更新日: 2019.01.10 その他資産運用
分散投資ってなに? どうやってやるの?【後編】
後編では、分散投資を行ううえで気をつけることや、ポイントについてお話したいと思います。
Text:小沼鮎子(こぬま あゆこ)
ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者
大学を卒業後、大手証券会社に就職。約10年間、個人のお客様への資産コンサルティング業務に主に携わる。勤務中に、資産コンサルティング業務の延長線上に、ファイナンシャルプランナーという仕事があることを知り、お客様に寄り添ったコンサルティングができることに共感し、資格を取得。アメリカでは資産管理の一生涯のパートナーとして時には金融に詳しいお茶飲み友達として身近な存在であるファイナンシャルプランナーという仕事を、日本でも普及させたいという志を持って一般の方への情報発信をしている。
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
マネーディアセオリー株式会社 代表取締役
リュクスセオリーFPサロン 代表
大学卒業後、都市銀行に入行。複数の銀行、法律事務所勤務中に、人生の悩みは結局のところお金と密接に関係することを痛感、人生をより幸せで豊かにするお手伝いがしたいとファイナンシャルプランナーに。FP会社にて勤務後、独立。これまで500件以上の個人相談を担当すると共に、セミナー、執筆と幅広く活動。相続・資産運用・住宅相談・リタイヤメントプラン等を得意とし、個人相談にも力を入れる一方で、セミナーや企業研修、執筆を通じてわかりやすくお金の知識を発信することに注力している。
分散のしすぎは逆効果
分散投資といっても分散のしすぎは禁物です。分散投資はさまざまなものに投資したり、何度かに分けて投資したりすることによってリスクを低減できるメリットがあるとお話しました。ただ、やみくもにいろいろなものに投資すればいいというわけではありません。
例えば、株式だけで何十銘柄も持ってしまうと、管理するだけでも大変になってしまいますね。たまに相場のチェックをするにしても、たくさんの銘柄の業績や状況を確認する必要がでてきます。あらかじめ自身でだいたいの資産の配分を考えて、管理できる範囲の投資にとどめることがポイントになります。
投資信託には、あらかじめさまざまな資産が盛り込んであるバランス型ファンドというものがあります。自分で資産の配分比率などを決める必要がないため、投資初心者で分散投資をしたいという場合は、こういったものの利用を考える人も多いのではないでしょうか。
例えバランス型の投資信託であっても、同じような内容のものを何本も持つ必要はないでしょう。株の例と同じように、たくさん保有することによって内容のチェックも煩雑になりますし、投資先が実は重複しているということもあり得ます。
また、バランス型のファンドを複数持つことで、いまの自分の資産の中で株はどのぐらいあるのか、債券にはどのぐらい投資しているのか、など資産全体の配分が把握しづらくなることも注意点です。
1つの商品の中でバランスよく資産が投資されているものが多いので、ある程度厳選したうえで、自分が管理できると思う本数以上は持たないようにしましょう。
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すぐに売らないで長期保有を!
投資を始めたばかりだと、どうしても自分の持っているものが気になってしまうと思います。特に利益が出ると、「早くこの利益を確保しなきゃ!」と焦ってしまいがちです。投資は低いところで買って高いところで売るのが理想ではありますが、実際にそのタイミングを測るのはなかなか難しいものです。
分散投資は、基本的には長期保有したほうが効果を得やすいといわれています。なぜかというと、どんな投資対象でもいい時と悪い時があります。短期的に大きな下落をすることや、逆に大きく上昇する時もあるでしょう。長期で保有することによってその振れ幅を分散できるので、安定した収益が得やすいといわれています。
古くからの言葉に、バイアンドホールド(Buy and Hold)という言葉があるとおり、一度保有したら5年、10年という期間で保有をしたほうが好ましいでしょう。利益が出たからといってすぐに売却するのではなく、長期にわたって保有することを心がけてみましょう。
また長期保有のメリットとして、複利効果が得られることも挙げられます。投資して得た分配金や配当金などがある場合は、それをそのままさらなる投資にまわすことによって、より高い運用効果を得やすいといわれています。投資は時間を味方につけたほうがいい、というのはこういうことですね。
ボーナス全額投資はやめて!
ボーナスや退職金が入ったから、さっそく全部投資にまわそう! と考える前にひと呼吸おきましょう。投資はあくまで余剰資金で行うべきだということはいうまでもありませんね。
例え「いまこの商品は絶対安いから、全額買ってしまおう!」と思っても、投資の世界に絶対という言葉はないということを肝に銘じておきましょう。また、これではせっかくの分散投資が効果を発揮できなくなってしまいます。
なぜかというと、分散投資は「時間の分散」「地域の分散」「投資対象資産の分散」が同時にできてこそ有効に機能するといわれています。
ボーナスや退職金を一度に投資にまわすのではなく、投資対象資産や地域の分散を考えたうえで、積み立てを利用したり、複数回に分けて投資したりすることが望ましいでしょう。
いかがでしたでしょうか。分散投資の基礎やポイントについてお話しました。
これから投資を考えられている人はぜひ、分散投資の有効性について一度考えて実践していただければと思います。
Text:小沼 鮎子(こぬま あゆこ)
ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者
監修:福島 えみ子(ふくしま えみこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
マネーディアセオリー株式会社 代表取締役
リュクスセオリーFPサロン 代表