更新日: 2021.03.24 国民年金

60歳、年金の未納期間があるのですが、任意加入したほうがよいですか?

執筆者 : 蟹山淳子

60歳、年金の未納期間があるのですが、任意加入したほうがよいですか?
60歳は節目の年。定年、年金、老後の住まいなど、いろいろなことが気になります。60歳を目前にして、自分の年金には未納期間があることに改めて気づく人もいるでしょう。一生涯もらえる年金は、老後のマネープランに欠かせません。できるだけ多くもらえるようにしておきたいものです。
 
ここでは、60歳以降に未納期間を減らすための任意加入について説明します。
蟹山淳子

執筆者:蟹山淳子(かにやま・じゅんこ)

CFP(R)認定者

宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
蟹山FPオフィス代表
大学卒業後、銀行勤務を経て専業主婦となり、二世帯住宅で夫の両親と同居、2人の子どもを育てる。1997年夫と死別、シングルマザーとなる。以後、自身の資産管理、義父の認知症介護、相続など、自分でプランを立てながら対応。2004年CFP取得。2011年慶應義塾大学経済学部(通信過程)卒業。2015年、日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員。2016年日本FP協会、広報センタースタッフ。子どもの受験は幼稚園から大学まですべて経験。3回の介護と3回の相続を経験。その他、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー等の資格も保有。

そもそも年金は何歳まで払う?

国民年金の保険料を払うのは20歳から60歳に達するまでです。そして、原則として60歳になるまでに保険料を納めた月数(上限480月)に応じて、65歳から受け取る老齢基礎年金の金額が計算されます。
 
40年間欠かさず保険料を払っていれば、満額の老齢基礎年金を受け取れますが、未納期間があれば年金額が減らされます。一方、厚生年金は70歳まで保険料を払います。60歳までは厚生年金保険料を払うことで、国民年金の保険料納付月数も増えていきます。
 
ただし、60歳以降は厚生年金の加入月数は増えるものの、国民年金の保険料納付月数が増えることはありません。
 

60歳以降の国民年金任意加入

今60歳前後の人が20歳の頃、国民年金は任意加入だったので、必ずしも加入する必要がありませんでした。ですから、大学生だったときに未加入期間があり、満額の老齢基礎年金を受け取れないという人は少なくないでしょう。
 
また、第3号被保険者の制度ができた昭和61年4月より前に専業主婦(夫)の期間がある人も、加入していなかった可能性があります。
 
保険料納付月数が60歳時点で保険料納付月数が480月に達していないために老齢基礎年金を満額受給できない場合は、国民年金に任意加入ができます。任意加入できるのは60歳から65歳までの人で、480月に達していない場合です。
 
なお、65歳まで任意加入を続けても加入期間が10年(120月)に満たず、老齢基礎年金の受給資格要件を満たせない場合は120月に達するまで、最長70歳まで加入することができます。
 
ただし、厚生年金に加入している人や、すでに老齢基礎年金を繰上げ受給している人は国民年金の任意加入できません。
 

厚生年金に加入している人は

最近は60歳以降も厚生年金に加入して、働き続ける人が多くなりました。厚生年金に加入している人は任意加入をすることができません。では、60歳以降も働き続けたら未納期間の分の年金は受け取れないかというと、そんなことはありません。
 
厚生年金に加入し続けていれば、国民年金の加入月数は増えなくても、厚生年金の中に「経過的加算額」があるため、任意加入するのと同じように年金額を増やすことができます。
 
厚生年金保険料を払うことによって、国民年金に任意加入して老齢基礎年金が増額するのとほぼ同じ金額が、保険料納付月数が480月になるまで、経過的加算額として老齢厚生年金受給額に加算されます。
 

任意加入のコスパ

任意加入をして老齢基礎年金の受給額が増えるのはよいことですが、国民年金の保険料は年額で約20万円(令和3年度は19万9320円)、決して安い金額ではありません。とはいえ、大事なのはコスパ(投資効率)です。
 
20万円を納めたら年金はいくら多くもらえるかを考えてみましょう。満額の老齢基礎年金は年額で約78万円(令和3年度は78万900円)です。その1/40ですから、年に約1万9500円多くもらえることになります。
 
年に2万円弱と聞くとがっかりする方も多いのですが、10年受け取ればほぼ元が取れる金額です。さらに85歳まで生きれば約2倍、95歳までなら約3倍受け取ることができます。平均寿命がどんどん長くなっていることを考えれば、受け取る年金は少しでも多いほうが安心です。
 
国民年金に加入していなかった期間がある人は、任意加入を検討してはいかがでしょうか。
 
執筆者:蟹山淳子
CFP(R)認定者
 

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