更新日: 2021.08.10 その他資産運用

酒田五法の「三法」。上昇局面で見られる「上げ三法」ってなに?

酒田五法の「三法」。上昇局面で見られる「上げ三法」ってなに?
これまで、日本を代表するテクニカル分析である「酒田五法」のうち、「三山」、「三川」、「三空」、「三兵」の4つをお伝えしてきました。今回は5つ目の「三法(さんぽう)」について見ていきたいと思います。
重定賢治

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

「三法」とは

「三法(さんぽう)」は図で見ると、次のようなイメージです。
 

※筆者作成
 
三法の特徴は、相場がもみ合っている状態から抜け出したら、その抜けた方向に買い、もしくは売りを入れるという点です。
 
上の図では、チャート的には下から上昇してきた相場が長い陽線坊主でいったん上げ止まり、その後、調整局面が訪れ、強い反発の下、再び上昇基調に転じたとイメージしてください。「上昇基調」⇒「調整局面」⇒「上昇基調」という流れです。
 
ここで重要なのが「調整局面」ですが、これはいわゆる「もみ合い相場」で、上がろうか、下がろうか、相場が気迷いしている状況を示しています。投資家心理としては、買えばいいのか、売ればいいのか、いったん様子見している場面です。
 
このような調整局面ではレンジ相場になりやすく、一定の値幅で相場が上げ下げを繰り返した後、あるタイミングで大きく一方向に振れる傾向があります。
 
これは、相場がなかなか動かない中で、ある大きなニュースなどをきっかけに投資家の売買姿勢が一気に変わることを表していますが、このような相場の傾向を酒田五法では「三法」と表現しています。
 
上の図のように、上昇局面から調整局面に入った後、再び上昇局面に入っていく流れを「上げ三法(あげさんぽう)」と呼びます。
 

「上げ三法」の活用方法

上げ三法の特徴は、上の図のように上昇局面がいったん終わり、調整局面を迎え、その後、再び上昇局面に転じる点です。このため、上げ三法を確認した後は上振れするだろうと予測し、買いを入れるというのが上げ三法の使い方といえます。
 
必ずしもこのような見立てが当たるかといえばそういうわけでもありませんが、上げ三法の見極め方としては、上昇相場の中で長くもみ合っている局面、つまり、相場の踊り場を発見することです。
 
相場の踊り場から反転上昇し、上値を突破してくれば上げ三法が成立するため、その前段階としての「相場の踊り場」を見つけ出すことが上げ三法では最も重要なポイントになります。
 

まとめ

上昇相場はチャートで見ると、右肩上がりの波形に見えますが、波であるため、上がったり、下がったりを繰り返しながら、全体を通して右肩上がりの波形を描き出します。その途中で現れるのが、もみ合い相場です。
 
もみ合い相場は、それまで上がってきた過去を振り返る局面でもあり、これから上がるかどうかを見極める局面でもあります。ここで起こることが投資家の気迷いだったり、様子見ですが、この峠を抜けた先に上げ三法が成立するわけです。
 
このように上げ三法は上昇局面で往々にして現れるパターンですが、実際は、上げ三法が成立しない場合もあります。次回は、一見、上げ三法になるかと思いきや、ならなかったケースについて見ていきたいと思います。
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)

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