最終更新日:2019.05.17 公開日:2019.01.29
資産運用

FPが実践!外貨運用でもっとも手軽な外貨預金のメリットと留意点は?

「外貨による運用」を行うことができる金融商品として、本稿では外貨預金について述べてみたいと思います。外貨預金は、筆者にとって、もっともポピュラーな「外貨による運用」です。なお、本稿では「為替予約のない」外貨預金を取り上げます。
 

外貨預金とは

外貨預金は銀行にて取り扱われています。預金と銘打たれてはいますが「預金保険機構」による保護の対象外です。
 
また、預金なので株式や投資信託のような価格変動はありませんが、為替の影響は受けます。「為替の影響を受ける」という点を別にすれば、普通に銀行の預金と同じという理解で構いませんが、細かな点で留意が必要です。
 

TTSとTTB、それにTTM

外貨預金には、為替手数料が掛かります。お手元の円を外貨に換える時には、為替手数料が掛かります。円を外貨に換える時の為替手数料のことをTTS(=Telegraphic Transfer Selling 電信売相場)と言います。
 
また、お手元の外貨を円に換える時にも、やはり為替手数料が掛かります。外貨を円に換える時の為替手数料をTTB(=Telegraphic Transfer Buying 電信買相場)と言います。
 
外貨預金では、通貨がドルの場合、為替手数料は「片道1円、往復2円」が多いようです。(以下、通貨はドルとします)。ニュースやインターネットなどで報じられる為替レートが、1ドル110円だったとしましょう。ちなみに、ニュースやインターネットなどで為替レートのことをTTMと言います。
 
TTSは、1ドル111円となります。逆に、TTBは1ドル109円となります。つまり、TTSは「TTM+1円」で、TTBは「TTM-1円」ということになります。なお、この為替手数料は同じ銀行でも、インターネット取引やキャンペーンなどで値引きされることがあるようです。例えば、TTSは「TTM+0.5円」などです。
 

為替差益と為替差損

外貨預金の妙味なのが為替差益。そして、外貨預金のリスクとも言えるのが為替差損です。例えば、外貨預金を始める時に、1ドルが110円だったとしましょう。そして、満期になった外貨預金を円に戻す時、1ドルが、やはり110円だったとします。利息は考慮しないという前提です。
 
この場合、為替差益もなく、為替差損もない、いわゆるプラスマイナスゼロ、ということになるのでしょうか?そこで、先述のTTSとTTBのお話を思い出してください。往復で2円の為替手数料が掛かるのですから。プラスマイナスゼロにはならず、少なくとも2円の為替差損です。
 
つまり、外貨預金を始める時に、1ドルが110円だったとしましょう。そして、満期になった外貨預金を円に戻す時、1ドルが112円で、プラスマイナスゼロということになります。同じく利息は考慮しないという前提です。
 
もし、満期になった外貨預金を円に戻す時、1ドルが112円を超えていれば、為替差益を得ることができるのです。
 

円の預金よりも高い利率

円の預金よりも高い利率なのが外貨預金です。具体的な利率は、以下の通りです。
 

 
外貨定期預金の満期は1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年と4つの種類がありますが、表では1年満期の外貨定期預金です。預け入れる金額が大きいと、利率が高くなることがあります。表中は、最小の預入額の場合です。
 
なお、外貨定期預金は円の定期預金とは異なり、満期前の中途解約はできないのが原則です。満期時に円に換えなければ、自動更新する場合もあります。また、外貨定期預金の場合、利息は満期時に付与されます。満期時に円に換えず、更新する場合には更新時の利率となります。
 
ドルなら今のところ、アメリカの金利が上昇傾向ですから、満期までの期間が短めの方が有利かもしれませんね。では、外貨預金の満期を迎えたものの、満期時の為替のレートでは為替差損になってしまう。こんな時は、どうしたら良いでしょうか?
 
方法は二つ。一つは、そのまま自動更新。もう一つは、満期時に外貨定期預金から外貨普通預金に移すのです。同じ通貨なら、当然、為替の差損も差益も生じませんし、為替手数料は掛かりません。
 
外貨普通預金は外貨定期預金に比べ、利率は劣りますが、円の定期預金に比べて、いかがでしょうか?そして、何と申しましても、外貨普通預金は満期がありませんので、為替レートを見て、円に換える時を判断することができるのです。
 

外貨預金には、どんな通貨が?

本稿では、ドルを申し上げてきましたが。他にも、ユーロ、豪ドル、ニュージーランドドル、香港ドル、カナダドル、ポンド、スイスフラン、トルコリラ、中国元、韓国ウォンなど、さまざまな国の通貨があります。銀行によって取り扱われている通貨は異なります。
 
また、先ほどの為替手数料も、通貨によって異なりますが、為替手数料が最も安いのはドルです。
 

外貨預金のメリット

外貨預金には、どのようなメリットがあるのでしょうか?これまでは、以下の2点を申し上げてきました。
・為替手数料と為替差損も覚悟しつつ、為替差益がある。
・円よりも、高い利率。

 
筆者は外貨預金のメリットとして、「手軽さ」を挙げたいと思います。「手軽さ」は、以下の3点です。
 
・日頃、お給料の振り込みや公共料金の引き落としなどに利用している銀行で始めることができる。
・1ドルや1ユーロなど、最低の通貨単位、すなわち少額から始めることができる。
・長期の運用と短期の運用、そのどちらでも対応ができる。例えば、満期のない外貨普通預金なら、運用期間は自分で考えることができる。
 また、満期のある外貨定期預金でも最長は1年で、満期時には更新があるので、更新を繰り返すことで長期の運用ができる。

 

外貨預金、筆者の体験記

筆者は3ヶ月満期のドル定期預金を17年ほど続けています。17年前、筆者はFP資格を取るずっと前で、某銀行の「キャンペーン金利」につられて3ヶ月満期の外貨定期預金を始めてしまいました。
 
キャンペーン金利は、確か年利8%と破格だったのですが、適用されるのは満期までの、たった3ヶ月だけ。当時は1ドル125円を超えていたと思うのですが、例によって為替手数料TTSが適用され、1ドル126円でした。
 
その後、長いこと、1ドルが126円を超えることはなかったですし。利息を加えても、その後、長いこと為替差損の状態が続きました。
 
そのうち、リーマンショックの影響で、アメリカもゼロ金利となりましたので、筆者の外貨定期預金も利率がゼロということはありませんでしたが、0.1%を下回る利率だったように記憶しています。
 
低い利率とはいえ、3ヶ月の満期を迎えるごとに、利息が元本に乗っかります。なので、最近では、筆者の外貨定期預金も1ドルが118円を超えれば、プラスマイナスゼロになります。
 
年明け以後、1ドルがいくらになるか分かりませんが、昨年末は1ドル110円台でしたので、まだまだ為替差損ですね。利息ももちろん増えていますが、最近のアメリカの金利の上昇傾向を受けて、利率は上がってきています。
 
いかがですか?筆者の体験記をご覧になって、外貨預金に対するモチベーションが下がった方もいるかと思います。むしろ、上がったという方は、始める前に銀行で相談するか、ホームページなどをじっくりご覧になってから、リスクを理解とご納得のうえご検討くださいませ。
 
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
 
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大泉稔

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

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