更新日: 2024.03.12 定年・退職

定年まで働いても「損」する場合があるって本当?「64歳11ヶ月」での退職がベストになる理由を解説

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

定年まで働いても「損」する場合があるって本当?「64歳11ヶ月」での退職がベストになる理由を解説
「定年まで一生懸命働いて退職金をもらおう」と考えている人も多いのではないでしょうか? 退職金は定年まで働いたほうが多くもらえる傾向にあります。しかし、場合によっては64歳11ヶ月で退職するほうがよいこともあるので気を付けたいところです。
 
そこで本記事では、65歳で定年退職した場合と64歳11ヶ月で退職した場合の違いについて解説していきます。
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65歳未満は退職金と失業手当を両方受け取れる

退職した際に受け取れる給付金の1つに雇用保険の基本手当、いわゆる失業手当があります。失業手当は、65歳未満で「失業の状態であること」、「会社を辞めた日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算で12ヶ月以上あること」という要件を満たすと受給可能です。
 
そのため、64歳11ヶ月で退職した場合でも受け取れます。64歳11ヶ月で退職することで退職金に加えて失業手当も受給できるので、定年後もまた働くのであれば、65歳で退職するよりも得をすることもあります。
 
失業手当の金額は基本手当日額の45%から80%の金額です。基本手当日額は「会社を辞めた日の直前の6ヶ月間に支払われた賃金(賞与等は含まない)の合計額を180で割った金額になります。給付期間は雇用期間に加入している理由や期間で決まり、今回のケースでは90日、120日、150日のいずれかです。
 
もっとも、65歳未満で退職する場合は自己都合退職となるので、給付までに2ヶ月の待機期間があります。待機期間が過ぎてからしか受給できないので注意が必要です。
 

65歳以降が受け取れる給付金は?

65歳以降に退職した場合、失業手当は65歳未満が対象になるので受け取れません。その代わりに65歳以降は高年齢求職者給付金が受給できます。
 
高年齢求職者給付金は65歳以上で「失業の状態であること」、「会社を辞めた日以前1年間に、雇用保険の被保険者期間が通算で6ヶ月以上あること」という要件を満たすと受給可能です。
 
「高年齢求職者給付金」と「失業手当」とでは、給付日数で大きな違いがあります。高年齢求職者給付金も失業手当と同じように雇用保険に加入している期間によって給付期間が決まりますが、30日もしくは50日です。そのため、失業手当のほうが多く給付金を受け取れることになります。
 
65歳で定年退職すると退職金を満額受け取れますが、失業手当は65歳未満でないと受け取れません。そのため退職金と失業手当の両方が受け取れる64歳11ヶ月のほうがお得な場合もあります。
 

65歳で定年退職すると給付金と年金も同時に受け取れる?

給付金の受け取りにおいては65歳未満で退職するとメリットがありますが、給付金と年金の受け取りにおいては65歳以降のほうがよい場合もあります。
 
基本的に、失業手当と厚生年金は同時に受給できないことになっています。このことから、65歳未満で退職すると失業保険を受給している期間は厚生年金の受給が停止されます。しかし、高年齢求職者給付金と厚生年金は同時に受給可能です。そのため65歳以降に退職した場合は給付金と年金を同時に受給できることになります。
 

定年後の働き方について話し合ってみましょう

64歳11ヶ月で退職すると、退職金と失業手当を両方受け取れるので給付金を多く受け取れるメリットがあります。しかし、65歳以降に退職した場合は高年齢求職者給付金と年金を同時に受け取れるので、前者も後者もそれぞれメリットがあると言えるでしょう。
 
もっとも、64歳11ヶ月で退職すると自己都合退職となるので、給付を受け取るまでに期間が開いてしまうというデメリットもあります。また、再就職の意思がないのに失業手当のために退職することは、失業手当の制度の目的に反するので最悪の場合「不正受給」となってしまうこともあり注意が必要です。退職後は再就職を目指したいと考えている人以外は65歳以降に退職するようにしましょう。
 
まずは、退職金や給付金がいくらになるのかを確認することをおすすめします。定年退職後の働き方とも関係してくるので、まずは定年後の働き方について家族と話し合ってみてください。
 

出典

ハローワークインターネットサービス 基本手当について
ハローワークインターネットサービス 基本手当の所定給付日数
厚生労働省 離職されたみなさまへ <高年齢求職者給付金のご案内>
日本年金機構 年金と雇用保険の失業給付との調整
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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