更新日: 2022.02.22 資産運用

1回で使い切るか、それとも2回に分けるか。悩ましい招待券とは?

執筆者 : 上野慎一

1回で使い切るか、それとも2回に分けるか。悩ましい招待券とは?
博物館や美術館には、国公立以外のものも数多くあります。その中には、特定の企業や企業グループとゆかりの深いところも少なくありません。
 
そして、企業やグループのPRのためにそうした施設の招待券や割引券を提供しているケースもまた、少なくないでしょう。
 
上野慎一

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

どうやって使うか。悩ましい招待券とは

「これをどうやって使うか。結構、悩ましいんだよね……」。知人が冗談交じりで見せてくれたのは、ある美術館の無料招待券でした。
 
施設があるのは都内・山の手エリアで、JRや東京メトロの駅からも徒歩圏。施設名からはうかがえませんが、ある企業グループ創業家にルーツがあり、そのグループが運営支援をしている先です。
 
知人はそのグループの中核企業である総合商社の株式を100株だけ保有していて、招待券は2021年9月の中間配当金計算書や株主通信などの書類と一緒に昨年12月早々に届いたものだそうです。
 
招待券には切り取り部分が2つ連続してあり、それぞれに「無料ご招待券~ご同伴の方は200円引き」の記載がありました。入館料は一般900円(シニアや学生は割引あり)です。有効期限は2022年9月下旬で、期間内に3種類の展覧会が設定されています。
 

使い切るやり方は、結構あります

この招待券をどう使い切るか。2人以内で考えられるパターン(「一般」の場合)は次のように結構多く、確かに少し悩ましいかもしれません。
 

<この招待券を使い切るパターン>

(*)は、一般入館料と割引額の差額700円の負担あり


(1)1人で2回行って、2回とも無料入館する

(2)2人で1回行って、2人とも無料入館する

(3)1人で1回行って無料入館する
 別に、もう1回は2人で行き、1人は無料、もう1人は割引で入館する(*)

(4)2人で1回行って、1人は無料、もう1人は割引で入館する(*)
 別に、2人で1回行って、1人は無料、もう1人は割引で入館する(*)

この4つのパターンで、どのくらいおトクになるのか。【図表1】のとおりです。
 


 
おトク額が最大になるのは(4)のパターンですが、往復の交通費まで考慮するとどうなるのか。仮に片道1人400円とすると、【図表2】のようになります。
 

 
入館料だけ考えた場合、一番おトクに見える(4)が、交通費まで考慮するとおトク度が最も低くなってしまう。おもしろい現象ですね。ちなみに、交通費が片道1人275円未満でないと(4)はプラスにはなりません。
 

これも「限界効用逓減」?

「限界効用逓減の法則」という経済用語があります。モノやサービスを続けて消費するとき、機会が増えていくと追加する分から得られる効用(効果や満足度)は逓減(次第に減少)するという意味です。
 
「限界」とはリミット(limit)ではなく、一番近い時点つまり連続した機会の「端っこ」を意味するマージナル(marginal)を示しています。
 
例えば、真夏の風呂上りに飲むビールを思い浮かべてください。最初の1杯は、疲れや喉の渇きを一気に癒やしてくれます。しかし、2杯・3杯と続けても1杯目ほどの感動や満足感はなく、逆に薄れていくようだ。こんな感じです。
 
(1)のパターンで同じ展覧会を2回見た場合、よほど多岐多彩な内容でない限り、2回目は初回ほどの感動や発見がない可能性大。同じ人の中で限界効用が逓減しているわけです。
 
では、夫婦で(2)のパターンを利用した場合はどうでしょうか。2人とも初めて見る展示内容に感動や新たな発見があるかもしれません。
 
しかし入館料の面では、1人は入館料900円が全額割引ですが、もう1人は200円の割引だけ。一家トータルでは、割引という効用が逓減していくといえなくもないですね。
 

まとめ

さて、知人はこの招待券をどのように消化したのでしょうか。結局、(2)のパターン。奥さんと一緒に出掛けて1回で使い切ったそうです。
 
しかしこの招待券、実は提供する企業のサイトなどで株主優待としての言及はなく、各企業の株主優待内容を取りまとめたサイトなどにも掲載されていません。つまり、制度化されていない一時的なサービスにすぎないのです。
 
せっかくもらったからと考え、どうやって割引の「効用」を最大化しようかと悩んだりする。あまり興味もないのに無理して出掛けて、“交通費倒れ”になってしまう。
 
世の中には無料招待券とか割引券があふれているように感じますが、こういった側面は思い当たりませんか。興味がなければ、使わなくても別に損などしない。こうした割り切りをすれば、いろいろな心配もなくなるかもしれません。
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士

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