更新日: 2022.12.23 不動産投資

賃貸不動産の投資の基礎 その1

執筆者 : 浦上登

賃貸不動産の投資の基礎 その1
今回から数回にわたって、賃貸不動産投資の基礎について解説していきたいと思います。
 
賃貸不動産投資とは、賃貸を目的として不動産を購入し、家賃収入によりインカムゲインを得ることを狙うものです。
 
最終的には不動産を売却する場合もありますし、土地付き家屋であれば、建物は廃却して新しい建物を建て、新たな家賃収入を得ることもありますが、賃貸不動産投資の収益性を判断する指標に「表面利回り」と「実質利回り」があります。
 
「その1」では、賃貸不動産投資の目的と、表面利回り・実質利回りについて解説します。
 
浦上登

執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)

サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
 
早稲田大学卒業後、大手メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超える。その後、保険代理店に勤め、ファイナンシャル・プランナーの資格を取得。
 
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表、駒沢女子大学特別招聘講師。CFP資格認定者。証券外務員第一種。FPとして種々の相談業務を行うとともに、いくつかのセミナー、講演を行う。
 
趣味は、映画鑑賞、サッカー、旅行。映画鑑賞のジャンルは何でもありで、最近はアクションもの、推理ものに熱中している。

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賃貸不動産投資の目的

賃貸不動産投資の目的は、家賃収入をベースとした継続的な現金収入です。不動産を保有中に得られる収益をインカムゲインといいます。
 
インカムゲインに加え、購入した不動産は最終的に売却しなければなりませんが、売却価格と購入価格の差がプラスであればキャピタルゲイン、マイナスになる場合はキャピタルロスといいます。
 
不動産投資を総合的に評価する場合は、インカムゲインとキャピタルゲイン(またはキャピタルロス)を合わせて最終的にプラスになるか、マイナスになるかで行う必要があります。
 
しかし、実際の売買では不動産投資の収益性の評価に当たり、いくつかの指標が使われています。
 

不動産投資の評価の指標となる「表面利回り」とは

表面利回りとは、不動産投資の収益性を次の算式で評価するものです。
 
表面利回り=年間家賃収入÷物件購入価格×100
 

<表面利回りの計算の例>

物件購入価格:2500万円
年間家賃収入:108万円(月9万円×12ヶ月)
 
表面利回り:108万円÷2500万円×100=4.32%

これは家賃収入を不動産の購入価格で割ったもので、不動産購入に関する諸経費や建物管理費、修繕積立金などの経費は含まれていません。また、物件購入価格には仲介手数料などの物件の取得費用なども含まれていません。
 
そのため、表面利回りが4.32%だからといって、不動産を賃貸すれば購入価格の4.32%が手に入るわけではありません。例えば、投資用不動産の販売サイトでは「表面利回り〇%」という記載がありますが、実際の収益性を示す指標ではないので注意が必要です。
 

「実質利回り」とは

実質利回りとは、不動産投資の収益性について、経費を含めた次の算式で評価するものです。
 
実質利回り=純年間家賃収入÷物件購入価格×100
 

<実質利回りの計算の例>

物件購入価格:2500万円
年間家賃収入:108万円(月9万円×12ヶ月)
年間経費:24万420円(月2万35円×12ヶ月)
 
実質利回り:83万9580円÷2500万円×100=3.36%

純年間家賃収入とは、年間家賃収入から投資用不動産を保持するためにかかる年間経費を差し引いたものです。年間経費には建物管理費、修繕積立金、賃貸管理費、固定資産税、不動産購入の仲介手数料などがあります。
 
実質利回りは、不動産購入や維持にかかる費用を考慮したものなので、投資者にとって、より実態を反映した利回りで投資用不動産の収益性を判断するのに必要な指標といえます。
 
ただし、不動産業者の計算する実質利回りには、仲介手数料などの物件の取得費用が含まれていないので、自分で修正して評価を行う必要があるようです。
 

まとめ

「その1」では、賃貸不動産投資の目的と、その収益性を判断する指標として表面利回りと実質利回りについて解説しました。
 
次回「その2」では、表面利回り・実質利回り以外の指標を説明したいと思います。
 
 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

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