得状況公開を義務付ける

育休中の就業は、メリットがある一方、育休の趣旨が損なわれる危うさを秘めていないか、扶養届を出すと育休を取得するか必ず会社に聞かれることになりますが、事業主へのプレッシャーではなく、従業員へのけん制に使われないのでしょうか?
 
いろいろ懸念もありますが、より取得しやすい環境づくりにかじを切っていることは確かです。今後育休を検討されている方は制度運用の行方をしっかりご確認いただき、ぜひ賢くご利用ください。
 
出典
※1.厚生労働省「令和元年度雇用均等基本調査(事業所調査 結果概要)
※2.厚生労働省リーフレット「両親で育児休業を取得しましょう!」
※3.厚生労働省リーフレット「育児・介護休業法改正ポイントのご案内」
 
執筆者:伊藤秀雄
CFP(R)認定者、ファイナンシャルプランナー技能士1級、第1種証券外務員、終活アドバイザー協会会員、相続アドバイザー。

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