最終更新日:2019.01.10 公開日:2018.06.27
資産運用

今だからこそ、J-REIT(日本の不動産投資信託)を投資対象とすべき理由とは?

2017年のJ-REIT市場はさえない動きが続きました。購入時のタイミングによっては「損をした」感を抱いた人も少なからずいます。
 
さらに東京五輪終了後は下がる、2020年までのオフィスビル大量供給で下がる、という声もよく耳にしますが、冷静に見てみると違った景色が見えそうです。
 

2017年の下落の大きな要因は需給要因

J-REIT(日本の不動産投資信託)について「下がり続けている」という問い合わせをよく受けました。「下がっているから悪い」「下がっているから投資するのが怖い」というのは理由にはなりません。
 
「なぜ」下がっているのかという原因を探ります。
 
投資部門別の売買動向から見ると、投資信託を経由した大きな売り越しが続いていたことがわかります。金融庁が、2017年3月に分配金偏重の投資信託について問題視したことが原因の1つといわれています。
 
毎月分配金型商品では分配金を受け取っているときには意識していなかったが、何かのきっかけで基準価額を見ると、購入時よりもかなり下落していたということを知ったとして、問題になったケースを耳にすることもありましたが、そこが問題視されたのでしょう。
 
J-REITの約30%は投資信託に組み込まれているので、解約につれて下落が続きました。
 
投資対象が5%以上の評価損を計上することになったものは売却する、というルールからの売り(金融機関)も基準価額下落に拍車をかけたようです。このように、下落が下落を招いたという需給要因が大きかったものと推測されます。
 

金融商品の値動きを長期的に決定づけるのは経済状況

金融商品の値動きを決定づけるのは、短期的には需給要因ですが長期的には経済状況です。J-REITでは、日本の不動産市況になります。
 
ビルや住宅の供給が需要を上回れば、家賃が下落します。あるいは金利が上昇してJ-REITの借り入れ返済負担が重くなれば、マイナス価額を押し下げる力が働きます。
 
日本の金利は低位で推移していますから、金利面からJ-REITの上値が抑えられる可能性は考えにくいとはいえ、都心部大型ビルの大量供給を懸念材料視する投資家もいます。
 
直近では2012年にJPタワー、渋谷ヒカリエ、新宿イーストサイドスクエアなど大型ビルの竣工によりオフィス供給が拡大したとき、都市の空室率が8.7%まで上昇し賃料は下落しました。
 
これになぞらえれば、2018年(東京ミッドタウン日比谷等)から2020年(虎ノ門トラストシティ等)にかけて続々と竣工される都心のビル供給により、現在の5%を大きく下回る空室率が上昇する可能性はあるでしょう。
 

プラスとマイナスの要因が交錯するときは、投資指標で確認

短期的な需給要因により大きく下落したことによる割安感というプラス面、長期的なオフィ過剰供給というマイナス面の綱引きの間で、J-REITを投資対象としてどう考えればいいのでしょうか。
 
投資指標で判断するのが一般的で、投資信託では分配金利回りをよく使います。分配金利回りとは、年間分配金÷基準価額でこの値が高いほど魅力的に見えます。
 
2018年5月21日現在で4.05%と2013年以来の高水準となっていますが、基準価額が下落しているためであるといえます。
 
もう1つの指標NAV(純資産価値)倍率は基準価額÷純資産額で計算します。こちらは低いほど割安に放置されていることになります。
 
2018年5月時点で2012年以来の0.9〜1.1倍と鑑定評価額並み、利益成長率が織り込まれた評価にとどまっています。このことから「現在の水準は割安」といえそうです。
 
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)、
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表

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柴沼直美

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表
大学を卒業後、日本生命保険に入社。保険営業に従事したのち渡米。米国アリゾナ州、Thunderbird School of Global ManagementにてMBAを修得。帰国後外資系証券会社、投資顧問会社にてアナリスト、日本株ファンドマネジャーを経験。出産・母親の介護を機に退職。三人の子育ての中で、仕事と主婦業の両立を図るべく独立。キャリアカウンセラー、CFPの資格を活かしつつ、それぞれのライフステージでのお金との付き合い方を、セミナーや個別相談により紹介。子どもの教育費・留学費から介護に至るまで経験を交えた実行可能な幅広いストライクゾーンで対応。
http://www.caripri.com



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