「この会社どれだけ儲かっているの?」そんなときには損益計算書を見てみよう

配信日: 2021.07.15

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「この会社どれだけ儲かっているの?」そんなときには損益計算書を見てみよう
別稿で、決算書の中で「貸借対照表」を見ていきました。
 
今回は、会社が1年間にどれだけの売上があってどれだけのもうけが出たのかが分かる「損益計算書」について見ていきます。
田久保誠

執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)

田久保誠行政書士事務所代表

CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

損益計算書とは?

損益計算書とは、会社の一定期間(期首から期末までの1年間)における収益、費用を算出して利益が分かる決算書類で、収益・費用・利益から成り立つ書類で「P/L」とも呼ばれます。
 
図表1のように、収益と費用はどのような状況で発生したのかによって記載する位置が変わってきます。また、利益はその段階によって5つの利益に分けられます(赤色の部分)。
 
【図表1】

                         (筆者作成)
 
それぞれ「収益」「費用」「利益」について見ていきます
 

収益部分について

■売上高……製品の売上やサービスによる収入の合計額です。
■営業外収益……営業外の財務活動で上げた収益で有価証券売却益や受取利息等があります。
■特別利益……会社の通常の経営活動とは直接かかわりのないその期だけの特別な要因によって発生した利益で、例えば土地や建物、工場等の固定資産を売却益や為替の評価益等があります。

 

費用部分について

■売上原価……売上高に対応する仕入、製造原価です。
■販売費・一般管理費……商品や製品を販売するための費用と会社全体を管理するための費用を合わせたもので、販売費には販売手数料や運賃等、一般管理費には管理部門の全体の役員報酬や従業員の給与等があります。
■営業外費用……営業外で発生した費用で有価証券売却損や支払利息等があります。
■特別損失……特別利益の反対でその期だけの特別な要因によって発生した損失で、例えば固定資産の売却損や為替の評価損、災害発生時の損失等があります。

 

利益部分について

■売上総利益……粗利(あらり)とも言います。会社の利益の源泉でここから原価以外のさまざまな費用が賄われることになります。
■営業利益……売上総利益から販売費や一般管理費を除いた利益で、その会社の本業での利益を表します。
■経常利益……営業利益から営業外の財務活動等を加減した利益で、通常の会社経営によって得た利益です。
■税引前当期純利益……経常利益にその期特有の事象を加減した利益です。
■当期純利益……税引前当期純利益から法人税、住民税、事業税等を差し引いた最終的な利益です。

 

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損益計算書で何が分かるの?

いくら売り上げが多くても利益が少ないと、会社としては苦しいでしょう。そこで売上高利益率という考え方があります。利益の種類は上記で示したように5つありますのでそれを分子、売上高を分母として計算することになります。図表1を例にしますと、売上高経常利益率は90÷1000×100で9%、売上高当期純利益率は50÷1000×100で5%となります。
 
注意する点は、これらの利益率は業種業界によって平均値が異なるということです。同じ5%の売上高当期純利益率であっても、それが高いのか低いのかは一概にはいえないということです。
 

貸借対照表と一緒に見てみよう

前述のとおり、それぞれの利益率を把握するには損益計算書だけで十分ですが、その利益をどれくらいの資本を使って上げているのか、つまり元手がいくらでどれだけ利益を上げたかという効率性を見るのであれば、貸借対照表も必要です。
 
経営効率を見るうえで必要な指標の主なものは次の2つです。
 

自己資本利益率(ROE)=当期純利益÷自己資本×100
総資本利益率(ROA)=当期純利益÷総資本×100

 
ROEは自己資本でどれだけ利益を生むか、ROAは総資本でどれだけ利益を生むかというものです。
 
これ以外にも会社を分析する式はまだまだたくさんあります。当然株式投資に直接関係ない指数もありますが、興味がある方はいろいろな角度から会社を見つめるのも楽しいかもしれませんよ。
 
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

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