更新日: 2022.07.26 不動産投資

共有名義の不動産とは何か? メリットとデメリットを解説

共有名義の不動産とは何か? メリットとデメリットを解説
共有名義と単独名義の不動産はどのように異なるのか、よく分からないと思う人もいるのではないでしょうか?
 
共有名義の場合、単独名義と比べると制限されることがあるのが特徴です。本記事では、共有名義の不動産とは何か、メリットとデメリットを解説します。
古田靖昭

執筆者:古田靖昭(ふるた やすあき)

二級ファイナンシャルプランニング技能士

共有名義の不動産とは?

共有とは、1つの不動産を複数の人たちで所有する状態のことです。共有者は、それぞれの共有持分という共有者が持っている割合に基づく権利があります。その割合を「持分割合」といい、例えば、「Aさん、2分の1」、「Bさん、2分の1」と表されます。
 
共有者は、持分割合に応じてできることとできないことがあります。共有者1人でできることは、「保存行為」といい、不動産の修繕や、第三者に占有されたときに明け渡し請求などができます。
 
共有者の過半数でできることは、「管理行為」といい、賃貸借で不動産を第三者に貸し出すことやリフォームなどができるようになります。共有者全員の同意によってできることは、「変更行為」で、不動産の売却や建物を取り壊すなどができます。
 

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共有のメリット

不動産が共有名義になるメリットとして3つ紹介します。
 

共有者すべてに住宅ローン控除の適用ができる

共有名義で不動産を購入する場合には、夫婦で住宅ローンを組むことがあります。夫婦で組んだ住宅ローンは、「住宅ローン控除」を夫婦の双方で受けられます。
 
住宅ローン控除は、毎年末の住宅ローン残高、または住宅取得価格のうち少ない方の金額1%が10年間にわたって所得税額から控除されます。所得税で控除しきれない場合、住民税からも一部控除されます。2021年1月1日から2022年12月31日までの期間に入居した場合、控除額が3年間延長されます。
 
最大控除額が設けられており、1年目〜10年目が400万円、11年目〜13年目は80万円です。
 
例えば、6000万円の住宅を計算しますと、6000万円×1%×10%=600万円です。しかし、上限額があるため400万円までの控除となります。
 
これを夫婦で住宅ローンを組んだ場合、3000万円×1%×10年=300万円となり、それを夫婦双方で受けられるため、実質600万円分の控除を受けられることになり、1人で住宅ローンを組むよりも控除の適用範囲が広がるメリットがあります。
 

共有者すべてが団体信用生命保険に加入ができる

共有名義で不動産を購入するにあたって、夫婦で住宅ローンを組む場合、団体信用生命保険に加入することが多いです。団体信用生命保険は、住宅ローンを借りている人が死亡や高度障害状態になった場合、ローンの残債は生命保険で弁済されます。
 
夫婦双方で住宅ローンを組む場合、それぞれ団体信用生命保険に加入できます。夫婦共働きを継続すれば問題ないものの、どちらかが退職して片方の収入でローンを返済する場合、収入がある方に万一のことが起こった場合、片方の住宅ローンが残ってしまうリスクがあります。
 

不動産売却の控除額が共有者分増える

居住している不動産の売却は、3000万円の「特別控除」が受けられます。居住用不動産が共有名義の場合、共有者の数だけ受けることができます。もし夫婦の共有不動産であれば、夫婦双方に3000万円の特別控除となるため、実質6000万円分の特別控除が受けられることになります。
 

共有のデメリット

不動産が共有名義になるデメリットとして3つ紹介します。
 

売却や管理行為が自由にできない

共有名義の不動産は、共有者全員の同意が得られなければ売却ができません。また、不動産を活用しようと思っても、過半数の同意がなければ賃貸などもできません。
 
売却や不動産管理を自由に行えないリスクがあります。
 

相続によって共有者が増える可能性がある

1人が死亡して相続した結果、2人の共有名義人が不動産を相続する場合、さらにその2人が死亡しますと、2人以上に増える可能性が出てきます。もし、共有者が増えてしまいますと、誰と共有している不動産なのかが分からなくなり、子孫の代でトラブルを引き起こすリスクがあります。
 

気づいたら知らない人と共有している場合がある

共有不動産のうち、自分自身が所有する共有持分は自由に売却が可能です。一般的に共有持分を売却する場合、他の共有者に売却することを伝えたりします。しかし、売却したことを知らない状態もあり、気づいたら知らない人と共有不動産になっていることもあります。
 
不動産を勝手に使用される可能性もあるため注意が必要です。
 

共有名義不動産の注意点

共有名義の不動産は、住宅ローン控除や不動産売却時の控除額といったメリットがあります。メリットを生かすとすれば、夫婦共働きが続くことを前提とした方が良いでしょう。
 
しかし、共有名義のデメリットになりますと、不動産を自由に売却ができないことや相続によって共有者が増えるといった、将来的なリスクを抱えてしまいます。
 
そのため、夫婦の場合以外、共有名義を生かせる場面は少ないといえるでしょう。共有名義になった不動産は、共有者同士で合意して売却する方法や、他の共有名義人に自分自身の共有持分を売却する方法や、逆に買い取る方法もあります。
 
もし、相続で共有名義となった場合、共有不動産を解消するような方策を考えた方が良いでしょう。
 

出典

e-Gov法令検索 民法
弁護士法人朝日中央綜合法律事務所 共有の法律関係の基礎知識
国土交通省 すまい給付金 住宅ローン減税制度の概要
一般社団法人全国信用保証協会連合会 団体信用生命保険
国税庁 土地や建物を売ったとき 1 マイホームを売って、譲渡益がある場合
 
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士

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