更新日: 2022.03.04 その他年金

年金を受給しながら働く場合、一定の収入を超えると年金がカットされることをご存じですか? 4月の年金制度改正でそれが見直されます

年金を受給しながら働く場合、一定の収入を超えると年金がカットされることをご存じですか? 4月の年金制度改正でそれが見直されます
令和2年5月29日、「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立し、今年の4月1日より施行されます。
 
少子高齢化で現役世代の人口の減少が続くことにより、シニア世代や女性の就業が進み、より多くの人がこれまでよりも長い期間にわたり、多様な形で働くようになることが見込まれます。このような社会や経済の変化が、年金制度に反映されるようです。
 
今回の改正では、[1]被用者保険(厚生年金保険・健康保険)の適用拡大、[2]在職中の年金受給の在り方の見直し(在職老齢年金制度の見直し、在職定時改定の導入)、[3]受給開始時期の選択肢の拡大、[4]確定拠出年金の加入可能要件の見直し等が実施されます(※1)。

【PR】SBIスマイルのリースバック

おすすめポイント

・自宅の売却後もそのまま住み続けられます
・売却金のお使いみちに制限がないので自由に使えます
・家の維持にかかるコスト・リスクが無くなります
・ご年齢や収入に制限がないので、どなたでもお申し込みいただけます

FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

働きながら年金がもらえる賃金の上限がアップ

現行の制度では、働いていて賃金と年金の合計額が一定以上になる60歳以上の老齢厚生年金受給者は、全部または一部の年金支給を停止することとなっていました。
 
今回の改正では、60~64歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度については、年金の支給が停止される基準が、現行の賃金と年金月額の合計額28万円から47万円に緩和され、賃金と年金月額の合計額が28万円から47万円の場合は、年金額の支給停止がされなくなります。
 
これまでは、退職等により厚生年金被保険者の資格を喪失するまでは、老齢厚生年金の額は改定されませんでした。今回から、65歳以上の在職中の老齢厚生年金受給者について、年金額を毎年10月に改定し、それまでに納めた保険料を年金額に反映する在職定時改定が新設されます。これにより、就労を継続したことの効果を、退職を待たずに年金額に反映することができるようになります。
 

【PR】SBIスマイルのリースバック

おすすめポイント

・自宅の売却後もそのまま住み続けられます
・まとまった資金を短期間で手に入れられます
・家の維持にかかるコスト・リスクが無くなります
・借り入れせずに資金を調達できます

年金の受給開始年齢の範囲の拡大、確定拠出年金の加入年齢の引き上げも

公的年金は、原則として、65歳から受け取ることができますが、現行制度では、希望すれば60歳から70歳の間で自由に受給開始時期を選ぶことができます。65歳より早く受け取り始めた場合には減額した年金を、65歳より遅く受け取り始めた場合には増額した年金を、それぞれ生涯を通じて受け取ることができます。
 
今回の改正では、働く高齢者が増加していることから、就労状況等に合わせて年金受給の方法を選択できるよう、繰り下げ制度について見直しを行います。年金受給開始時期について、その上限を75歳に引き上げます。なお、現在65歳からとなっている年金支給開始年齢の引き上げは行いません。
 
また、確定拠出年金(DC)の加入可能要件が見直されます。
 
2022年5月から、企業型DCに加入できる年齢を65歳未満から70歳未満に引き上げるとともに、受給開始時期も60~70歳までの間で選択可能だったのが、2022年4月から75歳までの間に拡大されます。同様にiDeCoの加入年齢も65歳未満に引き上げられます。
 

パートやアルバイトも厚生年金に加入しやすく

また、今回の法改正では、パートやアルバイト等の短時間労働者を厚生年金保険や健康保険といった被用者保険の適用対象とするべき事業所の企業規模要件を引き下げます。
 
従業員数500人超から段階的に引き下げ、令和4年10月に100人超規模、令和6年10月に50人超規模まで引き下げることで、パートやアルバイトが厚生年金保険に加入できる機会が増えることになります。
 
被用者保険が適用され、厚生年金保険に加入すると、将来基礎年金に上乗せする形で報酬比例の年金が年金受給資格を取得した後、終身で受け取れます。
 

年金制度の改正を知っている人は3割

ところで、年金制度の改正はどの程度知られているのでしょうか。
 
株式会社日本マーケティングリサーチ機構は2022年1月に、日本全国の10~70代の男女を対象に「年金制度」に関する調査を行いました(※2)。
 
年金制度が改正され、65歳以上の労働者の方の年金が増えることを知っているか尋ねたところ、「知っていた」は33.73%にとどまり、3人に2人は知らないという結果となりました。
 
年金制度の改正が決まる前から65歳以降も働こうと思っていたかという問いには、「働こうと思っていた」が29.99%、「働こうと思っていなかった」が29.51%、「どちらでもない」が40.49%という結果に。
 
年金制度が改正されることによって65歳以降も働こうと思うようになったかと聞いたところ、「元々働こうと思っていた」が28.80%、「年金制度の改正があって働こうと思った」が11.22%、「働こうと思わない」が22.28%、「どちらでもない」が37.71%という結果となりました。
 
年金制度の制度改正で65歳以上も働こうと思った人は1割程度にとどまっていますが、今後労働人口の減少は確定事項であるため、健康に気をつけてできるだけ長い間働けるようにしたいですね。
 
出典
※1:厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」
※2:株式会社日本マーケティングリサーチ機構「年金制度に関する一般調査」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部