株式相場の取引でよく使われる「順張り」「逆張り」って何?
配信日: 2017.04.07 更新日: 2019.08.07
相場では順張り、逆張りという単語をよく耳にしますが、簡単に言ってしまえば、前述の上げ相場のときに「今からでも遅くない」と言って、その流れに追随するのが順張り、「今から買うなんて高値掴み」というのが逆張りです。この機会にもうちょっと深堀してみましょう。
執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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順張りは「みんなで渡ればこわくない」、逆張りは「わが道を行く」
一言で言ってしまえば、上の小見出しのようなイメージでしょうか。「みんなが買うから大丈夫だろう。」と素直に流れに乗ってしまうパターンが順張りです。上がるときに買い、下がるときに売るのだから、大やけどをしないかわりに、他人と同じ行動をとっている分、それほど大きく収益を稼ぐことも難しいですね。
一方、逆張りは、「上がっているときは、『みんなは買っているが、自分の見立てではこれは買われすぎだから売る』」「下がっているときは、『売っているが、自分の見立てではこの水準では売られすぎだから買う』という天邪鬼な投資哲学を実践しているといえるかもしれません。先ほどの順張りと比較すると、結局株価次第なので、うまく自分の見立てが当たって、大部分の投資家の見立てが外れるとすれば、博打的。大きく収益を稼ぐ可能性もある代わりに、大きく損失を被ることもあります。
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順張りは初心者向け、逆張りは上級者向け
さてここで、前提となるのが、順張りは「みんなが」に対して、逆張りは「自分の見立てが」というキーワードです。ここから推測すると、順張りは初心者向け、逆張りは、ある程度自分で、相場の行先を「確信をもって見通すことができる、判断できる」ということで上級者向けの投資スタンスといえるでしょう。何事も始めてみなければ始まりませんから、これから投資を始めるかたはまず、素直に「順張り」のスタンスで取り組まれるといいでしょう。最初に小さくても成功体験を積み上げることができれば、自信につながり、徐々に「どうすれば相場環境や個別株の値動きを予想することができるだろう」と新たな段階に一歩踏み出すことができるようになります。
逆に、いきなり「自分は上がると思っているから」という理由で下げ相場の時に買い向かったとしても、買ったとたんにどんどん下がって下げ止まらない、という経験をしてしまうと、「やっぱり安定が一番」と投資行動を控えるようになります。
かつてのように投資をしなくても、金利が自動的に積みあがっていく時代であればかまいませんが、今のように超低金利下で老後の資金準備をしなければならない、教育費の準備をしなければならないとなると、どうしても自助努力の運用をはずすことはできませんので、最初に大損からスタートというのは避けた方がよいと思われます。
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経験値を上げて、柔軟に順張りと逆張りを使い分けられるのが理想
このように書いていくと、まるで順張りは他人の真似事で、逆張りが理想と言っているように思われるかもしれません。どちらにもよいところと問題点があることは先ほど触れた通りで、順張りであれば、大やけどはしない代わりに大儲けもしづらい、逆張りであれば大きく稼ぐ可能性もあるし大きく損失を被る可能性もあるということです。
理想は、大きく損失を被ることなく大きく収益を上げたいですよね。そうであれば、両方の投資手法を柔軟に使い分けていきましょう。難しいですが、経験値を上げていけば、「今この相場環境であれば、素直に買った方がいい(順張り)」とか「今、相場は盛り上がっているが、ここは慎重に構えたほうがい(逆張り)」といったように使い分けることができるようになります。
さりとて、そんなうまく機能するような魔法の杖があるわけではなく、失敗を重ねたり、よくにた相場環境での取引を何度か経験することによって、徐々に身についていくものです。その過程では投資家全体の売り買いの流れを把握するためにチャートなどを見ることも有効になってくるかもしれません。ただここまで行かなくても、皆さんが興味のある視点で相場観を感じ取れるようになっていければ大丈夫です。
そのためには、興味のある業界のことを売上や収益、マーケットシェアという視点から見るようにしてみるというのもいいですね。またどうしても、そういうことには興味が持てないという場合は「街角景気ウォッチャー」や「完全失業率」などの身近なことをキーワードに、「働いている人」がどういうところに集中しているのか、働きたい人がハッピーな状態でいるかどうか、というところから少しずつ見ていくといいでしょう。