更新日: 2020.07.05 株・株式・FX投資
あなたは把握していますか?頼りすぎは危険・・勤務先の『持株会』という鎖
財形貯蓄や保険の積み立て金は「ある」ことはわかっていても、「いくら」なのか把握している人は少ないですね。
運用資産については、商品名は把握している人は多いですが、今いくらぐらいなのかはわからないという人も多くいます。パッと金額がわかりにくいものは資産と認識されていないことが多いようです。
今回は資産の中でも多くの人があまり持っていることを意識していない「従業員持ち株」についてのチェックポイントをお伝えいたします。
執筆者:塚越菜々子(つかごし ななこ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催
お金を貯める努力をするのではなく『お金が貯まる仕組み』づくりのサポート。保険や金融商品の販売を一切せず、働くママの家計に特化した相談業務を行っている。「お金だけを理由に、ママが自分の夢をあきらめることのない社会」の実現に向け、難しい知識ではなく、身近なお金のことをわかりやすく解説。税理士事務所出身の経験を活かし、ママ起業家の税務や経理についても支援している。
https://mamasuma.com
従業員持ち株とそのメリットは
従業員持ち株は、自分が勤めている会社の株式を、給与天引きで買いつけていく制度です。強制ではありませんが、勧められたままによくわからず加入して買い付けている人も多いのではないでしょうか?
持ち株制度にはこんなメリットがあります。
1:少ない金額から始められる。
株式投資の経験がないと、株式を買い付けるのはハードルが高い場合もあります。株を買い付けられる最低の単位(単元株)が高額だと、なかなか購入するのが難しい場合もありますね。
それに対し、持ち株制度を使うと少額から買い付けていくことが可能です。
2:奨励金などが出る場合がある
購入金額に会社が少し上乗せして、多く買い付けることができる場合もあります。少しの上乗せといえども、低金利時代に数パーセントでも上乗せしてもらえるのは大きなメリットです。
3:給与天引きのため意識せず積み立てられる
貯金は先取りがセオリーですが、給与天引きほど確実なものはありません。また資産運用をまったくしたことがない人も、天引きされてしまえば意識せずに積み立てていくことが可能です。
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デメリットもしっかり把握しましょう
メリットがあるものには当然デメリットも存在します。少額からでも始めやすく、勧められるままに始めてしまっている人も多いかもしれませんが、デメリットは改めて把握しておきましょう。
1:金額の把握がしにくい
「よし、買うぞ」と考えて始めている場合以外で、なんとなく天引きされている場合は、その価値を正しく把握できていないことが多いです。
どうやら給料から引かれているらしいということはわかっても、具体的に今どのくらいの株数を保有していて、おおよそどれくらいの金額なのか、どの程度の利益や損益が出ているのか、パッとわかりにくいことは問題です。
ましてや家計に資産が少ない場合は、自動的に積まれている持ち株が占める割合が高くなっていることもありますので、よく把握する方法を知っておきたいものです。
2:給与と財産どちらも会社頼り
リスクを減らすためには「分散」が大事だと聞いたことはないでしょうか。投資の世界で「1つのカゴに盛るな」とよく聞かれる言葉ですが、1つのところに入れておくと、万が一それがダメになった場合、中身が全部ダメになってしまいます。
サラリーマンの多くは収入のほぼすべてが「会社からの給料」という状態で、さらに財産の一部も会社のものだとすると、会社に万が一のことがあった場合は給料という収入減を失い、かつ持っている株の価値が暴落する、というケースも起こりえます。
3:自分の会社だったら安全な気がしてしまう
持ち株といえども、ほかの株式と同様に会社の価値が下がれば相対的に株価も下がることがあります。
自分の会社のことはわかると思うかもしれませんが、大きい会社ほど一社員が会社に対してできるアクションは多くないはずです。
自分が会社の業績を直接どうすることができるわけではなければ、自社株だからといってリスクがないわけではなく、通常の株式投資と同じリスクを負っているのです。
持ち株制度を利用する場合にもやはり重要になってくるのは、相対的に見た「分散」というキーワードです。
メリットだけ・デメリットだけを見るのではなく、どちらも理解したうえで、全体像を把握しながら金額やタイミングを選び取っていくことができれば、デメリットは少なくなり、メリットの多い方法が見つかるのではないでしょうか。
Text:塚越 菜々子(つかごし ななこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
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