更新日: 2021.08.02 その他資産運用
早期退職したい人は知っておきたい! 「FIRE」とは? FPが解説
以下では、FIREについて解説します。
執筆者:中村将士(なかむら まさし)
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
FIREの要は経済的自立
FIREとは、「Financial Independence, Retire Early」の頭文字で、直訳すると「経済的自立、早期退職」となります。
この言葉の意味するところは、年齢が若いうちから資産形成を始め、経済的に自立するというものです。近年、FIREは欧米のミレニアル世代(20歳から30歳代)の人たちを中心に支持され、「FIREムーブメント」が起きているため注目を集めています。
FIREが支持された背景には、新型コロナウイルス感染症の影響が大きいようです。ご存じのとおり、新型コロナウイルス感染症の影響により世界的に経済が不安定になっています。
個人の視点で見れば、仕事や家計に影響が出ている方は多いことでしょう。雇用されている立場では経済的に不安定であるから、この状況から抜け出すためには経済的に自立するべきである、というのがFIREの考え方といえます。
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FIRE実現のためには資産形成が必要
FIREの考え方にある経済的自立とはどのようなことかといえば、資産から収益を得て(これを「インカムゲイン」といいます)、その範囲内で支出(生活費など)を賄うということです。
ここで、資産からどれくらいの収益を得られるのかという問題が挙がりますが、FIREでは「4%ルール」という考え方を採用しています。これは、資産運用の収益率(資産に対する収益の割合)を4%(年率)とし、その収益の範囲内で生活をするというものです。
例えば、資産が3000万円あるとします。収益率4%なら、収益は年間120万円となります。
考え方を反対にして、現在の生活を維持するためにはいくら資産が必要かを考えてみましょう。例えば生活に毎月40万円必要だと仮定します。この場合、1年では480万円が必要です。
収益率4%で収益が480万円であるなら、資産は1億2000万円必要となります(=480万円÷4%)。ただし、この計算は手数料や税金などを考慮していませんので、実際には資産が1億2000万円より多く必要になります。
課題は「どのように資産形成をしていくか」
FIREを実現するためには、資産形成が不可欠となります。どのくらいの資産が必要になるかは、4%ルールに従って算出できます。つまり、あなたの生活に必要な金額を4%で割り戻せば(25倍すれば)、必要となる資産の額が算出できます。
課題は「どのように資産を形成していくか」です。資産形成といえば、株式投資、投資信託、不動産投資などが考えられますが、このうち、どれが一番良いかというのは、残念ながら分かりません。それぞれに長所・短所があります。
投資をするにあたり、次のようなことを考える必要があります。
●あなたはどのくらいのリスクに耐えられるのか
●あなたが投資できる金額はいくらか
●目標とする資産の金額はいくらか
●目標とする達成期限はいつか
新型コロナウイルス感染症が流行してから、日経平均株価は一時下落したものの、その後上昇傾向にあります。これは日経平均株価だけでなく、NYダウにも見られる傾向です。FIREムーブメントが起きた背景には、株式市場のこういった動きも影響していると思われます。
このようなときには、本来考えるべき基本的なことがないがしろにされる恐れがあります。リスクは常にあります。このことを心にとどめていただければ幸いです。
出典
The New York Times 「The Pandemic Forged New FIRE Followers, With a Difference」
日本経済新聞 「FIREムーブメント」
Vanguard社 「Fueling the FIRE movement: Updating the 4% rule for early retirees」
YAHOO!JAPANファイナンス 「日経平均株価(2年)」
YAHOO!JAPANファイナンス 「NYダウ(2年)」
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー