「証券口座」とは 株式や投信の購入に開設が不可欠
配信日: 2022.11.15
「証券口座」の仕組みは
株式、債券、投資信託などの金融商品を、購入、運用、管理をする目的で、金融機関に対して、投資家が開設するのが証券口座です。証券会社、銀行、資産運用会社などで開設することができ、開設すれば金融商品の取引ができます。
銀行や信用金庫の預金口座は、給与や年金の振り込み、電気やガスなど公共料金の引き落とし、購入品やサービスへの振り込みなど、現金のやり取りに利用されます。
証券口座の場合は、口座へ現金を入金しますが、入金された資金をもとに、株式や投資信託を購入し、または売却で得た資金をプールします。開設した金融機関の口座に、投資家が行った具体的取引内容が記載されます。
国内の多くの方が銀行等の預金口座を持っていることでしょう。1人の個人が、複数の金融機関に口座を持っていることもかなりあります。現在は電子化が進み、個人の株式保有残高はすべて管理されているため、会社の株券が送られてくることはありません。昭和の中期までは、株式を購入すると、購入した会社の株券を手に入れることもできました。
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証券口座をどう利用するか
証券会社など金融機関に証券口座を開くことで、初めて取引ができます。一般的には証券会社に口座を開きますが、銀行や信用金庫でも口座を開くことができます。口座を開設すると、その口座に手持ちの資金を入金し、取引を行うことになります。
ここに入金したお金はMRF(マネー・リザーブ・ファンド)と呼ばれ、金融商品を購入するための待機資金になります。もし、ある会社の株式を購入しようとすると、<購入価格+手数料>にあたる金額がMRFから引き落とされます。手持ちの株式を売却したとすると、<売却価格―手数料>にあたる金額がMRFに入金されます。配当金や分配もMRFに入金できます。
もしMRFにある金額以上に金融商品を購入する場合は、新たに現金を入金する必要があります。入出金に関しては専用のカードを使います。開設した金融機関や郵便局などで、自由に入出金ができます。
証券口座を開設し、株式、債券、投資信託、REIT(不動産投資信託)のなど金融商品を購入する場合に、金融機関を選ぶ必要があります。国内だけでなく、海外の株式、債券、投資信託についても、原則購入ができます。
銀行や信用金庫などで証券口座を開設する場合、購入できる商品は、国債などの債券、投資信託の一部などに限定されることになります。株式やREIT(不動産投資信)。ETF(上場投資信託)などを購入するためには、証券会社に口座を開く必要があります。
金融機関により手数料が異なる
取引をする以上、手数料がどのくらいになるかも気になります。手数料は証券口座を開設した会社で個々に決められており、同額ではありません。証券会社でも銀行でも、取引の金額が多くなるにつれ、手数料も高くなるのが一般的です。少額の取引額だと無料になる会社もあります。
証券会社と銀行とを比較すると、証券業務に特化し精通している証券会社のほうが安い傾向にあります。しかし銀行でも証券会社でも、手数料はそれぞれ異なります。特に力を入れて販売しようという商品については、同業他社よりも安くしている会社もあります。
証券会社にするか、銀行にするかを決めたならば、同業各社の手数料を一度比較してみるのがよいと思います。窓口のプロと対面で相談を希望される方の場合は、店舗を持つ証券会社など選択が限られるかもしれません。
ここ数年、取引を急速に増やしているのが、インターネット専門の証券会社です。実際に店舗をもたないことや、対面での投資相談を行っていないことなどの理由で、店舗を構えている証券会社に比べ、コストがかかりません。そのため投資家向けの手数料は大幅に下げることができます。
なかには一部商品は手数料ゼロとなっている会社もあります。ある程度の証券関係の知識をもつ方であれば、インターネット証券の活用にはメリットがあります。手数料が安いため、取引回数を増やしたい、少額の取引をしたい方にはお勧めです。
損益処理の方法とNISAへの活用
証券口座を利用し取引をすると、損益が発生するため税制上の処理が必要になります。個人で売却益や配当金をその都度計算するには、手間がかかります。証券口座をもっていると、<源泉徴収あり>の口座を選択できます。これを選択すると、利益が出た場合の所得税の処理などを、証券会社が行ってくれます。売却益など計算する必要はありません。
逆に<源泉徴収なし>の証券口座を選択している場合は、年初に証券会社などから送られてくる報告書をもとに、証券口座の損益を他の収入などと合算し、確定申告をすることになります。仮に利益が出ているにもかかわらず確定申告をしないと、税務署から指摘を受けます。実際には<源泉徴収あり>を選択している方が多くなっています。
証券口座でNISA(少額非課税制度)を実施することもできます。一定限度額以内であれば、証券口座の中にNISAの枠をつくると、売却益や配当金などを非課税で受け取ることができます。
通常、売却益や配当には20%が課税対象になりますが、NISAとして扱われる分に関しては「非課税」です。通常のNISAの場合、購入金額の限度額は年間120万円、5年間ですが、今後枠が拡充される見込みです。
実際に投資をはじめる前に、以上のような知識を理解しておきましょう。
執筆者:黒木達也
経済ジャーナリスト
監修:中嶋正廣
行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、資格保有者。