ほかの金融機関に住宅ローンを借り換えて、金利の負担を減らせば返済状況の改善が見込めます。そして、借り換えついでに返済期間を延長できれば、さらに毎月の返済額の減少が期待できます。しかし、借換時の期間延長は、制限や条件があってスムーズに進まないのが現状です。それでは借換時の期間延長について、詳しく解説していきます。
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監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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目次
住宅ローンの借り換えで期間を延長するのは難しい
今借りている金融機関にて住宅ローンの返済期間延長を申し出た場合、条件はあるものの多くの金融機関で対応してもらえます。しかし、借り換えの場合、ほとんどの銀行において制限が設けられています。それにより、借り換えと同時に期間の延長を行うことは難しい状況です。
住宅ローンを期間延長するには条件がある
住宅ローンは何十年も支払い続けるので、その間に仕事が変わったり子どもの教育費用が大幅に増えたりして、支払いが厳しくなることは珍しくありません。そのため、金融機関も返済条件の変更ができる相談窓口を設置しています。
ただし、期間を延長する場合、決められた年収の範囲内であることや、月収が規定の水準以下であるといった条件があります。さらに、返済が難しくなった理由も知らせなくてはいけません。また、申請しても受理されない場合があります。そのうえ、期間の延長を申し出た記録が金融機関に残されるので、一定期間ほかのローンが組めなくなる可能性も考えられます。
借換時の期間延長は現在の期間内と決められている
住宅ローンの借り換えと同時に期間の延長をするにも条件があります。「現在の住宅ローンの借入期間内」という制限が設けられているため、借換時に期間の延長は難しいといえます。
借入先としては、期間の延長は貸し倒れのリスクが高まることから「現在の借入期間内」という条件をつけているのです。しかし、少ないですが借換時に期間の延長が可能な金融機関もいくつかあります。
借り換えするときに期間の設定ができる金融機関
住宅ローンの借り換えと同時に、期間の延長ができる金融機関は「ARUHI」と「SBI新生銀行」です。ただし、いくつかの条件があります。借り換えと期間の延長を一緒に行いたい場合は、条件を満たせるかしっかり確認してください。
ARUHIのフラット35は条件によって借入期間が設定できる
公的機関である住宅金融支援機構と提携して行っている国内最大手の住宅ローンがARUHIです。ARUHIのフラット35という商品では、条件を満たせば
・「35年」から「住宅ローンの経過期間」を引いた年数
・「80歳」から「現在の年齢」を引いた年数
上記のどちらか短い年数を上限にした期間を設定できます。ここでいう住宅ローンの経過期間とは、最初の借入日から借換日までの期間のことです。
ただし、いずれの場合も借入期間が15年(申込者が60歳以上だと10年)以上という基本的な条件を満たしている必要があります。したがってローンの経過期間や年齢によっては、期間の延長につながらないケースも考えられます。
【関連記事】
ARUHIの住宅ローンに借り換えするメリット・借り換え手順を解説
SBI新生銀行は最長35年まで借入期間を延長できる
SBI新生銀行は以下の条件が満たされていれば、住宅ローンの借換時に期間を最長35年まで延長できます。
・申し込んだときの年齢が20歳以上で65歳以下
・完済したときの年齢が80歳未満
ほかの金融機関からの借り換えでも、残りの返済期間は関係ありません。年齢さえクリアできれば、SBI新生銀行で借換時に期間の延長は可能です。そのうえ、SBI新生銀行は繰上返済の手数料が何度でも無料となっています。
期間を延長して毎月の返済額を減らしても総返済額は増えます。そのため、余裕ができたら繰上返済して利息を減らしていきましょう。
【関連記事】
SBI新生銀行で借り換え! メリット・デメリットや注意点を解説
期間を延長した場合のデメリットも把握しておく
借換時に期間の延長ができたとしても、当然ですが支払う利息はその期間分多くなります。月々の支払額が減ることで日々の暮らしは楽になりますが、場合によっては定年後の生活まで住宅ローンを払い続けなければいけません。退職金を充てることになれば、その後の老後生活にも支障が出てきます。
そのため、期間を延長した際のデメリットもしっかり把握しておいてください。資金に余裕ができれば繰上返済をして、元金を減らしていく方法も考えておきましょう。
借り換えで期間の延長に個別で対応してくれるケースがあるかも
ほとんどの銀行は、借り換え後の期間の延長には応じていません。銀行としても、期間の延長は住宅ローンを回収できるかという点で貸し倒れリスクがつきまといます。しかし、個別に対応してくれる可能性はゼロではないといえます。
そのため、思い切って交渉する方法を考えてみるのもひとつの手です。借入先の担当者に確認してみましょう。ただし、住宅ローンの返済は「何歳までに完済する」と決められているので、高齢だと期間の延長は難しいといえます。
どうしても返済が苦しいときは借入先に相談してみよう
住宅ローンの借り換えや期間の延長がスムーズにいかず、支払いが困難になった場合は借入先に相談してみてください。事情によっては、減額や返済期間を延長してもらえる可能性があります。一番よくないのは支払いをせず延滞することです。そうなる前に、必ず相談しましょう。
リスケジュールを活用する
通称「リスケ」と呼ばれるリスケジュールは、病気やリストラなどで返済が難しい状況に陥ったとき、返済条件を変更してもらう救済措置のことです。
・リストラ
・会社の倒産
・給与やボーナスのカット
・解雇
・業績不振による収入減
このような理由だと、返済期間の延長や減額の交渉が進められます。一定期間は元金の支払いが免除されて、利息だけの支払いになるケースもあります。
住宅ローンは最長35年の返済期間が設定されていますが、それよりも短いと期間の延長が可能になるかもしれません。ただし、完済時の年齢が高齢だと難しくなります。受けられるリスケジュールは状況や条件によって変わってきますので、支払いが困難になったら早めに金融機関に問い合わせることが大切です。
早めに相談することで交渉がスムーズに進む
リスケジュールは法的に認められているわけではありません。あくまで借入先にお願いするという形です。そのため、納得してもらえるように誠実な姿勢を心がけなければいけません。それは、そのような状況になった際にすぐに相談するということです。
返済が遅れてしまうとリスケジュールが難しくなることからも、現状で返済が厳しいと感じたら早めに交渉するようにしてください。ただし、返済状況の遅れなどが発生した理由を細かく聞かれます。プライベートな問題なので話しにくいと感じるでしょうが、正直に包み隠さず伝えましょう。その真摯な態度が通じれば、交渉が有利になる可能性は高まります。
住宅ローンを延滞すればどうなる?
住宅ローンの支払いが困難になったとき、一番やってはいけないのが延滞です。1ヶ月支払いを怠れば借入先から督促状が届きます。2ヶ月や3ヶ月たつと呼び出しがきて、話し合いの場が設けられます。6ヶ月後にはブラックリストに載り、ほかの金融機関からの借り入れが難しくなるでしょう。その後は不動産を差し押されて、競売にかけられます。
したがって、支払いが難しい状況になった際にはとにかく借入先に相談して早急に対処していきましょう。
住宅ローンの借り換えで期間の延長ができる金融機関は少ない
住宅ローンを借り換えるとき、同時に返済期間の延長ができる金融機関は少ないです。場合によっては条件に合わないこともあるので、毎月の負担額を減らしたいなら今の借入先で期間の延長を申し込みましょう。
それでも厳しい状況なら、リスケジュールを活用して乗り切る方法を考えてください。返済に悩んだときに、一番やってはいけないのは延滞することです。延滞が続き、競売にかけられてしまうと生活を立て直すのが困難になります。そうならないように、早急に金融機関に相談して対応策を考えていきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
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