更新日: 2023.04.13 その他資産運用
確認してみよう! 投資信託にかかる費用とは?
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
目次
購入時手数料とは
購入時手数料とは、投資信託を購入する時に販売会社に支払う手数料です。投資信託の交付目論見書(購入しようとしている投資信託について投資判断に必要な重要事項を説明した書類のこと)の「手数料等」の欄に、『買付金額に対し、〇%(税抜〇%)の率を上限として、販売会社が別に定める手数料率を乗じて得た額とします』などと記載されています。
販売会社とは金融機関や証券会社のことですが、金融機関によってはスマホやパソコンで投資信託を購入すると手数料を無料としているところもあります。また、投資信託の購入時手数料には消費税が課税されます。
なお、投資信託によっては「購入時手数料はない」としている場合もあります。これはノーロードファンドといわれています。つみたてNISAの対象商品は、このノーロードファンドとされています。
ところで、購入時手数料はどのように支払うのでしょうか。
例えば、投資信託の購入金額を10万円とした場合、購入金額から購入時手数料に相当する額が差し引かれるケースと、購入金額とは別に購入時手数料を支払うケースがあります。購入時手数料の払い方が前者のケースなら、購入時手数料を含めた購入金額は10万円で済みますが、後者の場合、購入時手数料と購入金額を併せた10万220円が必要となります。
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保有時にかかる手数料:運用管理費用(信託報酬)
投資信託を保有(=投資信託を買ってから売却するまでの間のこと)している間、運用管理費用(信託報酬ともいう)を払う必要がありますが、これはわざわざ支払うものではなく、信託財産から日々差し引かれるものです(信託財産とは購入した投資信託が保有している全資産のこと)。
交付目論見書の「手数料等」の欄に「年率」で表示されていますので、毎日何円ずつが引かれているのかを知るためには、ご自身で計算する必要があります。
なお、つみたてNISAの対象商品になっている公募株式投資信託の条件には、「顧客一人ひとりに対して、その顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知すること」となっていますので、自身がいくらの運用管理費用(信託報酬)を負担したのか、その概算の金額を知ることができます。
投資信託の購入時手数料が「ゼロ」というノーロードファンドはありますが、信託報酬が「ゼロ」という投資信託はありません。
つみたてNISAの運用管理費用(信託報酬)の上限は法令で決まっているが……
つみたてNISAの投資対象商品は、以下のとおりです。
長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託
○例えば、公募株式投資信託の場合、以下の要件をすべて満たすもの
●販売手数料はゼロ(ノーロード)
●信託報酬は一定水準以下(例:国内株のインデックス投信の場合0.5%以下)に限定
●顧客一人ひとりに対してその顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知すること
●信託契約期間が無期限または20年以上であること
●分配頻度が毎月でないこと
●ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと
(出典:金融庁「つみたてNISAの概要」)
つみたてNISAの運用管理費用(信託報酬)の上限は、法令で決まっています。例えば、投資対象を国内とする指定インデックス投信の場合は0.5%(税抜)以下、投資対象を海外とする指定インデックス投信の場合は0.75%(税抜)以下です。
しかし、実態として、つみたてNISAの対象になっている投資先を国内とする指定インデックス投信の運用管理費用(信託報酬)の平均は2023年4月現在で0.254%、投資先を内外・海外とする指定インデックス投信の運用管理費用(信託報酬)の平均は2023年4月現在0.30%となっています(出典:金融庁「つみたてNISA対象商品の分類)。
一般の投資信託のなかには「ファンドの日々の純資産総額に対し年率1.936%(税抜1.76%)」という高コストの銘柄もあります。もちろん、つみたてNISAの対象になっている商品とそれ以外とで運用方針等が異なりますので、数値のみの単純な比較はできません。
しかし、運用管理費用(信託報酬)が低く抑えられているのが、つみたてNISAの対象商品の特徴といえます。
なお、運用管理費用(信託報酬)は、その投資信託の純資産総額によって年率が変わるものもあります。これらも購入時手数料と同じく、運用管理費用(信託報酬)の年率は交付目論見書で確認できます。
監査報酬とは
監査報酬とは、投資信託に対して実施する会計監査等にかかる費用のことです。交付目論見書に「年率」で表示されている場合もあれば、「あらかじめ金額または上限額等を記載できません」としている投資信託もあります。
売買委託手数料
投資信託が、保有する株などを売買する際に発生する費用です。資産の組み替えの頻度が高い投資信託ほど、この費用がかさむ傾向にあります。交付目論見書には「あらかじめ金額または上限額等を記載できません」としていることがあります。
信託財産留保額とは
信託財産留保額とは、投資信託を信託期間の途中で売却(換金)する場合に生じ、売却に伴う損益の有無に関わらず負担するものです。信託財産留保額は「信託財産留保金」ともいい、「0%(ゼロ)」の投資信託もあります。
交付目論見書で確認できますが、「ゼロ」の場合には「ありません」と明記されています。なお、信託財産留保額には消費税はかかりません。
その他の手数料や消費税
これまで紹介した費用のほかに、一部の投資信託によっては解約時に販売会社に支払う解約手数料があったり、運用成績に応じた成功報酬を負担したりする場合もあります。
いずれにせよ、各費用については交付目論見書で確認しておきましょう。
出典
金融庁 投資の基本 投資信託にかかる手数料の種類
金融庁 つみたてNISAの概要
金融庁 つみたてNISA対象商品の分類(2023年4月7日時点)
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役