更新日: 2022.04.20 その他資産運用
東証の新市場区分、どのように変わった? 投資家への影響は?
今回は、以前からどのような変更点があるのか、また株や投資信託などに投資をしている投資家は、変更によってどのような影響を受ける可能性があるのか解説します。
執筆者:下中英恵(したなかはなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
東証の新市場区分とは?
これまで東京証券取引所には、市場第一部、市場第二部、マザーズ、JASDAQ(スタンダード・グロース)という市場区分がありました。
しかし、2022年4月4日からは「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3つの新市場区分に変更されています。
今回の市場区分の変更には、大きく分けて2つの目的があります。
1つは、より分かりやすい市場区分の分類に変更し、投資家の利便性を向上させるためです。
もう1つは、上場会社に企業価値のさらなる向上を目指してもらうためです。
「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の分類は、企業の株主数、収益など経営や財政状況によって、細かく上場基準が決められています。
そのため、投資家にとっては市場分類の定量的な基準が明確になって、これまでよりも企業の経営状況を判断しやすくなるでしょう。また、企業にとっても、より厳しい上場基準を満たすために事業計画を立てて、経営状態を改善していくモチベーションにもつながると考えられます。
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株の値動きを予測
新市場区分へ移行されても、株やインデックス投資信託の値動きには、市場全体で見るとそこまで大きな影響はないと思われます。ただし、株の銘柄の中には、いくつか値動きが大きい商品があるかもしれません。
例えば株の場合、「プライム市場の上場基準を満たしていないが、経営の改善などに取り組むことで適用できる経過措置(上場維持基準の緩和)により、市場区分としてプライム市場を選択した銘柄」があります。
このような銘柄は、今後の企業の経営努力によって大きく成長するかもしれないという株主の期待も高く、値動きがある可能性があります。
また、「上場基準が高いプライム市場を目指さず、企業の業績に合った市場として、あえてスタンダード市場を選択した銘柄」もありますが、プライム市場を目指さないことが株主にネガティブな印象を与えると、株価が下がることも考えられるでしょう。
このように、いくつかの銘柄は新市場区分への移行時に株価が動く可能性があります。
インデックス投資信託の値動き
市場区分の変更後も、東証株価指数(TOPIX)や東証マザーズ指数などの経済指標は、そのまま継続されます(東証マザーズ指数は算出ルールを一部変更)。
そのため、経済指標と同じような値動きをするインデックス投資信託についても、新市場区分への移行時に多少は値動きが起きる可能性もありますが、長期的に大きな混乱を招くようなことは少ないと考えられます。
なお、市場区分の変更に伴い「東証プライム市場指数」「東証スタンダード市場指数」「東証グロース市場指数」などの経済指標が新設されていますが、これらの新指標と同じような値動きをするインデックス投資信託が登場してくる可能性があります。興味がある方は、適宜チェックしてみるといいでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。東京証券取引所の市場区分の変更は、日本の証券取引の歴史の中でも大きな変化の1つです。
ただし、多少値動きが活発化する可能性こそありますが、一般的な個人投資家にとっては大きな影響は少ないと考えられるので、ひとまず安心していいでしょう。
一方、新市場区分への移行というイベントを通じ、少しでも利益を上げたいと考えている場合は、値動きが起こりそうな銘柄をピックアップしてみると面白いかもしれません。
2022年の4月は、新市場区分での株価やインデックス投資信託の動きにぜひ注目してみましょう。
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者