今さら聞けない、マイナス金利政策。コロナ禍でどうなる?

配信日: 2021.05.28

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今さら聞けない、マイナス金利政策。コロナ禍でどうなる?
経済情勢が報道される際に「マイナス金利政策」という言葉が用いられることがあります。このマイナス金利政策という言葉の意味、説明できますか?
 
経済動向を気にしている方ですら意外と答えられないことも多い、マイナス金利政策について解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

マイナス金利政策とは?

マイナス金利政策とは、その名のとおり、預金口座に適用される金利をマイナスにすることです。それにより、お金を預けると逆に金利分のお金が減ってしまうことになるのです。
 
ただ、これは全ての銀行で行われるわけではなく、金融機関が中央銀行(日本の場合は日銀)に預けるよう定められている最低金額を超える部分についてのみ適用されるものです。私たちの預金口座の金利がマイナスになるわけではありません。
 
日本では2016年にマイナス金利が導入されており、それが今日まで続いています。
 

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マイナス金利政策が実行されるとどうなる?

マイナス金利政策が実行されている中で銀行がお金を日銀に預けていると、逆にお金が減っていってしまうため、銀行はできるだけ避けようとして融資や投資という形で市場にお金を流します。国としてはそれを狙い、市場にお金は流れるようにし、経済の安定・活性化とデフレ(モノやサービスの価値が低下すること)脱却に向かわせ、経済を成長させていこうとしています。
 
一見すると、マイナス金利政策は私たちにとってよい作用のみを及ぼすように思えますが、その実、悪い影響も及びます。
 

マイナス金利政策のよい影響

マイナス金利政策が実行されると融資やローンの利率も下がるため、消費者の購買行動や企業の設備投資などが活発化します。それによって景気全体が上向き、失業率の改善などにもつながっていきます。少し前に住宅ローンの利率が下がり、マイホームの購入や不動産投資を考える方が増えたのも、まさにこのマイナス金利政策の影響です。
 

マイナス金利政策の悪い影響

マイナス金利政策の影響はよいものだけではありません。マイナス金利政策が実行されると金融機関は利益が減少します。金融機関はその減少分を、私たち個人の預金口座の金利を引き下げたり、ATM手数料の値上げなどといった方法で補てんします。
 
また、金利が軒並み引き下げられることで、お金の運用が難しくなって、保険会社が提供する保険商品の保険料が値上げされたり、一定の保険商品の販売が停止されるといったことも起こります。
 
このように、マイナス金利政策の実行は良くも悪くも私たちの生活に大きな影響を及ぼします。

コロナ禍でマイナス金利政策はどうなる?

このコロナ禍においても、マイナス金利政策は当面続いていくことが想定されます。日銀の経済政策は、アメリカの中央銀行(FRB)に追従する形で運営されているのですが、そのFRBが新型コロナウイルスの影響を踏まえ、ゼロ金利政策を当面続けると宣言しているからです。
 
さらに日本においては、日銀がマイナス金利政策の導入当初に目標として掲げた物価上昇率2%という数値を達成できていないことを考えると、当面はマイナス金利政策が続いていくことが予想されます。
 
しかしながら、何らかの大きな出来事があり、経済状況が大きく変わることも想定されるため、引き続き金利政策の動向には注視が必要です。
 

マイナス金利が理解できれば経済の理解に一歩近づく

マイナス金利政策とは日銀が行う景気対策の1つであり、金融機関が日銀に預けるお金の金利をマイナスにすることで、市中にお金が流れるように促す仕組みです。マイナス金利によって住宅ローンの金利が低下するなど、私たちの暮らしに良い方面で働くこともあれば、生命保険料の値上げや預金の利息低下など悪い面に働くこともあります。
 
何となく難しい気がする経済の世界ですが、用語を1つ理解できるだけで一気に身近に感じられるようになります。
 
日本は資本主義の国であり、社会の一員として活動する上で経済の動向を無視するわけにはいきません。これを機に少しずつ経済について触れてみてはいかがでしょうか。
 
執筆者:柘植輝
行政書士
 

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